カテゴリ:古今憧憬
菅原道真(すがわらのみちざね) このたびは幣もとりあへず手向山 紅葉の錦 神のまにまに 古今和歌集 420 / 小倉百人一首 24 この度の旅はあわただしくて 幣も手に取れずに参りました。 幣を手向けるべきこの手向山の紅葉の錦を奉納いたしますので どうか神意のままに(ご笑納下さい)。 註 忙しくて奉納の用意が出来なかったので、代わりにこの山の美しい紅葉をまとめて神様に捧げます、という洒落た趣向の一首。 ・・・「この広い野原いっぱい咲く花を ひとつ残らずあなたにあげる 赤いリボンの花束にして」(作詞:小薗江圭子、作曲・唄:森山良子)みたいだなと、ちょっと思う (この)たび:「度」と「旅」を掛けている。 幣:神に捧げる供え物。また、祓(はらえ)の料とするもの。旅の折などには布または紙の細かに切ったものを持参し、道祖神(土地の神々)に奉った。古くは麻木綿(あさゆう)などを用い、のちには絹や紙を用いた。幣帛(へいはく)。御幣(ごへい)。玉串(たまぐし)。みてぐら。にぎて。秋の祭礼などにおける「初穂(はつほ)」(その年の初めての米などの収穫)や「真榊(まさかき)」の奉納もこの類い。この風習は現代にも残るが、「玉串料」「初穂料」などとして金銭で納めることが多い。 とりあへず:手に取れず。準備・用意ができず。現代でも使う「とるものもとりあえず」という言い回しに原義が残る。 手向山:手向山八幡宮。奈良市雑司町にある神社。「(幣を)手向ける」と掛けている。 まにまに:随意に。意の儘に。現代語「ままに」の語源。 紅葉 / 御幣 ウィキメディア・コモンズ パブリック・ドメイン *画像クリックで拡大。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2016年10月17日 16時40分47秒
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