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カテゴリ:イラン代表
現在のイラン代表がアジア最終予選を突破できるかどうかは、圧倒的な攻撃力に対して脆弱な守備が持ちこたえられるかどうかにかかっている。その意味で現在怪我で戦列を離れているハメド・カヴィアンプールが復帰できるかどうかが最終予選突破の一つの鍵になりそうだ。 この選手が頭角を現したのは2000年始めの頃で、W杯で対戦したUSAの招致を受けてアメリカに遠征した時に初めてイラン代表に名を連ねている。この遠征でイラン代表はメキシコやU-23エクアドル代表、そしてUSAと親善試合を行っているが当時はエスティリも健在で彼のパートナーもフェクリ・ジョイバリとゆうベテランが務めた事から若いカヴィアンプールに出番は回ってこなかった。しかしこの召集以降着実に成長を重ね、同じピルーズィに所属するエスティリを見本として、暴行事件で1年間の出場停止措置を受け復帰したアリ・キャリミとのコンビでピルーズィ2大エースと言われるまでに成長したのである。そしてイラン代表にもアメリカ遠征直後のキプロス戦で後半頭からフェクリ・ジョイバリに代わって初キャップを記録している。 彼が最も耀いたのは同年のアジアカップで、見事に攻守のつなぎ役を演じ、エスティリが代表を退いた後バゲリのパートナーとしてスタメンの座を不動のものにしていった。 またクラブレベルでも第19回アジアクラブ選手権では前回大会でエステグラルをアザディで葬った王者ジュビロ相手に敗退を喫したものの果敢なシュートで相手を脅かし第20回アジアクラブ選手権準決勝ではスウォン・サムソン相手にアリ・キャリミの巧みなアシストから先制ゴールを叩き込み、この試合でも敗退したものの2年連続の3位獲得に貢献した。その後クラブをUAEのアル・ワスル(現在バヘディ、マジディ所属)に移し、ここでの水が合わないと見るやピルーズィに舞い戻っている。その後プレミアリーグ、ニューカッスルのトライアウトを受けたが移籍はならず現在に至っている。 今のイラン代表のボランチといえば不動のジャヴァド・ネコーナムがいるが、カヴィアンプールほど攻守のつなぎは巧くない。カヴィアンプールは中盤の底で巧みなドリブルで落ち着きを持たせ、豊富なスタミナで相手の攻撃の芽を摘む事に長けている唯一のボランチだ。そして正確なパスでアリ・キャリミと奏でるハーモニーはイランの攻撃のリズムを生み出す。その彼が2004年アジアカップ直前のキャンプで膝に怪我を負い離脱した事が本大会でのイランの守備を崩壊に導いた原因なのである。 現在カヴィアンプール不在のイランの中盤では、テヘランの魔術師ことアリ・キャリミが孤立する場面が多く見られる。アジアカップで素晴らしい印象を残した彼の自己中心的なドリブルを批判する事はできないが、その苛立ちはさながら最良のパートナーを失い迷走しているかのような印象を受ける。攻守をつなぎ、魔術師とリアル(他の凡庸な選手達)をつなぐ存在こそがハメド・カヴィアンプールなのである。日本戦、怪我から復帰した彼がアザディのピッチで魔術師の傍らに立ったときイランは真の姿を取り戻すだろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005.03.04 01:37:04
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