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カテゴリ:手形法
手形は形式さえ満たしていれば必ずお金が支払われるように しなくてはならない、と昨日申し上げました。 そこで、その満たさねばならない形式とはなんでしょう。 そこで、手形法の条文を見ましょう。 第七十五条 約束手形ニハ左ノ事項ヲ記載スベシ 一 証券ノ文言中ニ其ノ証券ノ作成ニ用フル語ヲ以テ記載スル約束手形ナルコトヲ示ス文字 二 一定ノ金額ヲ支払フベキ旨ノ単純ナル約束 三 満期ノ表示 四 支払ヲ為スベキ地ノ表示 五 支払ヲ受ケ又ハ之ヲ受クル者ヲ指図スル者ノ名称 六 手形ヲ振出ス日及地ノ表示 七 手形ヲ振出ス者(振出人)ノ署名 これが書かれていれば手形として認められ、逆に書かれていないと法律上手形とは認められません。 これを「必要的記載事項」と言います。 では、これ以外のことを書いたらどうなるのでしょう。 まず、書くと手形が無効になってしまう事柄があります。 これを「有害的記載事項」と言います。 抽象的には手形に書かれたお金の支払の信用性を失わせる事柄をいい、例えば「もし、○○を手に入れたら支払ます」とか「分割払いします」とか言う記載をいいます。 次に、書いても無効にはならないが、無意味なものとして 扱われる事柄があります。 これを「無益的記載事項」と言います。 抽象的には、手形として当然のことなので書いても意味が無い事柄を言います。 例えば、「手形と引き換えに支払います」とか「手形を呈示(提示)すれば支払ます」とかいう事柄です。 これらは手形法で定められているので わざわざ書かなくてもいいのです。 第三十八条 確定日払、日附後定期払又ハ一覧後定期払ノ約束手形ノ所持人ハ 支払ヲ為スベキ日又ハ之ニ次グ二取引日内ニ支払ノ為手形ヲ呈示スルコトヲ要ス ○2 手形交換所ニ於ケル約束手形ノ呈示ハ支払ノ為ノ呈示タル効力ヲ有ス (引用注・「為替手形」を「約束手形」に置き換えて記載。以下同じ) 第三十九条 約束手形ノ支払人ハ支払ヲ為スニ当リ所持人ニ対シ手形ニ受取ヲ証スル記載ヲ 為シテ之ヲ交付スベキコトヲ請求スルコトヲ得 そして、最後に書いても無効にならず、書いた事柄通りの効果が 発生する事柄もあります。 これを「有益的記載事項」と言います。 抽象的には手形に書かれたお金の支払の信用性を失わせる事柄でなく、法律上当然に定められているわけではない事柄を言います。 例えば、利息の記載です。 第五条 一覧払又ハ一覧後定期払ノ約束手形ニ於テハ振出人ハ 手形金額ニ付利息ヲ生ズベキ旨ノ約定ヲ記載スルコトヲ得 其ノ他ノ約束手形ニ於テハ此ノ約定ノ記載ハ之ヲ為サザルモノト看做ス 以上が手形の要件にまつわるお話です。 では、手形は要件さえ記載すれば権利が発生するのでしょうか。 それについてはまた明日。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2004年08月04日 08時27分56秒
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