映画のようなラブ・ストーリー < 理由 >
アルファポリス「恋愛小説大賞」にエントリーしてます。 此処からどうぞ 「映画のようなラブストーリー」 結局、作治さんの本音は、きくさんに届けられることはなかった。作治さんは、きくさんのことが、好きで、好きで・・・言い表せないほど大好きだった・・・なのにいや、だからこそ心優しい作治さんは、もしも きくさんが自分のお嫁さんになってくれた場合を想像して・・・夏は日に焼け、土埃に顔や手足を汚し・・・冬は冷たい風や水仕事のせいで、赤く霜焼けした手指に息をはきかけて温め、夜は慣れない薄いせんべい布団の中で身体を丸めて耐える。・・・そんなきくさんの姿が目に浮かぶ・・・それは作治さんには耐えられないことだった。 その日の作治さんの日記には、彼の偽らざる心情が書き込まれているが、その内のいくつかの文字は、水滴のような痕跡があり、滲んでいて読みづらかった。 P.S : 思い出すと、切なくて・・・でも、忘れることなんて出来ない・・・その想いが「言の葉の森の番人」たちの心に届き、彼らをして木々を揺らさしめ、言の葉は枝を離れ、ぼくの元へ届く・・・ぼくの小説はそうして綴られているのだと思う。