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ボールは回る、地球も回る。-深読みオシムジャパンと日々雑感-

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2007.01.04
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約半年前、たまたま、ドイツワールドカップの日本対オーストラリア戦をテレビで見た。私は野球で育って来た世代で、中田英寿というビッグネームは知っていたが、どこのチームでどんなプレーをするのかは、全く知らなかった。その位のサッカー初心者で、この時が、1試合90分まるまるサッカーをテレビ観戦した初めての機会だった。(ワールドカップという大きなイベントだったので、ここアメリカでも、運良く地上波で中継していた。)

ほとんどサッカーについての知識や情報がないのに、ただ日本ガンバレと、かなり夢中になって応援していて、1-0の後、あの悪夢のようなオーストラリアの、怒涛の3ゴールを目撃したのである。

アメリカに住んでいるので、スポーツ紙やスポーツニュースを見る代わりに、インターネットのスポーツ紙サイトや、個人のサッカーブロブをいろいろと回って、日本サッカーの輪郭がおぼろげながら、見えてきた頃、例の中田英寿氏の突然の引退を知る。

そんなこんなで、サッカーの世界に少しずつ引き込まれてきた矢先、川淵キャプテンの“言ってしまったね”発言を発端にした、オシム狂想曲に、私も、巻き込まれて行くのである。

ジェフ千葉の公式ホームページでオシム語録を読み、GoogleやYahooで検索したオシムさんに関する記事を読み、ブログを回った。

そして、日系の書店を通じて、まだ店頭に並んでいなかった“オシムの言葉 - フィールドの向こうに人生が見える”を取り寄せた。

これが、私にとっての、オシム体験の始まりである。

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ただ、この頃、頭の中に最初に浮かんで来たのは、サッカーに対する興味よりも別の事だった。

ネットで日本の新聞をチェックする事は、毎日の日課なので、前の小泉首相の靖国神社参拝をめぐって、中国との摩擦が大きくなっている事や、自衛隊のイラク派兵をきっかけにして、日本の戦争の事実がほとんど風化する中で、憲法改正議論が再燃している事も知っていた。

また、不幸にも、911やブッシュ大統領のイラク政策をリアルタイムで経験してしまった私は、右や左とか、共和党とか民主党とかという立場の違いとは別次元で、いつも民間人や若い兵士が巻き込まれ、犠牲になることに、問題を解決するのに、ほかに方法はないのか、何でいつもこうなるんだと、折りにふれ、漠然と声にならない声を上げていた。

アメリカのイラク攻撃に反対するデモも、当時は、それなりに盛り上がってはいたが、もちろん、それは、ブッシュ大統領の信念を止める事は出来なかったし、タブロイド紙の、ジェット機や星条旗を誇らしげに掲載した、好戦的な記事には、一瞬自分の目を疑ってしまった。

それなのに、今頃、ブッシュ大統領の支持率が下がっても、もう遅いのだ。自国の兵士の犠牲は3000人を越え、イラクではその何倍もの人命が失われ続けている。

このような事が、頭の片隅をよぎる中、私は、サッカーの話の背景として出て来る、オシムさんの旧ユーゴスラビアでの体験が、彼のインタビュー記事や、“オシムの言葉 ”などの本を通じて、日本の空気に、何かしら考えるヒントや、影響を与える事が出来るのではないかと、少しばかり妄想的に、そして少しばかり期待を込めて、考えたのである。

それは、もちろん、直接的な影響ではなく、文字どおり空気のような、かすかな無意識のチリの様なイメージが頭の中に浮かんで来たのである。

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これまでの代表監督が、インタビューや自伝などの中で、どんなことをしゃべっているのかは、全く知らないが、少し注意深く見ると、そういうインタビューや本の中に、人生、戦争、原爆という単語が少なからず登場するサッカーの監督というのは、かなり人の目を引く。

オーストリアのSKシュトゥルム・グラーツの監督の後、東京オリンピックで来日の際の好印象や、ジェフ千葉の祖母井秀隆GMの熱心な監督要請などの、要因はあるにせよ、祖国での仕事の機会を断って、日本での仕事を決めた遠因は、民族浄化と内戦によって、いくつにも分裂してしまった旧ユーゴスラビアの、いずれの国にもくみしないという、強い意志によるという事が、すでに色々なところで指摘されている。

そして、代表監督就任と共に、本はベストセラー入りし、メディアへの登場も、ジェフ千葉の監督時代と比較しても、格段に増えていた。

選挙制度が、人々の要望を正確に反映しているかどうかという事は別にして、とにかく選挙や議会は数がすべてである。日本でオシムさんの情報に接する人は膨大な数で、本を買う人は、色々な理由があるにせよ積極的に、オシムさんに興味を持っている。

この様な、不特定多数のたくさんの人が、オシムさんのサッカーやサッカー理論の背景である、旧ユーゴスラビア崩壊に伴う一連の体験を、言わば、オシムさんの無意識として、積極的に目を向ける対象ではないにも関わらず、何らかの影響や考えの変化を、頭の隅っこで、少しでも受けたとすれば、その1票は、違った1票になるのではないかと思ったのである。

選挙とは関係なくとも、その人の考えの底の方に、オシムさんの言葉と体験が無意識の内に反映される事も、ない事ではないだろう。こんな小さな事がたくさん起これば、日本の空気が、多少は、変わるかも知れないし、あるいは、そうでないかも知れない。

ただ、意識的な事だけで、何かが出来ると考えるのは、色々な可能性や選択肢を閉ざしてしまうと思う。無意識にも同じようにパワーがあるとすれば、結局ひとりでは何も出来ないという、ネガティブでシニカルな考えを持たなくても済むだろう。

実際、ずっとずっと昔、アメリカがベトナムに侵攻して、最後には、撤退を余儀なくされた背景には、エレキギターだとか、長髪だとか、ジーンズファッションだとかが、目に見えない力を、発揮していたのではないかと、今になって、思いあたる。

しかしそれは、とにかく、無意識だから、はっきりとは分からないのだ。

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こんな事を考えたのが、サッカーとは全然関係ない、私の最初のオシム体験だったのである。という訳で、私の深読みは続く。今年も、よろしくお願いします。





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最終更新日  2007.05.17 10:33:55



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