カテゴリ:近代短歌の沃野
若山牧水(わかやま・ぼくすい) 白玉の歯にしみとほる秋の夜の酒はしづかに飲むべかりけれ 歌集『路上』(明治44年・1911) 註 酒をこよなく愛した名匠のしみじみとした秀歌。 係り結びでないにもかかわらず、文末「けり」が連用形に活用している初出の形。のちに作者自ら、文法的に正しく(無難に)「飲むベかりけり」と改作した模様だが、こちらの方に独特の情感があると見るのは私だけではないだろう。多少の文法的破格は、短歌表現では多数の例があり、詩的許容(ポエティック・ライセンス)の範囲内と思う。吉川宏志の現代短歌の秀作「旅なんて死んでからでも行けるなり鯖街道に赤い月出る」も、厳密にいえば文語と口語の混淆が文法的におかしく、物言いをつけられる余地はあるが、完全に許容されていると見るべきだろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2014年09月21日 16時15分24秒
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