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テーマ:法律(493)
カテゴリ:刑法
第5章 国家に関する罪 2 内乱罪 さて、内乱をしたらどうなるのでしょうか。 条文をご覧下さい。 (内乱) 第七十七条 国の統治機構を破壊し、又はその領土において国権を排除して権力を行使し、その他憲法の定める統治の基本秩序を壊乱することを目的として暴動をした者は、内乱の罪とし、次の区別に従って処断する。 一 首謀者は、死刑又は無期禁錮に処する。 二 謀議に参与し、又は群衆を指揮した者は無期又は三年以上の禁錮に処し、その他諸般の職務に従事した者は一年以上十年以下の禁錮に処する。 三 付和随行し、その他単に暴動に参加した者は、三年以下の禁錮に処する。 「国の統治機構を破壊し、又はその領土において国権を排除して権力を行使し、 その他憲法の定める統治の基本秩序を壊乱することを目的として暴動をした」が内乱行為だと思ってください。 つまり、内乱の首謀者でさえ無期禁錮で済む場合がありえるのです。(「禁錮」とは強制労働のない懲役だと思ってください) 外患誘致も内乱も日本国の破壊という点では同じなのに、何故内乱の方が若干罪が軽いのでしょうか。 それは、外患誘致は全くの利己的行為なのに対し、内乱は多少利他的行為を含むからなのです。 つまり、外患誘致の場合は日本国を外国に売り渡す行為に他なりません。 しかし、日本人がわざわざ日本国を破壊する内乱は、「今の政府では日本は良くならない。それならいっそ自分が実権を握って日本を良くしてやる」と考えて内乱をする場合がありうるのです。 例えば、明治維新を考えてください。 今でこそ西郷隆盛らは偉人扱いですが、当時の体制側の江戸幕府から見れば内乱者に他なりません。 西郷隆盛らは日本を良くしようとして倒幕を果たしたのです。 このように内乱罪は利他的行為を含むことがあるので、 外患誘致罪より罪が軽くなります。 ところで、条文が「暴動をしたものは」となっているのにお気づきですか? 条文は内乱行為をした時点のみについて規定しています。 では、内乱に成功したらどんな罪になるのでしょうか。 ・・・その時は内乱者が正義となり、この刑法は存在していません。なので無罪としか言いようがないでしょう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2004年11月30日 00時51分28秒
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