大阪みどりのトラスト協会の依頼を受け、2007年5月に『ブナ林再生の手引き』を執筆しました。1973年から始めた人工造林の研究成果をもとに、確立した技術をなるべくわかりやすく紹介したつもりです。簡単に言えば、9月から10月に母樹の下にネットを敷いておき、種を集めます。採取した種は、水につけて沈んだものを使います。これをプランターにまくだけで、芽は出てきます。もう一つ、特別な方法があります。「芽だしまき法」といって、湿った新聞紙に包んで、5度の冷蔵庫に入れておくと、3月下旬頃には白い根がでます。学問的には「低温湿層処理」といいますが、春先にブナ林へいって雪を掘り起こしてみると、下で発芽していることがあり、それを応用したものです。苗木は1年で15cmぐらい成長します。

平成19年の日本森林学会のある論文によると、地球温暖化の進行によって、白神山地のブナ林は、2100年には現在の0.6%まで縮小するか、または消滅するおそれがあるというショッキングなシミュレーションが発表された。和歌山県熊野地方の果無山脈や大塔山系の標高800mあたりから上にブナの純林があるが、ブナ林は沢沿いに逃避し、ブナ林よりも標高の高い山頂付近に照葉樹のカシ類が進出しているという。分布の逆転現象が起こっているのである。温暖化による山の変化は、すでに始まっているのです。
吉田昭市氏の監修された『伯耆大山』という本があります。(1991年 山と渓谷社)この写真集も、大山の四季折々の魅力を伝えているのですが、中国地方の単独峰だからなのか、本当に変化の激しい山であることがよく分かります。穏やかな山地に、急に標高の高い山がそびえるわけですから、植物も多彩です。いよいよ紅葉のシーズン。11月の3連休は、きっと多くの人が大山を訪れることでしょうね。

3月も終わりに近づいたある日、天気がよかったので、大山環状線へ車を走らせた。快晴の空と白い雪原。最高のシチュエーション。このコントラストが、なんともいえません。厳しい冬を過ごし、春の訪れは、ブナの木にとってもうれしそうです。(筆者撮影)

大山には、四季折々の姿がある。この本は、その雄大な自然を見事に伝えている。朝焼けの大山。厳冬の夕日を受ける大山。本当に広葉樹の似合う山である。是非この本を読んでいただきたい。なお、散策ガイドも載っているので、ツアーに持って行くのもよいでしょうね。
わたしは、冬の樹林からのぞく青空が好きです。青い空と白い雪原。氷を身にまとったブナの枝。時が一瞬、止まったような気がします。

10月も後半、いよいよ紅葉の季節ですが、今年はどうでしょうか?地球温暖化で、紅葉もどこか色づきが悪いような気がします。大山のおすすめスポットは、環状道路の鍵掛峠から見る景色ですね。かなり上部まで植林されているのが残念ですが、当時は雪害に対する認識も甘かったのでしょう。一度訪れてみてください。

ブナは、実生林では40~50年生、胸高直径15~20CMにならなければ、実がならない。ブナは普通2個の実をもっている。三角形で先はとがっていて、クリの実に似ているのでソバグリとも言われている。大山では、昭和48年から平成8年までの24年間で、豊作の年が6回あった。
