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せっかく情報収集衛星を導入したのに、今回の事件ではあまり役に立たなかったようです。しかも記事によると、日本の衛星は他国の衛星に比べて能力に劣るとあります。光学技術は日本のお家芸だと思うのですが、いろいろと事情がありそうです。というわけで、少し調べてみました。 情報収集衛星は、当然ながら性能などは秘密にされているので、公式な資料としては大まかなことしか分かりません。ちなみに公表されているスペックは、光学衛星で分解能1m程度、合成開口レーダーで分解能1~3m程度…とのことです。この手の公式発表は必ずしも信用できるわけではないですが。ちなみに、それぞれのセンサーは既存のセンサーを改良した代物(詳しくはココ参照)。以下に問題点を書いてみます。 [光学衛星の問題点] 1.小さすぎ 光学衛星の衛星バスが、2002年9月にH-IIAロケット3号機で打ち上げた次世代型無人宇宙実験システム「USERS」と同一のものであるとの指摘があります。ようするに地上を覗く望遠鏡を搭載するドンガラのことなんですが、これが小さい(1.6m×1.5m×1.2m)。望遠鏡なので、当然ながらレンズの直径が大きい方が分解能も高くできるので良いのですが、だいたい40~45cm程度の口径だろうと推測されています。最大分解能0.8mの米スペース・イメージング社民間地球観測衛星「イコノス」の光学系は口径が71cmですので、かなり小さめということがわかるでしょう。 2.ぶれる 光学衛星には衛星の直下だけではなく、斜め横方向にセンサーを向けて観測を行う機能(ポインティング機能)が必要ですが、センサーのサイズからして、衛星の姿勢を変えずにミラーを使って斜め横を観測する仕組みは組み込めないだろうと推測されています。従って衛星全体を傾けて斜め方向の観測を行うしかないのですが…IGSには長い太陽電池パドルが突き出しており、衛星の姿勢を変えるとパドルが震動し、衛星全体を揺すぶってちょうどカメラの「手ぶれ」と同じ現象で観測画像がぼける可能性があります。 [原因] 簡単に言えば、お金と時間が足りなかっただけ。衛星バスに既製品を流用したせいで、搭載するセンサーの性能を縛ってしまった。センサーは既製品を改良したとはいえ、新規に開発したものだ。1998年のテポドンショックで急遽開発が決まり5年間という限られた時間での開発は、やはり無理があったと言えるでしょう。予算も当初別枠で、と言われながら結局は宇宙開発予算から出ています。 実際に光学衛星を試験運用してみると、ちょっと問題がでてきたようで、朝日新聞の報道によると、光学衛星の分解能は1mに達せず2~3m程度に留まっているようです。何でわざわざこんなことを公表するのか謎なんですが、困ったものです。これが欺瞞情報であってほしいのですが…。民間衛星以下の性能しかないってのはちょっと悲しいです。シャッター権が日本政府にあるってことは非常に重要だとは思いますが、必要な精度が得られなければ意味がありません。 ※中央の画像が分解能3m 右の画像が分解能1m これらの情報収集衛星の軌道は、内閣衛星情報センターによって管理され非公開となっているのですが、NORAD(北米防空司令部)に公開されちゃってます。 軌道データは2行軌道要素(Two Line Element:TLE)という標準化された形式で公開されます。 情報収集衛星のTLEデータは以下の通りです。打ち上げの国際番号は200309、2003年の9番目の打ち上げを意味します。AからFまでの6個の物体が軌道に投入されました。衛星2機、第2段、そして衛星2機同時打ち上げ用フェアリングのパーツ3つです。衛星は離心率からみて、200309Aと200309Fだと思われます(光学衛星とレーダー衛星の区別は不明)。 2003009A 1 27698U 03009A 03088.51625000 .00004167 00000-0 16560-3 0 60 2 27698 97.3068 160.9810 0004807 350.2821 199.8390 15.25837605 227 2003009B 1 27699U 03009B 03088.21910865 .00067251 00000-0 25821-2 0 55 2 27699 97.3016 160.6911 0005320 4.1601 355.9681 15.26184829 189 2003009C 1 27700U 03009C 03088.22461088 .00008765 00000-0 40335-3 0 50 2 27700 97.3015 160.6268 0067992 319.2319 40.3835 15.18468429 183 2003009D 1 27701U 03009D 03088.54657030 .00040179 00000-0 15314-2 0 75 2 27701 97.3043 161.0067 0008178 349.4357 10.6709 15.26556007 229 2003009E 1 27702U 03009E 03088.54675301 .00073870 00000-0 28131-2 0 61 2 27702 97.3132 161.0163 0006296 359.9529 0.1715 15.26420818 223 2003009F 1 27703U 03009F 03088.51733796 -.00002872 00000-0 -11374-3 0 60 2 27703 97.3048 160.9778 0002692 264.9578 284.9437 15.24629705 211 200309Aが485x491kmで軌道傾斜角97.3° 200309Fが490x494kmで軌道傾斜角97.3° 回帰日数4日の準回帰太陽同期軌道 と、いうように思いっきり公開されているわけですが、内閣衛星情報センターの見解は… 「これだけでは、衛星の軌道を正確に推定することはできない」 と、主張しています。 以下、ZAKZAKから関連ニュースを引用してみます。
まさか、そんなことは絶対にないと信じていますが、内閣衛星情報センターの中の人って衛星の軌道なんて簡単に計算できるようなもので隠しても意味がないって知らないのでは…いや、そんなはずないだろうし…。 [事情を勝手に妄想] お偉いさんが「軌道は秘密にしろ」と厳命 ↓ 技術屋さんが反論するのもアホらしいのでスルー ↓ そのまま流されて衛星打ち上げ成功 ↓ いろんなところで軌道バレまくり ↓ 面子の問題で「軌道は秘密」という前提を墨守 ↓ 各国の専門家( ゚д゚)ポカーン… 今日のまとめ 宇宙開発予算を増やしましょう 衛星の軌道はバレています 内閣衛星情報センターの中の人は大変です お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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