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テーマ:辛口映画批評(354)
カテゴリ:映画祭
第21回東京国際映画祭」も、いよいよ本日限りで閉幕であるが私の取材は昨日で終わり、行き慣れた六本木ヒルズを後に渋谷会場のbunkamuraに乗り込む。
最後に見た作品は「パブリック・エナミー・ナンバー1」(Part1&2)と言うフランス映画だ。本国フランスではまだPart2は上映されていないそうだ。本作はフランスで「公共の最大の敵」と呼ばれた最強の犯罪者ジャック・メスリーヌの生涯を描いた実録物だ。 【追記】2009年11月の劇場公開時のタイトルが「ジャック・メスリーヌ フランスで社会の敵(パブリック・エネミー)No.1と呼ばれた男 Part 2 ルージュ編」変更されました。 [DVDソフト] ジャック・メスリーヌ PUBLIC ENEMY NO.1 Part.1 映画の話 ジャック(ヴァンサン・カッセル)はカナダの特別刑罰刑務所から見事脱出し、1973年にフランスに舞い戻る。彼は旧友のミシェル(サミュエル・ル・ビアン)とともに銀行強盗を繰り返すが逮捕される。法廷に出廷した彼は何と判事を人質にして、まんまと逃亡に成功し、海外同様フランスでも“社会の敵 No.1”の名称で呼ばれるようになり……。 [DVDソフト] ジャック・メスリーヌ PUBLIC ENEMY NO.1 Part.2 映画の感想 本作は114分のPart1と132分のPart2の2部構成の作品で、1と2の間に15分の休憩が入る。約4時間の長尺をかけてメスリーヌの人生の内20年間にスポットを当てて描かれる。生涯を閉じる79年で幕を開け、59年にさかのぼりレジスタンスを経て、ギャングのボスの手下としての小悪党から、逮捕~投獄~脱獄を繰り返す内に大悪党に上り詰め「公共の最大の敵」と呼ばれるようになる過程を時系列通りに展開する。 主人公のジャック・メスリーヌを演じるのは「ドーベルマン」「イースタン・プロミス」のヴァンサン・カッセルだ。レジスタンス時代には捕虜を処刑するのに戸惑う男が犯罪を重ねるうちに、極悪人へと変貌していく人物像を見事に演じきっている。Part1の見所はクライマックスの、自分を拷問し続けた刑務所への復讐で、刑務所から脱獄をして武器を調達して再び刑務所に舞い戻り武器で襲撃し、刑務所仲間を救出しようとする行は「ランボー」を見るような激しい銃撃戦が繰り広げられる。本作の音楽を担当したのは「ランボー」3部作の音楽を担当したジェリー・ゴールドスミスの弟子マルコ・ベルトラミだ。師匠ゆずりのパーカッシブなサウンドと特徴的なピアノの低音部の使い方にジェリーの技を継承していることを感じる。 続くPart2も、メスリーヌの犯罪人生を刻々と描く。相変わらず犯罪~逮捕~投獄~脱獄を繰り返すメスリーヌは巨大な怪物となり、投獄中に自分の犯罪史を書き本として出版をし、革命を起こし社会を変えようなんて言い出し、持論を唱えマスコミを振り回す。自分の事を悪く書いた記者には呼び出し鉄拳制裁を加える恐ろしい本性を垣間見せる。しかし、警察の内偵捜査も着々と進みメスリーヌは最後の時を迎える。 4時間の長尺作品をだれる事無く緊張感を持続した「アサルト13 要塞警察」のジャン=フランソワ・リシェ監督の手腕は確かだが、日本人から見ると海外の時代背景が判り辛く、大勢出演する登場人物の整理も大変だ。実録犯罪物として興味のある題材だけに、海外マーケティング用に何らかアプローチが必要な様な気がした。主演を演じたヴァンサン・カッセルの熱演も加わり、本作は凶悪犯ジャック・メスリーヌの新たなる歴史の1ページが刻まれただろう。 映画「ジャック・メスリーヌ フランスで社会の敵(パブリック・エネミー)No.1と呼ばれた男 Part 2 ルージュ編」関連商品 ジャック・メスリーヌの生涯 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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