映画のようなラブ・ストーリー <優秀な相棒>
「 キュ~ン 」足元から動物の甘えたような声が聞こえてきた!きくさんは、ごく自然に腰を下ろし鳴き声の主を見つけた。それは1匹の子犬で、マツさんのうしろに隠れるようにしている。 「 あら、カワイイ犬! 」 事実、その子犬はとても愛くるしい子犬だった。穢れを知らないその目、「この人誰だろうう?」といいたそうな首をかしげるたまらない仕草。犬を大好きな きくさんが満面に笑みを浮かべながら手を差し伸べると、子犬も警戒心を解いたのか、マツさんのうしろからピョコピョコと出てきてきくさんに近づくと,彼女の手の甲に未だ乾ききれずに残っていた涙を、カワイイ舌でペロペロとなめた。 きくさんは、その子犬を抱き上げてからマツさんを見て、「 マツさんの犬?名前は? 」「その子犬は、お嬢さんにもらってきました。 ですから、その子の名前はお嬢さんが付けてあげてください」「え、わたしが名前を付けていいの?」まつさんは笑顔で大きく頷いてから 「はい、お嬢さんと作治さんのお役に立てる犬だと思いましてですから是非お嬢さんに名前を付けて頂こうとまだ名前をつけておりません」