出産から退院まで その一
お陰さまで、我が家の泣き虫菜々ちゃんも1ヶ月となった。菜々ちゃんは今日もほとんど寝ないで、一生懸命泣いている。(苦笑)が!大変伸ばし伸ばしになっていたが、自分でも忘れてしまわないうちにそろそろ出産時の事を書き止めておきたいと思う。出産前夜。(帝王切開の手術前日)ビビリーな私は全く寝られず。もともと睡眠障害持気味の私は、少しでも気になることがあったりするととたんに寝られなくなる兆候がある。こんな時にぐうすか寝られる鉄の心臓がほしいと常に思っているが、こればっかりは性分なので仕方がない。ほとんど寝られないまま、10時からの手術に備え8時までに病院に行かねばならず、7時半に家を出発。前回と同じく、オヤジの母が張り切って登場。息子、オヤジ(私の主人)そしてオヤジの母というメンバーで病院に向かった。到着後手続きを済ませ、車椅子で病室に。何故車椅子なのだろう。そして何故かそれをうらやましがる息子。帝王切開なので、それに備え剃毛、浣腸等の準備を病室で行わなければならない。がしかし。前回剃毛時に大切な所をカミソリで間違ってさくっと切られるという痛~いトラウマを持つ私。今回もそんなことがあってはならぬと2日間かけて自分で剃りましたよ。大きなお腹を抱えてのセルフ剃毛はかなり大変ではあったけど、また大切な所を看護婦の前でおっぴろげて挙句の果てに切られちゃうよりはましだもんね。前回はオヤジとオヤジの母が手術室まで入ってくるというハプニングがあったが、オヤジが入ってきても手術のあまりのオカルトぶりに壁しか見ていないというへなちょこがいても何の役にも立たないため、入室をお断りした。「じゃあ、お母さんについていってもらうか?」と聞くオヤジ。これも丁重にお断りする。最後まで息子が「俺が一緒に行く。」と言って聞かなかったが、子供が手術室に同伴するなんて許可されるわけがないと思いお断り。前回は手術室でしばらく一人で放置された覚えがあるが、今回は数人の看護婦が入れ替わりたちかわり何やら忙しそうにしていた。しかし、前回はクラッシック音楽が優雅に流れていたのに今回は何やら軽快なタイポップスががんがんかかっていた。何故に?そこでチョット笑いがこみあげたが、手術台に乗せられた瞬間に私の緊張感はマックスに。「もしかしたら、手術中に何か問題がおきて死んじゃったりしたらどうしよう」とか「ああ、こんなことだったらもっと息子にいろいろ言い残しておけばよかった」とかどんどん思考はネガティブな方向に。この時に頭の中は息子の事ばっかり(ああ、あと私の母と父の事も考えたよ)で、オヤジの事は1ミリたりとも出てきませんでしたよ。そんな事を考えててたら、涙が止まらなくなってついには手術台の上で号泣。号泣していたら、ついにそこに麻酔医が登場。今回の麻酔医は明るいおばちゃんの先生で、とにかく登場したときから最後までしゃべりまくり。きっとこれが彼女の戦法なんだろうけど、ナーバスになってた私はこの戦法にかなり助けられたと思う。最初の難所である、腰に打つ麻酔(何ていうのかわからないので)も彼女のおしゃべり戦法で難なくクリアー。次はその麻酔が効いているか効いていないかを確かめていくのだが、つねられたりしてもその感触をまだ感じる為妙にこわい。だって切られてる時に痛かったりしたら、それこそホラーじゃあないですか。「まだ痛いような気がする」と訴えても「気のせいです」で片付けられる。そこに担当医でもあり本日の執刀医でもあるスパキット先生登場。手術中も涙が止まらない私を、ノンストップのおしゃべりで励まし続ける麻酔医。痛くはないが、体の中をかきまぜられているような感触が怖さをかきたてる。時折お腹が持ち上がるような感覚もあるが、実際帝王切開って子宮自体を引っ張り出すらしいのであの時がそうだったのかも。15分ぐらいして麻酔医が「頭はもう出ましたよ。これから体を出します」と言った。それから程なくして手術室に響き渡る赤ん坊の泣き声。どうやら無事お腹から出た模様。しばらくして看護婦さんが「元気な女の子ですよ。2,760グラムです」と見せに来てくれた。「五体満足ですか?」と聞くと「五体満足だし、大変元気です」と教えてくれた。この時新生児とは思えないほどはっきりした二重まぶたの目を見開いていた娘。「なんだかものすごく大きな目だなあ。私の子供のときのような細い目じゃなくて良かったなあ」と思いつつ急な眠気に襲われて意識がほとんどなくなった。