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マックス爺のエッセイ風日記

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2017.02.20
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カテゴリ:写真
<天守台の巻>

 2月初旬に病院で定期検査を受けた後、家まで走って帰りました。その途中にあるのが仙台城。通称は青葉城で、仙台で「仙台城」などと呼ぶ人はほとんどおりません。昨日は隅櫓、旧大手門、本丸の石垣まで紹介しましたが、今日はその続きで天守台を紹介します。昨日も書いたように仙台城は北と東を広瀬川が流れ、東と南に深い断崖があるため、天守閣は初めから造りませんでした。


  

 仙台城の鳥瞰図です。向かって左手が本丸。右手が二の丸。その中間の下部に三の丸があります。旧二の丸の跡地は、現在東北大学の構内となっており、旧三の丸跡には仙台市博物館があり、伊達家関係の資料が常設展示されています。本丸跡の天守台には、藩祖伊達政宗の騎馬像、観光施設の本丸会館、護国神社などがあり、観光客のための駐車スペースが用意されています。


   

   伊達政宗公の騎馬像です。彼は今でもここから仙台市内を見下ろしています。

  

 政宗は伊達家第十六代輝宗と正室義姫(最上氏)の嫡男として、永禄10年(1567年)山形県の米沢城で生まれました。幼少時に疱瘡にり患し、片目を失ったことから「独眼竜」の異名があります。正室は愛姫(めごひめ)で、坂上田村麻呂の末裔である田村氏の出です。


  

  勇猛果敢な政宗は、父輝宗の死後も近隣の戦国大名と戦い続けて領土を拡張します。


       

 政宗の領土の変遷図です。一時は東北地方の南部の大半を奪いましたが、天下統一を果たした豊臣秀吉の戦後処理によって、現在の宮城県全体と岩手県の南半分が新たな領土となりました。後に一ノ関藩、水沢藩(共に現在の岩手県南部)を分藩します。このほか長男(庶子)の秀宗は伊予宇和島藩10万石の初代藩主となります。これも家康が政宗を重視した証でしょう。


            

 政宗は居城を宮城県北部の岩出山(現大崎市)から現在の地に移します。それに先立ち、仙台の城下を整備し、上水道を造ります。これは「四谷用水」と呼ばれ、現在も工業用水などに使用されています。政宗に従って、お寺や商人、技術者たちも、米沢 → 岩出山 → 仙台と移動して来たのです。


   

 仙台藩の石高は62万石でしたが、政宗は領内の湿地や沼地を干拓して水田に変え、実質は100万石に相当する石高があったそうです。合わせて北上川や阿武隈川の改修を進め、内陸部に水路を造って水運を改良し、余剰米を江戸に送って藩の財政を豊かにさせました。

                   
  

 伊達家の家紋の一つである「三つ引き紋」。仙台市の市章はこれをアレンジしています。


  

 騎馬像の台座に刻まれたレリーフは、臣下である支倉常長をイスパニア(現在のスペイン)やローマに遣わした際のものと思われます。政宗は当時の大国であったイスパニアとの通商によって、密かに巨利と先進文化を得ようとしていたのでしょう。残念ながら諸事情により夢は実現出来ませんでしたが、当時の大名としては気宇壮大な構想を描ける英雄でした。


  

 英雄政宗は寛永13年(1636年)に68歳で没します。死因はガン性腹膜炎と言われています。彼の遺骸は、生前に彼自身が選んだ丘の上に丁重に葬られ、その上に桃山様式の華やかな霊廟が建てられました。霊廟の瑞宝殿は国宝に指定されましたが、残念ながら戦災により焼失し、現在の物は復元されたものです。復元に先立って発掘調査が実施され、身長や死因なども特定出来たそうです。


             

 騎馬像のすぐ横に、「東日本大震災」の慰霊碑があります。本来は明治時代に作られた記念碑で、後ろの高い台座にありました。戦時中も供出しないで済んだのは、皇室との関係からのようです。東日本大震災時に台座から落ちて損傷したのを補修し、現在では近くで見ることが可能になりました。


    

 天守台の一角に唱歌「荒城の月」の作詞家である土井晩翠(明治4年~昭和27年;1871~1952年)の肖像があります。彼は旧制二高、帝国大学卒業の英文学者で、母校の第二高等学校教授を勤めました。文化勲章受章者であり、仙台市の名誉市民になっています。
「春高楼の花の宴・・・」。私たちの世代の人間にとっては、とても懐かしい歌ですね。<続く>





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Last updated  2017.02.20 06:41:12
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