カテゴリ:ケータイ小説
新潮ケータイ文庫DXにて
12/19より連載スタート!(月曜~金曜毎日更新) 「いちばん幸せな年齢」 ~24歳しか愛せない~ 内藤みか <第1話> 私はアールデコ風のロマンティックな白い テーブルの上で、ボールペンを握り、次々と 項目にチェックを入れていた。 結婚相談所の登録シートは、さまざまな希 望を申請できるようになっている。 自分が譲れない条件を伝えておけば、効率 よく候補を絞り込み、よりフィットする相手 に出会いやすくなるからだ。 身長や体型、それから学歴に年収。 車の有無に、飲酒や喫煙の有無。 それから持ち家の有無に、同居家族、つま り舅姑との同居の有無……。 10を超える条件のひとつひとつに、私は、 『特になし』と印をつけていった。 「珍しいですね、こんなに贅沢を言わないか たは」 白いテーブルの向こう側から、穏やかな表 情の女性相談員が覗き込んでくる。ここは結 婚相談所だけあって、白を基調としたロマン ティックなインテリアで、出されたお茶のカッ プには赤い薔薇の花がプリントされている。 おそらく40代であろう彼女は、縁なしの眼 鏡に焦げ茶色のセミロングヘアが知的で柔ら かく、頼りになりそうだった。 「みなさん、もっと色々条件をつけますか?」 「ええ、そりゃあもう」 彼女は眉をひそめ、困ったような笑顔をつ ける。 「年収に注文をつけるかたも多いですよ。10 00万円以上の人でなくちゃイヤだとか」 そんなかたはごく一部なんですけどね、と 彼女は苦笑した。あと持ち家やマンションを お持ちのかたの人気も高いんですよ、と言う。 その条件では決まるものも決まりませんよと お伝えしても、絶対年収は下げられない、な どと頑張る女性も少なくないのだとか。 「私はバツイチですし、もう36歳ですし。あ まりは贅沢言えませんから」 「偉いですねえ。そういう方にこそ良縁が来 るんだと思いますよ」 さあ、これで最後、と彼女は艶のあるベー ジュを美しく塗った爪で、書類の一番下を指 差した。 そこには希望する相手の年齢を記すところ があった。 「あ、ごめんなさい。ここだけは、譲れない んですよ」 私はおずおずと彼女に打ち明けた。 「あら、いいですよ。ひとつくらいワガママ を言ってもらえたほうが、私たちも探し甲斐 がありますし」 相談員さんは、身を乗り出して、にっこり と微笑んだ。 選択肢は、アバウトに「年上」「同い年 「年下」、と3つに分かれていた。 私は「年下」に○をつけた。 「いいですよねぇ、年下のかたは、元気があ りますもんね。最近は年上の女性を望まれる 男性も増えてきたので、うちでも何組かカッ プル成立してるんですよ」 「ええ、でも……」 特記事項を記す枠に、私は書き込んだ。 「24歳希望」 と……。 「24歳……ですか?」 彼女の声が、上ずった。 「ええ。そうなんです」 私は申し訳なくなりつつも、彼女に伝えた。 「私、24歳じゃないと、ダメなんです」 (第2話に続く) ほとんど私利私欲のような公私混同のような 24歳しか愛せない36歳女性の物語、スタートです。 続きが気になるかたはケータイで http://shinchobunko.jp/ にアクセスしてみてくださいね☆ ※新潮ケータイ文庫DXは有料(月額210円)ですが、古典作家人気作家の作品が全部読み放題!かなりオトクですよ! 新潮ケータイ文庫の詳しい解説(PCページ)はこちら! 内藤みかケータイHPからも 本日中にリンクしておきます(≧∇≦)! http://micamica.net ※こちらの原稿は、校正前のものです。 完成稿は新潮ケータイ文庫DXにてお楽しみください。 <昨日読んだ本> 息子:引き続き「まんが世界の歴史」 娘:ヨコハマ物語 来年売れるイケメンタレントランキングを内藤みかイケメンブログで10日連続企画で掲載中♪ 小説「イケメンバンク」立ち読みはこちら! 「あなたを、ほんとに、好きだった。」立ち読みはこちら。 内藤みかケータイ小説サイトはこちら! ↓ http://micamica.net お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年12月19日 12時27分06秒
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