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テーマ:辛口映画批評(354)
カテゴリ:ブロガー試写会
試写会場は多くの女性観客が来場して、あっという間に客席はほぼ満席になってしまった。
南極料理人 映画の話 西村(堺雅人)は南極の昭和基地からも遠く離れた陸の孤島、南極ドームふじ基地に料理人として派遣される。妻(西田尚美)と娘を置いての単身赴任生活で、彼は8人の男性南極越冬隊員たちの胃袋を満たすという大役を任される。基地では雪氷学者(生瀬勝久)をはじめ、雪氷サポート隊員(高良健吾)らが彼の料理を心待ちにしており……。 映画の感想 原作がエッセイだけにこれと言った物語もなく、淡々と“南極観測隊”の日常と食生活が描かれ、観測隊の仕事ぶりはほとんど描かれていない退屈な酷い作品である。私は“南極観測隊”と聞きジョン・カーペンター監督「遊星からの物体X」の様な過酷な状況下の中を隊員達はストイックな生活を送っているとばかり思っていたが、彼らは毎日晩餐会状態&宴会の日々を送っていた事に意表をつかれた。まぁ、あんな場所で楽しみと言えば食欲を満たし毎晩酒でも飲む事くらいだろうし、酒でも飲まないと精神も安定出来ない事は理解できる。 以下ネタばれ注意 しかし世界的に貧しい国では飢餓に苦しみ亡くなっている人々がいる時代に、無駄に豪勢な料理を毎晩喰らう観測隊と言う人々はそんなに偉いのだろうか?確かに過酷な状況下での生活の楽しみと言う事は理解できるが、各隊員に伊勢海老丸ごと一匹のエビフライなどを見ると飽食に自惚れた現在の日本人の無神経振りを露呈しているように感じるし、その光景を見て爆笑している観客の無神経ぶりには空恐ろしく感じてしまった。 そして私は原作を未読で不明であるが、何故か隊員達が南極と言う極寒の死と隣り合わせの屋外にやたらとパンツ一丁で出たがるのは何故なんだ?映画「八甲田山」の中で気がふれた隊員が雪山の八甲田山で全裸になると言うのを見たが、あれとは違う悪ふざけを繰り返す隊員達の姿は呆れるばかりであるし、やたら“オナラ”ネタで笑いを取ろうとする監督のセンスの悪さも気になる。 映画のエピソードの中に備蓄したラーメンが底をつき、隊員たちがラーメンへの禁断症状が出てしまうエピソードが描かれるのだが、備蓄した材料で手作りラーメンを主人公が作り出し隊員たちに振舞われ、絶景のオーロラ観測を怠ると言うエピソードがあるのだが、肝心のオーロラが描かれていないのは映画として致命傷である。オーロラより一杯のラーメンの力に負けてしまうと人間の悲しい性を表現するのには対比となるオーロラの描写が無くっては話にならない。それにしても近年の映画は台詞だけ言って誤魔化そうとする悪い作品が横行しているが、先のエピソードは正に悪い例の見本である。 そんな駄目映画でも、唯一良かったところは主人公の娘が絡む日本のエピソードであろう。南極と言う場所に送り込まれ腑抜け状態の観測隊員とは対照的に、活き活きとした子供らしい憎らしさを全開に演じた子役の上手さが作品にいいスパイスとなっていた事は確かである。まぁ、本作は堺雅人ファンの方と「かもめ食堂」などのゆるい笑いの好きな方にはお勧めするが、それ以外方には時間の無駄となる事であろう。平和ボケをした現在の日本映画の姿を露呈した作品である。 映画「南極料理人」関連商品 面白南極料理人 「南極料理人」サウンドトラック/阿部義晴/ユニコーン[CD] お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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