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―夕方―

女児 「…………」
白アイルー 「?(ぷにぷに)」
女児 「え? あ……ごめんね(にこっ)」
女児 「お父さんと、お母さんを探しにいこうね」
女児 「探しに……」
女児 「…………」
白アイルー 「…………」
女児 「……わたしの、服の中に入って。そうすればみつからないよ」
白アイルー 「(コクリ)」

アイルー達 「ギニャァ! こっちにも追っ手がいるにゃァ!」
兵士達 「逃がすな! 捕まえろー!!」
アイルー達 「おいどんらは無害ですにゃァァァ!!」
アイルー達 「奴隷市場はもういやだニャァァ!!」
兵士達 「騒ぐな! この!!」
アイルー達 「ブッギャァァ!」
女児 「…………」
女児 「(ひどい……)」
女児 「(何もしてないのに……)」

女児 「(でも、だれも……)」
女児 「(だれも、たすけてあげようとしない……)」
女児 「(わたしも……)」
女児 「(…………)」
女児 「(モンスターだから……)」
女児 「(モンスター、だから……みんな……)」
白アイルー 「………………」

白アイルー 「(ちょいちょい)」
女児 「?」
白アイルー 「(スッ)」
女児 「これ……てるてる坊主?」
女児 「木の実の皮で、作ったの?」
白アイルー 「(コクリ)」
女児 「わたしにくれるの?」
女児 「わぁ……」
女児 「ありがとう(にこっ)」

アイルー 「(ダダッ)」
女児 「!!」
アイルー 「ヘルプ! ヘルプミィ!」
女児 「(ネコさんが、道路に飛び出してきた……!)」
アイルー 「どなたかあっしをヘルプしてくだされ! あっしはれっきとした雇われアイルーでっせ!!」
住民達 「…………」
アイルー 「あっしのバッヂが、盗まれちまったんです! どなたかあっしの無実を証明して……」
兵士達 「こっちに逃げたぞ!(ダダダダッ)」
アイルー 「ギニャァァ! お縄は勘弁にゃァ! どなたかあっしの顔を!!」
アイルー 「ギルドであっしをみかけたっつぅ人おりませんか! どなたかぁぁ!!」
兵士達 「このっ! 暴れるな!!」
アイルー 「あっしは奴隷じゃねぇですぅぅぅ!!」

女児 「(奴隷……)」
女児 「(………………)」
女児 「(足が、うごかない……)」
白アイルー 「…………」
アイルー 「だからあっしは……」
アイルー 「無実だって……!!」

兵士達 「いい加減にしろこの……!(ブゥン)」
アイルー 「!!」
兵士達 「モンスターめ!!」
アイルー 「(ドガッ)ビャァ!!」
兵士達 「へへっ……バケモンが人間様と同じ口ィきいてんじゃねぇよ」
アイルー 「(ずるずる……ばたん)」
住民達 「………………」

兵士達 「おいこれ、死んだんじゃねぇのか?」
兵士達 「強くやりすぎだぞ。あくまで、売るために捕まえてるんだからよ」
兵士達 「構うもんか。ネコなんて腐るほど出てくるだろ」
女児 「………………」
女児 「(血……)」
女児 「(あのネコさん、助けてあげなきゃ……)」
女児 「(でも、体が……)」
女児 「(震えて……)」

女児 「(奴隷……)」
女児 「(お父さんとお母さんは、もういないの……)」
女児 「(だれも……)」
女児 「(だれも、わたしを守ってくれない……)」
女児 「(もし、兵士さんをおこらせて、お父さんが脱走兵ってわかって……そうなったら……)」
女児 「(お金……………………)」
女児 「…………」
白アイルー 「………………」

白アイルー 「(スッ)」
女児 「あ! 駄目! 出ちゃ駄目!!」
白アイルー 「(スタッ)……(トコトコトコ)」
住民達 「ちょっと! あの白ネコ、バッヂをつけてないわ!」
住民達 「野良よ!!」
女児 「あ……ぁ……」
兵士達 「何だァ、あのネコ」
兵士達 「くたばったアイルーに近づいてくぞ」
白アイルー 「(スッ)」
アイルー 「………………」
白アイルー 「(ふぅ)」

女児 「(あのネコさんの、傷が治っていく……)」
アイルー 「!!! な、何が……」
白アイルー 「(ニコニコ)」
兵士達 「お……おい、今の見たかよ……」
兵士達 「怪我が、消えたぞ……」
兵士達 「それに、あれ……背中に羽が……」
兵士達 「何だあれ……? アイルーじゃねぇ!」
住民達 「ば……化け物……」
住民達 「化け物よ! 化け物猫が、入り込んでるわ!!」

白アイルー 「…………」
アイルー 「か……かたじけねぇ! あっしは逃げまさぁ!(ダダダッ)」
兵士達 「その白いのを捕まえろ!」
兵士達 「用心しろ! 強力なモンスターかもしれないぞ!!」
兵士達 「野郎!!(ブン)」
女児 「きゃっ……(剣を、いきなり……)」
白アイルー 「………………」
兵士達 「(キィィンッ)うわぁっぁぁぁ!」
兵士達 「何だ!? 斬りかかった奴が、逆に吹っ飛んだぞ!!」
兵士達 「ひ……ひぃぃ!」
白アイルー 「………………」
兵士達 「目が赤く、光ってる……!! ネコじゃねぇぞあれ!!」

