第14回 6月30日『怪しいスケジュール』 最近、頭のネジが緩んでいるのか?自分でも「何やっているの!」と言いたくなる 時があります。 先日、スケジュール帳をペラペラとめくり翌週の予定を確認していたところ、 ちょうど1週間後の午後の欄に書かれている文字が目に飛び込んできました。 聞き覚えのない名前と時間が走り書きしてありました。 もちろんそれは私の筆跡です。 それなのにいくら思い出そうとしても何の用事だったのかが思い出せません…。 う~ん、仕事で会う約束だったかしら?はて、一体何のメモだぁ? 時間が経てばどんどん焦る!携帯電話の着信履歴を確認したり、 自分がここ数日間お会いした人の顔を思い出してみたり…。 でも焦れば焦るほど出てこないものです。 え~い!そんな時は無理に思いだそうとしてもダメ。まずは気分を変えて、 お風呂にでも入ろう。握っていたスケジュール帳をテーブルの上に置きました。 湯船に浸かって大きく深呼吸を3回繰り返したら怪しいスケジュールの真相を パッと思い出しました!思い出してみれば「たいしたことなかった」というのは よくあることです。 人は焦ると自分の造り上げた迷宮にはまり込み、なかなか出られなくなって しまうものです。 そういえば前にも似たようなことがありました。 私が会社勤めをしていた十数年前のことです。 かつて私は会計課に所属し、数字漬けの毎日を過ごしていました。 経理ですから、伝票の数はぴったり合わせなくてはいけません。 月末になると伝票が机の上にたまってしまい休みなく画面に向かって入力作業を しなければなりませんでした。 ところが何度やっても“合計が合わない日”というのがあり、その日はどんなに 目を皿のようにしても入力ミスを探すことはできませんでした。 何回もチェックしているのに…。 月初め、本社へのデータ伝送まで時間が迫っていると思えば、どんどん合わなく なります。 そんな時は思い切って席を立ち、無機質なオフィス空間から脱出です。 「ダメダメ、焦ったって見つからない」階段を降り、裏口から会社の外に出て いきました。 授業をさぼっている学生のような気分ですが、川風を受けて深呼吸。 窮屈なパンプスも脱いで塀に腰掛けます。 遠くから佐渡汽船の出港する汽笛の音が響き、それに呼応するかのようにカモメの 鳴き声が聞こえていました。 不思議なものです。たったそれだけのことで席に戻って入力をすると、数字が ピタリと合いました。 煮詰まったときは、一旦その場を離れる勇気ってとても大切。 わかってはいるけれどなかなかできないものですね。 さて、またスケジュール帳の中に怪しいメモを見つけてしまいました…。 今度は少し庭に出てみましょうか。 ジャンル別一覧
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