僕たちは何のために生きてるの?
「そんなことを考えてもあまり意味はない。そんなことを知ったら、ツマラナイということだよ。プレゼントの箱の中身を、開ける前に知りたいかい?」「ううん、そんなのドキドキしないもん」「僕たちの今も、未来も、きっとそういうことなんだ」「スヌスムムリクの恋人」 野島伸司野島伸司の小説です。タイトルの「スヌスムムリク」スナフキンの本名だって知っていましたか??私は全く知りませんでした。物語は、親同士が仲がよかったために、隣同士に、そしてうまいこと同級生に生まれることとなった4人の物語。小さい頃からの話を、第3者に聞かせるという形がとられていて、語り手は、自らを八方美人と認める小村直紀。自分が誰かに嫌われないように、人との衝突を避け、誰かを傷つけることがないように、できるだけうまく人間関係を作ろうとする。(思春期には、それはそれはたくさんのガールフレンドを作っていたけれど、誰にもばれず、傷つけることもせず、ってのはうまく行きすぎな気も!?)しかし、誰も傷つけることがない代わりに、熱くなることもなく自分には、どこか冷たいところがあるような気がしてならない。誰かへの言葉も、イマイチ深くに届かないのは、それが理由なのかも。↑ちょっと私に似てる・・・そして、多く描かれているのは、幼なじみの1人である望。彼は、幼い頃から自分の性に違和感を抱いていた。そんな彼の変貌への苦しみ・期待が物語の中心かと思っていたが、最後まで読むと、どうやらそれだけでもなく。あちこちで色んな人、色んなエピソードが出てくるが、最後にはうまいことつながってた気がするなー。そういうのはうまいなーと思って。「たとえば料理なんか普段しない子が、好かれようと思って努力するのは それはそれでカワイイと思うかもしれないよ。だけど、恋なんてずっと燃え上がってるハズがないし、相手に安心すれば素が出ちゃうもんじゃない。その時、手を抜かれてる、出会った頃より好かれてないんじゃないかって、なんだか寂し気持ちにさせられちゃうよ。無理したって続かないのに、恋愛体質の子に限ってすぐ忘れて、また次に好きな人見つかれば同じようなパフォーマンスしちゃうんだよ。でやっぱり疲れて続かなくなっても、結局相手のせいにして終わりって繰り返しなんだ。自爆テロだよねまるで」↑なんて、心の中に「女の子」を抱える望の恋愛論に納得させられたり。「演説の基本は、大げさでわかりやすい言葉を三度繰り返すこと」↑とか納得させられたり。 アメリカの演説って結構そうだよね。 「Yes, we can」とか。そして、やはり野島さんの書く小説はどこかロマンチックで、読むと、うまいこと丸め込まれる気がする。「人には、S遺伝子という内罰する遺伝子が存在していて、過ちを犯すと、自分を責め、後悔しいつまでも引きずってしまう。それが強い人は、罪を犯して捕まっても、ただ運が悪かっただけと終わることはない。つまり、S遺伝子は人間の良心の集約なのだ。前向きに、いやなことを忘れていけば、表面的には楽しいし、幸福にも見えるだろう。だけど、それは本物の幸福ではない、人間の幸福は、悩み、苦しむ果てにこそ存在する」おそらく、自分の抱える後悔を、ずっと忘れずにいるなんて地獄のようで、そんなことをしていたら、病んでしまいそうな気もするけれど・・・?でも、この本を読むと、そういうのもあるのかも・・・と思わされてしまうのでした。というわけで、全367ページ。読み始めると止まらなくなり、昨日寝たのは午前3時でした(バカ)なんか、盛りだくさん過ぎて、うまくまとめられないので、是非ご自分で読んでみてくださーい><野島伸司ワールド、結構出ています。