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テーマ:辛口映画批評(354)
カテゴリ:試写会2010
客入りは1~2階席は満席、3階席は未確認。ナインティナインの岡村隆史主演作との事なのか、小学生位のお子さんも多数来場している。上映前にストーリーを説明する無神経で無駄なアナウンスに閉口してしまった。
小説てぃだかんかん 映画の話 幼いころから海の生物が大好きだった健司(岡村隆史)は、幼なじみの由莉(松雪泰子)と結婚するために故郷の沖縄に戻って来る。母(原田美枝子)の猛烈な反対を押し切ってのゴールインだったが子宝にも恵まれ、自分で始めたレストラン事業もようやくうまくいき始めていた。そんな折り、突然健司は店をやめてサンゴを再生すると宣言する。 映画の感想 本作の見所はなんと言ってもお笑い芸人・岡村隆史が自らの芸を封印して、一役者として主演を勤めている事だ。しかし、それが吉と出るか凶と出るかは見る方の判断になるが、私個人の意見としては“凶”であった。 岡村隆史と言えば軽妙なトークやボケに加え、小さな体から発する驚くべき身体能力でお茶の間の視聴者を魅了してきた人物である。本作はそんな岡村隆史の魅力を全て奪い、モデルとなった実在の人物を演じている訳だ。私は本作のモデルとなった金城浩二さんの事は知らないが、映画を見るだけだと何とも朴訥とした人物で、感情を表に出さない性格なのか、主人公としてまったく面白味が無く、何を考えているのかも判らずとても感情移入し辛い人物である。 映画の舞台が沖縄と言う事で彼の台詞は全て沖縄の方言ウチナー口で違和感がバリバリである。どうせだったら沖縄が舞台であるのだから、沖縄出身の芸人ガレッジセールのゴリでも良かった役である。そんな彼は口癖の様に「海が好きだ」「珊瑚を守りたい」と連呼するが、そんな台詞は空々しく空虚に響くだけである。 以下ネタばれ注意 映画は主人公の母役・原田美枝子の強烈なツッコミで快調な幕開けでスタートをするが、物語が進みだすとドンドンと暗雲が立ち込めてくる。映画を見る限り、思いつきの様に見える主人公の心変わりに家族や周りの人々が振り回され、國村隼演じる漁協の組合長を味方につけて順調に進むかと思いきや、あっさりと高橋長英演じる不動産業と称する詐欺師にだまされてしまう。それにしても「あの詐欺師は一体何の利益があったんだ?」と映画を見ていて思ってしまった。監督はちゃんとネタを振ったのだから答えを見せて欲しい。 作り手も岡村隆史主演では不安と感じたのか、先に書いた原田美枝子、國村隼といったベテランと、主人公の妻役・松雪泰子、吉沢悠、渡部篤郎らを回りにキャスティングして映画を盛り上げようと躍起であるが、当の主人公・岡村隆史の醒めきった演技で映画は空周り気味なのがだめだ。その上、いつ撮影したのか不明であるが「てぃだかんかん」(「太陽」が「かんかん」照りと言う沖縄言葉)と言うタイトルなのに劇中の天気が芳しくないのも頂けない。 クライマックスで主人公の妻が前振りも無く唐突に「夫はダイビングのし過ぎで鼓膜が破れた」と言っているが、そんな大事なエピソードもちゃんと掘り下げて描けば、主人公の珊瑚への情熱と引き換えに代償となった苦悩が観客に読み取れ、映画に深みが出るのに描かないのは如何なものかと感じてしまった。 まぁ、本作の見所はクライマックスの“珊瑚の産卵”シーンと、エンドクレジットの山下達郎の歌位でテレビドラマの延長にしか見えなかった。もっと楽しい作品を期待していただけにとても残念である。それからチラシなどにはデカデカと長澤まさみ(友情出演)と記載されているが、彼女の出演シーンは1分位で詐欺みたいな宣伝だ。長澤まさみと言えば出演した映画「涙そうそう」で舞台となった沖縄言葉ウチナー口をマスターしているのだから「少しでもウチナー口を喋らせてあげれば良いのに」と、ファン心理をまったく理解していない監督のやる気の無さにもガッカリであった。 映画「てぃだかんかん」関連商品 てぃだかんかん 希望という名の光/山下達郎[CD]【返品種別A】 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.05.05 16:22:27
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