奇跡の4B 「夢 告」
奇跡の4B 「夢 告」前回のあらすじ昨夜は、と言ってもバッハには、何故かもう2週間くらい前のことのように思えるのだが・・・・・夜分にもかかわらず、笑顔を浮かべて迎えてくれたモーツァルト侍従長によって、2人が観た同じ夢の謎が解かれた。それはバッハが抱えていた不安を打ち消し、なお且つ希望を与えてくれた。バッハは感動で少年のように胸を膨らませて帰宅の途に就いたのだった。「本 編」翌朝、いつもより早く目を覚ましたバッハは、運よく表を通りかけた顔見知りの少年を呼び止めると、ベートーヴェンたち3Bに「わたしの家に集まるようにと、そう伝えてくれないか」と頼み、自転車を貸し、小遣いをあげた。それから約20分後、息を切らせ、駆けるようにして集まったベートーヴェン、ブルックナー、そしてブラームスたちの熱い視線を浴びながら焙煎豆を挽きコーヒーを淹れた。「さて・と・・・」3人は自らコーヒーを手前に置き、バッハは、自らの分を手にして椅子に腰を下ろした。バッハは、3人の顔を見渡してついに口を開いた。3人は一言も聞き漏らさないというように身を乗り出した。昨夜、モーツァルト侍従長によって語られたこと。それは全員にとってただの物語ではないのだ。「実は、王城にモーツァルト侍従長を訪ねる以前に私はある不思議な夢を見た・・・そしてそのことをモーツァルト侍従長に話した。不思議な夢の話をな。するとあの冷静沈着な侍従長が突然大きな声で『それは私が見た夢とそっくり同じ夢だっ!』・・・そう言われたんだ。さすがにわたしも驚いたよ、侍従長の声が大きかっただけじゃなく、な・・・」そう語るとバッハは喉が渇いていたのだろう、冷めかけたコーヒーをごくごくと飲み干した。その間、3人は聴きたての話を頭の中で整理しているように見える。まるでバッハがコーヒーを飲み始めるタイミングを待っていたかのように・・・「あの若者たちの演奏、歌・・・どちらも粗削りだが、自由で溌剌としていてな・・・聴衆の気分を高揚させる独特な何かを持っていた。それはモーツァルト侍従長も同じように感じられたと言っておられた・・・」3人とも揃って大きく目を開けて、瞬きも忘れたように聴き入っていたが、そこに大きな頷きが加わった。それは理解したというより、自分たちが同じ夢を見たならば、きっと同じように驚いていたのに違いないし、その情景さえ目に浮かぶようではないかと、言葉にすれば『同感?共鳴?』とにかくどちらかが働いて3人の心の中のスイッチを押した!それが頷くという形で表れたのではないだろうか。そしてバッハは、3人の顔を覗き込むように身を乗り出して言った。「心配は要らない。君たちが最も聞きたかったこと、『下界再誕』の時と場所を選べるか否か、だろ?・・大丈夫!その答えもちゃんとモーツァルト侍従長から頂いておるよ」今日の好きな曲は、Fleetwood Mac-Don't Stop,1977 です。みんな若くて元気一杯!ですねぇ。Alexpop,Thank you uploading!いつも応援ポチをありがとうございます♪今日もどうぞよろしくお願い致します。