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Atelier Mashenka

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2006.04.09
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カテゴリ:アート
一村雨さんのブログで知って、うらやましくてさっそく行ってみました、
宮内庁三の丸尚蔵館「花鳥~愛でる心、彩る技」。
副題にはさらに副題がついてて、<若冲を中心に>、
そう、念願の“極彩色の若冲”を見る機会がやっと来ました~!

今年はテーマの1つは「日本の画家の作品を見ること」で
中でも若冲はその筆頭だったけど、
上野の国立博物館とニューヨーク・バーク・コレクションで見たのは
モノクロか、単色画に近いような淡い色彩の作品だったから
若冲の強烈なカラー作品の本物を見るのは初めて。
もうどきどき。

天気も良く、まだ桜も残っていたり、山吹がお堀に鮮やかだったりして
御苑内を人々はゆったりそぞろ歩いているのに
尚蔵館へ向かう私は、若冲に会うために自然と急ぎ足に。


尚蔵館内は予想よりもさらに小規模で、ほんとに小さな公民館ほどの広さ。
けっこう人気で、若いカップル、今どきの男の子、年配のご婦人連、
欧米人の旅行者たち、さまざまな人達が小さな空間で絵に見入っている。

椿や桜を、品種別に丹念に描いた図録のようなものも興味深かったけれど
やはりなんといっても若冲の花鳥画「動植綵絵(どうしょくさいえ)」が迫力あって、
目が釘付けになる。
驚きと感嘆と、不思議なざわざわ感が押し迫ってくる。

30幅のうち、6幅ずつ5期に渡って展開されるという。
大きな掛け軸で、小さな会場では見上げながらの鑑賞なので
より圧倒されるのかもしれない。


「老松白鶏図」、鶏の羽の白のあでやかさにため息。
白と言っても金泥のような色や、淡い褐色が施され、微細に羽毛が描かれている。
パネルの説明では、これは「裏彩色」という技法が用いられているという。

金泥などを表から塗ったのではなく、
絹地の裏から黄土という黄褐色の顔料や、胡粉という白の顔料を塗り、
絹の繊維の隙間から、裏面に塗った色が表にも透けて見える技法だという。
ボリュームや透明感を出す効果があり、
平安時代のころから仏画などに使われてきたらしい。

そうした手法が、あんなにつややかで微妙な白、
わずかに黄金がかっていたり、陰影がありながらもにごっていない白、
を生み出しているのかあ・・改めて納得!

ちなみに松の緑などには緑青(ろくしょう)が、
幹などには代赭(たいしゃ)という赤褐色の顔料が
やはり裏色彩として使われ、丁寧で凝った仕事ぶりがうかがえる。


「南天雄鶏図」、黒い鶏が勇ましく両足をふんばり、
たけだけしく鳴いている(もうほとんど吠えている)姿にもかかわらず、
描き方は端整そのもの。

ぴんと立ち、しなだれ落ちている尾羽の黒が、マットでなんとも上品なこと。
体の羽毛は墨色の濃淡と豊かな筆づかいで描き分けられている。
顔からとさかは赤く、白い斑点が緻密に描き込まれていて気色悪いほど(^^;)
草間彌生(←ちょっと苦手・・)を思い出す。
顔の赤は、背景のおびただしい南天の実の赤と呼応している。
南天の実に劣らず、葉の細かい描き込みさえ、一見の価値あり!と感じてしまう。

ところで、「動植綵絵」の一覧をざっと見ても、鶏が比較的多く画題として登場する。
ずいぶん前に「美の巨人たち」で若冲が取り上げられたとき、
鶏を見つめて1年、と言っていて驚いた。
デッサンではなく、見つめることだけで1年を費やしたとは。
それだけに鶏の描き方はとりわけ並々ならぬ凄みを感じられる気がする。


「雪中錦鶏図」、雪に色鮮やかな錦鶏(キジ科の鳥らしいです)の図で、
冬だというのに、緑はひのきの葉かな?花はぼたんのように見えるけど
鳥も葉も花も色鮮やかに所狭しと描かれ、
どこを見ていいかわからないほどにぎにぎしい雰囲気。
次の「芦雁図」と共に、雪の描き方が非常に独特。


「芦雁図」、今回の6幅の中では一番シンプルで空白のある構図。
雪が芦につもり、したたり落ちる様子が、まるでクリームの溶けるが如く。
こんな雪の表現は東西含めて、初めて見た!
こうした造形(質感?)の面白さ(異様さ?)は本当に独特で、突出している。

構図の面白さ。真下へ向かって雁が飛ぶ。
下に氷の裂け目が描かれているから、えさの魚でも見つけたのかな?とも思ったが
翼を広げて真下へ向かうことはありえないだろう。
多分写実ではなく、こういう構図で鳥を描きたかったのだろう。
昨年見た川端龍子の「南飛図」をちらと思い出したりした。
構図の大胆さと裏腹に、首の茶色から胸元の白い羽毛へのグラデーション、
白の羽毛の1本1本の描き方など、非常に繊細だ。

溶けるクリームの雪とは別に、雪のしぶきを白であちらこちらに入れていて、
とてもセンスがいい。
その入れ方は走墨で入れるしぶきと非常に似ているので嬉しくなった。


6幅すべて、絹地の色が渋い灰緑色で、無彩色的なトーンなので
白や鮮やかな彩色が映え、格調高さをかもし出しているように感じられた。


皇居東御苑内、宮内庁三の丸尚蔵館「花鳥~愛でる心、彩る技」は
第1期は3月25日~4月23日まで。入場無料。

9月10日まで、5期に分けて次々と展示替えするので
できれば「動植綵絵」全部見たいなあ!
秋まで5回も贅沢な気分を味わえるなんて、今年はラッキーな1年だ★
一村雨さん、貴重な情報をありがとうございます!


このあと、桜や新緑を楽しみながらてくてく歩いて竹橋に戻り、
東京国立近代美術館で「藤田嗣治展」を見ました。
これはまた後ほど書きま~す。






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Last updated  2006.04.10 01:55:04
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