|
テーマ:法律(493)
カテゴリ:刑法
因果関係とは、 1、条件関係が有ること 2、その条件関係は相当であること をいい、1については昨日申し上げました。 では、2はなんでしょう。 何故条件関係が有るだけでは因果関係があると言えないのでしょうか。 例えば、蒲原が清水君に切りかかったが、その場では清水君は死亡せず、病院に運ばれた。 しかし、病院に火災が起こり、清水君は焼死してしまった、 と言う場合はどうなるでしょう。 蒲原が清水君に切りかかりさえしなければ、清水君は病院に運ばれることも有りませんでしたから、清水君は死ぬことはありませんでした。 ということは、「(蒲原の)実行行為が無ければ(清水君死亡という)結果が発生しなかった」と言うことになり、条件関係があることになります。条件関係が有ると言うことは 殺人既遂罪になりうることになります。 しかし、この場合に因果関係を認めるのはあまりに変ではないでしょうか。 もし、清水君が他の病院に運ばれていたらおそらく火事は起こらず 清水君は死ぬことは無かったのです。この場合なら殺人未遂罪で済みました。 このように加害者蒲原が予想すらしていなかった事情によって 刑が変わると言うのは不均衡ですね。 そこで、因果関係を認めるには条件関係の以外にも要件を付け加えるべきなのです。 その要件が「2、その条件関係は相当であること」と言うことなのです。 条件関係があってもその条件が相当でなくては因果関係を認めるわけには行きません。 ナイフで切りつけたら焼死したというのは因果関係を認めるわけにはいかないので「相当性」と言う要件が必要です。 では、相当性とは何でしょう。 とりあえず、ナイフで切りつけたら焼死したというのは条件関係が相当ではなく因果関係を認めるべきではないのは明らかですが、 何を基準にして相当性があるといえるのでしょうか。 ここで、もう一度構成要件について思い出してください。 法律は一般人の意思を反映したものである。 ↓ 刑法も法律だから、刑法も一般人の意思を反映したものである。 ↓ 構成要件は刑法に当てはまるか否かの問題だから、 構成要件にも一般人の意思を反映すべきである。 という論理の流れをご紹介しました、 そして、因果関係も構成要件の一要素なのですから、 構成要件に一般人の意思を反映すべきであれば、 因果関係にも一般人の意思を反映すべきだと考えられます。 よって条件関係が有り、一般人がその条件関係を相当だと思うならば因果関係を認めても良いと言えるでしょう。 つまり、実行行為と結果に条件関係が有りその条件関係について 一般人が相当だと思うのであれば因果関係を認めてもよいでしょう。 例えば、清水君が火事で死んだのなら一般人は相当性は無いと 考えるでしょうが、清水君が医療ミスで死んだ場合ならどうでしょう。 医療ミスが珍しくない今、医療ミスであれば一般人も相当と思うでしょう。 あるいは、普通清水君が火事で死んだのなら一般人は相当性は無いと思うでしょうが、もし、何かの事情で清水君が運ばれる病院に火事が起こると蒲原が知っていた場合は因果関係を認めてもいいですね。このような特殊事情を加害者が知っていた場合は 相当性を認めてもよいと考えられます。 よって相当性とは、原則として一般人を基準にしますが、一般人が 相当と思わない場合でも、特殊事情を加害者が知っていた場合をも含みます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2004年08月23日 00時09分38秒
[刑法] カテゴリの最新記事
|