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テーマ:法律(493)
カテゴリ:民法
民法家族法編 第1章 親族分野 3 離婚の要件 婚姻をご説明した以上、その終りの離婚についてもご説明しなくてはなりません。 まず、話し合いで離婚する分には何も問題ありません。 当事者が離婚したければ離婚させるのが一番だからです。 第七百六十三条 夫婦は、その協議で、離婚をすることができる。 第七百六十五条 離婚の届出は、その離婚が第七百三十九条第二項及び第八百十九条第一項の規定その他の法令に違反しないことを 認めた後でなければ、これを受理することができない。 ○2 離婚の届出が前項の規定に違反して受理されたときでも、 離婚は、これがために、その効力を妨げられることがない。 このように話し合い+届出で離婚できます。 これを協議離婚といいます。話し合いと言う協議で離婚するからです。 これは婚姻意思と婚姻届出が必要な婚姻とよく似ていますから分かりやすいと思います。 しかし、話し合いのみが離婚の手段としていいのでしょうか。 婚姻の場合は話し合いがまとまらなければ婚姻は出来ませんが、それでも誰も困りません。 しかし、離婚の場合は話し合いがまとまらなければ離婚できないと言うのでは困る場合があります。 例えば、夫が妻に暴力をふるうのに何故か離婚してくれないと言う場合があります。 この場合、妻がもし新しく優しい男の人を見つけても、今の夫が離婚してくれない限り 新しい男の人と結婚できません。これは困ります。 そこで、離婚の場合は裁判で強制的に離婚させる手段があるのです。 それが裁判上の離婚と呼ばれる物です。条文をどうぞ。 第七百七十条 夫婦の一方は、左の場合に限り、離婚の訴を提起することができる。 一 配偶者に不貞な行為があつたとき。 二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。 三 配偶者の生死が三年以上明かでないとき。 四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込がないとき。 五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき ○2 裁判所は、前項第一号乃至第四号の事由があるときでも、 一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。 「不貞な行為」というのは早い話不倫です。 「悪意で遺棄」というのはいわゆる「捨てられた」と言うやつです。 感覚としては離婚届にはサインしていないのに、一方的に別れを告げられてそのまま家を出て行ったというところでしょうか。 「配偶者の生死が三年以上明かでないとき」というのは捨てられたわけではないのに三年以上音信普通になっていることを言います。 朝、普通に出かけたのにそのまま帰ってこないことを想像していただければいいでしょう。 ちなみに失踪宣告は7年以上の音信不通が原則なので混同しないで下さい。 「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込がないとき」というのはそのままです。 以上が条文で定められている離婚原因です。 しかし、離婚原因なんて夫婦それぞれですから、一義的に決めるわけには行きません。 そこで、 「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」という包括的な条文をおいて、 重大事由がありさえすれば離婚できるようになっています。 ポピュラーなのは、先ほど例にあげた夫の暴力とか、あるいは性生活の不一致だそうです。 このような場合には「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」として、話し合いで離婚できなくても裁判で離婚することができます。 離婚の効果としては、再婚が出来るようになることがまず挙げられます。 他には、財産分与を請求することが出来ます。 第七百六十八条 協議上の離婚(引用者注・裁判上の離婚も含む)をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。 前回申し上げましたとおり、夫婦間とはいえ、財産は各個人のものです。 とすると、夫が会社員で、妻が専業主婦という場合、夫の稼いできたお金は全て夫の物であり、妻は一銭も持っていないと言うことがありえます。 このような状態で離婚した場合、妻は無一文で新しい生活をしなくてはなりません。 そうなると、妻はたとえ離婚したくても生活のために離婚できない状態に追い込まれることになります。 これでは妻に酷なので、離婚の際には相手方から財産を分与するように請求できるのです。 ですから、経済的な理由で離婚をためらっている場合もまずは弁護士などに相談して離婚に伴う財産分与について詳しく聞いてみてはいかがでしょうか。 あと、離婚の効果としては復氏があります。姓が婚姻前に戻るのです。 感覚的に当たり前だとお考えでしょうが、念のため書いてあります。 ただし、一定の手続をすれば婚姻時の姓を名乗ることが出来ます。 婚姻後の姓で、バリバリ仕事をしていたため、今更姓が変わるのは 仕事上不都合がある場合には姓を変えないことがあるようです。 第七百六十七条 婚姻によつて氏を改めた夫又は妻は、 協議上の離婚(引用者注・裁判上の離婚も含む)によつて婚姻前の氏に復する。 ○2 前項の規定によつて婚姻前の氏に復した夫又は妻は、 離婚の日から三箇月以内に戸籍法 の定めるところにより 届け出ることによつて、離婚の際に称していた氏を称することができる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2004年12月31日 15時35分07秒
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