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2004年08月28日
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テーマ:法律(493)
カテゴリ:刑法

正当防衛と混同されやすいのが緊急避難です。
条文を見てみましょう。

(緊急避難)
第三十七条  
自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する
現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、
これによって生じた害が避けようとした害の程度を
超えなかった場合に限り、罰しない。
ただし、その程度を超えた行為は、情状により、
その刑を減軽し、又は免除することができる。
2  前項の規定は、業務上特別の義務がある者には、
適用しない。

正当防衛と比べてみましょう。

第三十六条  
急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、
やむを得ずにした行為は、罰しない。
2  防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。


まず違うのは、緊急避難には「急迫不正の侵害」という言葉が入っていません。
つまり、緊急避難をするには別に「不正」の侵害、つまり違法な行為が無くてもいのです。
例えば蒲原が合法な行為をしていても、それに対抗する清水君の構成要件に該当する行為が、緊急避難として違法性がなくなる場合もあるのです。

何より違うのは、緊急避難には「やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り」という制限があります。
正当防衛は「やむを得ずにした行為は、罰しない。」というように
行為がやむを得なければ成立するのですが、
緊急避難は行為がやむを得ないだけでなく、さらに「生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り」という条件を満たさねばならないのです。

つまり、蒲原に対し清水君が緊急避難をするためには、清水君が生じさせた害が、蒲原の生じさせようとした害を超えてはいけないのです。
正当防衛と違い、行為だけでなく結果もやむを得ないと言えるものでなくてはなりません。
これら二つが緊急避難と正当防衛の違いです。
なお、「自己又は他人の生命、身体、自由又は財産」というのは「自己又は他人の権利」と同じと考えてください。


緊急避難としてよくあげられるのは、
「旅客船が沈没し、蒲原と清水君が海にに投げ出された。
 このとき清水君は運良く一人用の浮き輪を見つけたが、
 蒲原は見つけられなかった。それを見た蒲原は清水君の浮き輪に
 しがみつこうとしました。しかし、浮き輪は一人用なので
 蒲原にしがみつかまれたら自分が死んでしまうと思った清水君は
 蒲原が死んでもいいと思って突き飛ばし、蒲原は死んでしまったた」
という場合です。

蒲原の行為は違法性の無いものですが、
清水君にとっては自分の命が危ないですから、清水君にとっては「自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難」があることになります。
そして、「生じた害」は蒲原の死亡であり、「避けようとした害」は清水君の死亡、又は蒲原・清水両名の死亡でありますから、
生じた害は1人の死亡、避けようとした害は1人または2人の死亡ですから、
「やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合」といえます。
よってこの場合には緊急避難が成立して、清水君の行為は違法性が無く、清水君は無罪となります。

では、2項はどういう意味でしょう?

2  前項の規定は、業務上特別の義務がある者には、適用しない。

これは、清水君がライフセイバーだった場合などです。
例えば、
「清水君はライフセイバーとして蒲原を助けにきた。
 ところがなぜか清水君は蒲原のための救命胴衣を持ってこなかった。なので蒲原は清水君にしがみついてきてしまった。
 生命の危険を感じた清水君は、やむを得ず蒲原を突き放して
 蒲原を死亡させてしまった」
パッと見は先ほどの旅客船沈没の例とよく似ています。
ですが、清水君はライフセイバーですから、業務上人の命を助ける義務があります。
それなのに緊急避難だからといって蒲原を死なせてしまっては意味がありません。
そこでこのような場合には緊急避難が成立しないのです。

それにしても、緊急避難は無罪とはいえ、切ないですね。





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最終更新日  2004年08月28日 00時53分29秒
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