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テーマ:辛口映画批評(354)
カテゴリ:試写会2010
客入りはほぼ満席。映画上映前にサプライズゲストとして渡辺謙の舞台挨拶が行われた。
映画の話 コブ(レオナルド・ディカプリオ)は人が夢を見ている最中に、その潜在意識の奥深くにもぐり込んで相手のアイデアを盗むことのできる優秀な人材だった。彼は、企業スパイの世界でトップの腕前を誇っていたが、やがて国際指名手配犯となってしまう。そんなある日、コブの元に“インセプション”と呼ばれるほぼ不可能に近い仕事が舞い込む。 映画の感想 とても難解な作品で万人にはお勧めできないが、映画ファンであるならば一見の価値がある作品であろう。映画の趣旨としては、私の推測であるがワーナー映画「バットマン」シリーズの成功で、クリストファー・ノーラン監督にワーナーからご褒美に「好きな映画を作ってもいいよ」と膨大な制作費が捻出され、有頂天気味のノーラン監督は自分の趣味を全開させて作り上げた作品が本作だと思う。同じような趣旨で作られた作品はスピルバーグ監督「1941」、ウォシャウスキー兄弟「スピード・レーサー」など、大ヒット作のご褒美に映画作家が自分の趣味に突っ走り膨大な予算で製作されたカルト作品と同じ匂いを感じた。 まず本作を見て物語を100%理解した観客はいないだろう。本作を100%理解しているのはノーラン監督と一部のスタッフだけで、他のスタッフやキャストは監督の言われるままに動いていただけかもしれない。舞台挨拶に登壇した渡辺謙でさえ100%理解しているようには言っていなかった、と言うことで本作は見た観客によっていくらでも回答があるように感じる。なので私のレビューも何処まで正確かは保障できない。 以下ネタばれ注意 本作を一言で言うと「夢の中のミッション・インポッシブル」と言った所であるが、リワインド映画「メメント」を監督したノーラン監督だけに一筋縄では行かない。映画は一見、レオナルド・ディカプリオ演じるコブが成功不可能のミッションをクリアするかが、スリリングかつダイナミックに描かれるが、私の見解だと映画全体がコブの脳内世界の中で、ミッションをこなしながら自分の抱えるトラウマを克服する物語と書けば聞こえは良いが、ストーリーなんか有って無い様なもので、パラレルワールド的な世界観の中で相手の脳内に進入してバリアを張った相手の攻撃をかわしながら自分のトラウマと対峙しつつ克服する事を映像化すると、観客の予想を大きく上回る映像が出来上がってしまった。 映画の出足こそ一方向に向かっていた脳内世界がクライマックスでは3層構造となり、最終的には主人公の潜在意識まで現れて4層構造になってしまう。時間の流れ方も外側が一番早く、内側に向かうほど時間が長くなる。一層目は町でカーチェイスと銃撃戦、二層目はホテルの中で無重力対決、三層目が雪山のアジトでの銃撃戦、四層目がコブの脳内世界でのトラウマ克服だ。トラウマの原因はマリオン・コティヤール演じる主人公の妻なんだが、これまた確信犯的なギミックがしてある。 ミッション中の睡眠から目覚める合図となる音楽が「エディット・ピアフ/水に流して」である。07年「エディット・ピアフ~愛の讃歌~」でマリオン・コティヤールがピアフを演じたことは映画ファンなら脳内に刷り込まれている潜在意識までもを、ノーラン監督はコントロールして楽しんでいるのだろう、意地悪な奴だ。 映画の設定は仮想現実世界を描いた同じワーナー映画「マトリックス」との共通点を感じるが、本作はより複雑で難解である。映像表現も「マトリックス」より更に上を行く物だ。特にホテル内での無重力対決はどの様に撮影したのか気になる所である。ノーラン監督が目指したのはスタンリー・キューブリックかデイヴィッド・リンチかは定かでは無いが、私のような凡人にはとても理解出来ない作品であった。 音楽について 本作の音楽を担当したのはハンス・ジマーだ。ノーラン監督とは「バットマン」シリーズに続いてのコラボ作品となるわけだ。映画全体に流れる反復するミニマル・エレクトロニック・サウンドは「ダークナイト」の冒頭で2音だけで作った楽曲を更に進歩させた様なサウンドが印象的であった。 映画「インセプション」関連商品 ★ディカプリオ最新作!★[初版・映画ポスター] インセプション (INCEPTION) [DS] ★渡辺謙も出演!★[初版・映画ポスター] インセプション (レオナルド・ディカプリオ) [REG-DS] 【中古】【DVD】エディット・ピアフ 愛の讃歌洋画 エディット・ピアフ/バラ色の人生~ エディット・ピアフ・ベスト(超低価格盤)(CD) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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