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アロマ大好き

アロマ大好き

ペットと妊娠

【ペットと妊娠】
私が妊婦さんに受ける質問は、
「このままペットを飼い続けていいのかどうか?」
「子どもが生まれたら手放した方がいいのでしょうか?」というものです。
 
患者様には、メリットとデメリットをよく考えて、決めるようにご説明します。

まずメリットについて。昔から動物はアニマルセラピーとして、心理学で利用されてきました。最近は犬によってもたらされる癒し効果は人より大きいという論文もあります。

母性心理は微妙です。何気ないことで、不安がつのることもあります。ペットによって大きな癒しが得られるのならば、これは大きなメリットです。

デメリットは、やはり動物由来感染症ですね。日本医師会のホームページを見ると、このような動物由来感染症ハンドブックをダウンロードできます。見ていただくと、本当にいろんな病気があることがお分かりいただけると思います。
 
知り合いの先生が言っていました。1日に3人も4人もペットに咬まれたという患者様が受診されるそうです。今に狂犬病が発生するのではないかと、真剣に心配していました。
私たち医師は、非常に危機感を感じています。

【ペットと胎児】
まず、妊婦さんがペットで心が癒されるなら、これに勝る胎教はないと思います。
胎教といっても皆さんなかなかぴんとこないと思いますが、お母さんが心身ともにゆったり生活すること、つまりリラックスすることが大事なことです。お母さんが心地よければ、おなかの赤ちゃんも同じように感じていることでしょう。
 
またペットに対しても、おなかの中に赤ちゃんがいることを教えてあげると良いという人もいます。
愛犬に妊娠中からおなかを触らせて、「ここにお父さんと、お母さんの大事な赤ちゃんがいるのよ。生まれたら仲良くしてね」と教えたら、生まれてからも兄弟みたいですとおっしゃる方もいました。

胎児に対する影響として、皆さん一番心配されるのはトキソプラズマ症です。
もし万が一妊娠中に初感染すると、胎児にも感染して、先天異常のある赤ちゃんが生まれます。ただしトキソプラズマ症は自然に感染していることが多く、あくまで初めて感染したときに発症します。以前から飼っていた人はすでにかかって抗体を持っている確立が高いですが、そうでない人は妊娠中から初めて飼うのはやめましょう。
 
このことから、猫の糞便は素手でしないこと、掃除手洗いを十分に、猫は屋内で飼う、生肉や小動物を食べささない、生肉を食べることによっても感染するので、十分に火をとうして食べるようにしましょう。

【ペットと乳児】
ペットと赤ちゃんの共存のために

*過度なスキンシップはしない
*触ったら手を洗う
*犬や猫の口腔内正常最近であるパスツレラ菌は空気中にいる菌を吸い込んで感染することもあります。部屋の空気を清潔に保つことも大切です。
*動物の毛でアレルギーになる子もいます。お掃除はまめにします。
*糞便の始末は素手でしない。
*赤ちゃんは抵抗力も弱く無防備です。赤ちゃんを咬んだり、引っ掻いたり、なめたりしないように犬や猫をしつけることも大切です。

日本臨床獣医学フォーラムの公開シンポジウムで元上野動物園延長の中川志郎先生の基調講演です。

中川志郎先生の本はよく読みました。
先生の本を読むと、動物の子育てから、私たち人間も学ぶことが沢山あることがわかります。
ペットとどう暮らすのか、大変参考になるお話だったので、引用させていただきました。

<ヒトは動物と共にあった>
地球上に生き物が生まれて38億年。定説ではヒトがチンパンジーから分かれたのは500万年前ですが、農耕や牧畜といった独自の文明を獲得したのはわずか1万年前にすぎません。つまりヒトはそのほとんどの時間を他の動物と共に生活してきたのです。

しかしその自然の恵みを採取する生活から、自ら作物や家畜を生産する生活への変化は、人間の考え方にも大きな影響を及ぼしました。自然は人間が豊かになるため征服するものだという思想です。その結果、起きてきたのが自然破壊であり野生動物の絶滅です。地球上のありとあらゆるところでおきているのに実感がない。何故なら私たちは都会という自然とは乖離した社会で生きているからです。

人間の心の荒廃も進んでいます。小中学生による殺傷事件が起き、殺してもリセットすれば生き返ると思っている子どもが沢山います。自分の子を可愛く思えない母親が増えています。

<野生とふれあい心を回復>

なぜそういうことが起こるのか、それは私たち人間だけの世界で生活しているからです。人間だけを見ていたのでは、地球上で私たちがどういう立場にあるか理解できないのです。

この地球は人間と動物と植物があってはじめて生きられる。その最も根本的なことを頭ではなく肌で感じて実感する必要があるのです。

私たちがペットを飼う最大の理由はそこにあります。
ペットを通して本当の自然、ヒトが生きてきた500万年の中で動物との触れ合いを感ずる事ができるのです。ペットを飼うのは心の癒しでもあるが、根源的には人間が人間であるために不可欠なことなのです。

野生と触れ合いこそ、荒廃した世情を浄化する機能があることを昭和20年代の始めに考えたヒトがいました。戦後の東京に日本で始めて「子ども動物園」を造った当時の上野動物園園長の古賀忠道先生です。古賀先生は「子ども動物園」成功の必須条件を2つあげています。ひとつは動物たちがよく慣れていることと、もうひとつは動物と子どもの双方を良く理解したすぐれた指導者です。

子どもの自然・動物への感性を育てるには、適切な指導者が一緒にいることが必要です。それは家庭におけるペットの飼育にも当てはまります。自然を理解し勉強しましょう。そして子どもたちに伝えましょう。

「動物は自然理解への架け橋、ペットは家庭と自然を繋ぐ親善大使である」という古賀先生の言葉があります。この言葉を私たちはペットを飼うとき、育てるとき、別れるとき、一緒に思い出してみることが必要ではないかと思います。


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