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テーマ:辛口映画批評(354)
カテゴリ:試写会2011
客入りは7割ほど、試写会の主権はAXNさんだ。
★ベン・アフレック監督、最新作★[初版・映画ポスター] ザ・タウン (THE TOWN) [DS] 映画の話 綿密な計画を立て、ある銀行を襲撃したプロの銀行強盗一味のリーダー、ダグ(ベン・アフレック)は、思わぬ事態から支店長のクレア(レベッカ・ホール)を人質に。その後クレアは無事解放されるが、強盗たちの影におびえる日々を過ごす。そんな中、彼女は魅力的な男性に出会うが、その男性こそが自分を人質にしたダグだった。 映画の感想 私はベン・アフレック監督作品を見るのは初めてであるが中々骨太な力作に仕上がっている。しかし、監督、脚本、主演を努めたアフレックが結局は美味しい所を持っていってしまった印象で、甘さを残した幕切れに若干不満が残る作品である。その結果、アフレックの相棒役を演じ徹底的に悪に徹したジェレミー・レナーの非情ぶりが際立ちアカデミー助演男優賞にノミネートされるのも納得であり、アフレックにとっては誤算だったかもしれない。 物語は強盗が家業とされるボストンの町で暮らす男達が、完璧にこなした銀行強盗で人質を取った事が誤算で思わぬ事態に陥ってゆく過程が描かれる訳で、映画は始まって直ぐに銀行強盗シーンからの幕開けとなる。彼らには自分達のポリシーがあり、強盗の際に誰一人傷つけることを避けている。かなり手の込んだ妖怪の様なマスクを被り、時間式の金庫からまんまと現金を奪うが、この日に限って女性支店長クレアを人質にとってしまう。強盗たちは逃走後に支店長を解放されるが、彼女が同じ街に住む住民だと知り強盗を行ったダグたちは、彼女の言動が気になり監視を始める。 まぁ、本作は一時の快進撃が嘘の様に寂しい状態になってしまった、ベン・アフレックにとっては再起を掛けた作品になるのだろう。アフレックと言えば友人のマット・デイモンがいる訳で、デイモンの方は役者として頭角を現しまくりで主演作が次々と公開されている。そんなデイモンの快進撃をアフレックが気にしていないはずが無い。そこで本作でアフレックは監督、脚本、主演と言う特権を生かし一番美味しい役をチョイスしたはずた。そんな意地悪な目線で本作を見るとアフレックの演じるダグは八方美人と言うのか、仲間には崇高な理念を掲げながらも、ちゃっかり本人は女支店長とはヨロシクやっている優柔不断男になってしまっているが、本人は結構この役を楽しんでいるふしを感じてしまった。 以下ネタばれ注意 本作のダグを見ると結構詰めが甘いのが気になる。彼女の前ではただの工事作業員のはずが、やたら犯罪の知識があり、知らないはずの彼女の愛車の車種まで知っていたり、まったくダメダメな男で、彼女のデート中も相方ジェムに見つかりシドロモドロになってしまったりで見ている観客が冷や冷やしてしまう始末である。この彼女とカフェデートシーンで一瞬ダグが空を飛ぶ飛行機を見つめるシーンと、映画冒頭で人質になったクレアが開放された後に頭上に飛行機が通過するショットがあったが、これは飛行機が彼らにとって逃避願望の象徴なのだろう。“タウン”と呼ばれる行き場の無い街で暮らす二人は、早くこの現実から抜け出したいと思っている心理を端的に上手く描いたシーンである。 本作はアクションシーンも見所だ。冒頭の銀行強盗、中盤の現金輸送車襲撃~カーアクション、クライマックスの野球場からの現金強奪、どれを取っても超一級なアクションに仕上がっている。中でもクライマックスに警察に包囲された後、FBIとの銃撃戦で仲間を失い、ダグとジェムが地元警察官に変装してFBIの包囲網を逃れるシーンで、FBI捜査官フローリーに逃亡中のジェムが発見され、銃撃戦にもつれ込み、その銃撃戦をダグが傍観者となるシーンが出てくるが、このシーンが不思議な事に私の大好きな日本映画「新幹線大爆破」の構図とそっくりなのには驚いた。「新幹線大爆破」では、警察に見つかった犯人が建物を包囲され爆弾で応戦するが、逃げ切れず事件現場で傍観者となった主犯格の高倉健の目の前で爆死する、と言った構成が本作とそっくりで不思議なデジャヴを味わってしまった。まさかアフレックも海外公開版の「新幹線大爆破」が見ていたのかな? 本作はクライムアクションとしてよく出来ている。しかし先にも書いたが物語の締め方が甘い。結局ダグが所属していた強盗組織は全滅するが、ちゃっかりダグだけが生き残り、別天地で余生を送る甘いラストには私は不満である。私の希望では最終的にダグは彼女が手入れする庭に大金を埋め、逃亡途中でFBIに見つかり死んでくれれば、クライムアクションとして傑作になったはずだが、原作どおりなのかもしれないが、ダグが生き残った事で作品がどこか綺麗事になってしまったのが惜しい。先ごろ亡くなったピート・ポスルスウエイトや、クリス・クーパーの好演も、ちゃっかり者のアフレックに美味しい所を持っていかれてしまったのが残念である。 映画「ザ・タウン」原作本 【送料無料】強盗こそ、われらが宿命(上) 【送料無料】強盗こそ、われらが宿命(下) 【23%OFF!】ゴーン・ベイビー・ゴーン 【MIRAMAX FILMS COLLECTION】(DVD) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.02.06 19:33:56
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