兵士達 「全員構えろ! ここでしとめるぞ!」
女児 「あ……あぁ……(沢山の兵士さんたちが、剣を抜いてる……)」
白アイルー 「…………」
兵士達 「モンスターめ……どこから入り込んだ!!」
住民達 「ひえええ! 巻き込まれるぞ!!」
住民達 「死ね! モンスター!!(ブンッ)」
白アイルー 「(パチィィンッ)……?」
住民達 「ひっ……石が弾けて消えた……」

兵士達 「迂闊に近づくな! 矢を射掛けろ!!」
白アイルー 「…………」
女児 「駄目……」
女児 「(あんなに沢山の矢に……)」
女児 「(あの子は何も悪いことを……)」
女児 「(わたしと同じ)」
女児 「(わたしと……同じ)」
女児 「(でも、わたしとちがう)」
女児 「(迎えに来てくれる、お父さんとお母さんがいるの!!!)」

女児 「やめてぇぇ!(ダダッ)」
兵士達 「! 子供!? しゃ、射撃待て……」
兵士達 「死ねぇ!(ズドドドド)」
女児 「あッ……!!!」
白アイルー 「!!!!」
女児 「う……」
女児 「(撃たれたの……わたし……?)」
女児 「(からだが……しびれて……)」
女児 「(あれ……?)」
女児 「(ドサッ)」
女児 「………………」
白アイルー 「!!! ……!!!」

兵士達 「この野郎! 子供を盾にしやがった!!」
兵士達 「突き殺してやる!!」
兵士達 「うぉぉぉぉおおお!!」
白アイルー 「…………Stop、det!!」
兵士達 「! 何だ!?」
兵士達 「何だこの光……ま……まぶしい!!」

×××××× 「En del af hendes……!」
兵士達 「耳に刺さる……な……なんだ……この声!!」
×××××× 「Det er sa meget. Menneskelige!!」
兵士達 「(ゴゥゥゥゥッ)うわぁぁ!」
兵士達 「ぎゃああ……ッ! た、台風か!? 目が……」
兵士達 「何だ……黒い猫と……赤い猫……!!! いつの間に!!」
兵士達 「踏ん張っていられねぇ……!! うわあああ!」


―女児、夢の中―

女児 「(どこ……ここ……)」
女児 「(真っ白い……ばしょ…………)」
女児 「(何も見えない……)」
白アイルー 「(にこにこ)」
女児 「!! ネコさん!」
女児 「良かった……けがはなかったんだね……」
女児 「けが……あれ……?」
女児 「わたし……」
女児 「どこも、けがしてない……」

白アイルー 「(ちょいちょい)」
女児 「……? 空……?」
白アイルー 「(ふぅ)」
女児 「!! わぁ! 太陽……それに、虹!!」
白アイルー 「(ちょいちょい)」
女児 「それ……わたしの、てるてる坊主……」
白アイルー 「(にっこり)」

女児 「あ……どこに行くの!?」
白アイルー 「(トテトテトテ)」
女児 「…………!」
黒アイルー 「…………」
赤アイルー 「…………」
女児 「………………あ………………」
白アイルー 「(にこにこ)」
女児 「………………」
白アイルー 「ニャァ(ブンブン)」

女児 「………………」
女児 「……良かったね(にこり)」
白アイルー 「ニャ…………ニャウ…………」
白アイルー 「Fine…………vejr」
女児 「……?」
女児 「言葉……?」
白アイルー 「Desuden…………lad…………os…………modes」
女児 「…………」
白アイルー 「Under……fine…………vejr!」

女児 「あ……」
女児 「(手を振って……消えて……)」
女児 「(お父さんと、お母さんと一緒に……)」
女児 「きゃぁ!」
女児 「(い……今一瞬、太陽が爆発したみたいに光った……)」
女児 「……!!!」
女児 「空に……」
女児 「大きな……黒と、赤と……白の、ドラゴンが…………」


―路地―

女児 「…………」
女児 「……けほっ……けほっ……」
女児 「わたし……生きてる……」
女児 「(まわりが……台風みたいに、大きく崩れてる……)」
女児 「(まるで何かがばくはつしたみたい……)」
女児 「…………」
女児 「(白ネコさんは、いない……)」
女児 「(カサ……)」
女児 「(これ……あの子がつくった、てるてる坊主……)」

女児 「あれ……?」
女児 「雨が……止んだ……」
女児 「(空に、虹ができてる……)」
女児 「(きれい…………)」
女児 「あれ……あそこの雲も……」
女児 「てるてる坊主にみえる……」

女児 「(どうしてだろ……)」
女児 「(涙、出てくる……)」
女児 「(あぁ……わたし……)」
女児 「(わたし……)」
女児 「…………」

女児 「………………」
女児 「(お父さんと、お母さんに会えてよかったね…………)」
女児 「(私も……)」
女児 「(あしたは……)」
女児 「(あしたは、天気になると……いいなぁ……)」

次回へ続きます

イャンクック 「旧沼地で人間を拾ったんだが」 目次へ





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最終更新日  2009.06.22 15:48:23
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