日興コーディアルグループは1日、2005年3月期と06年3月期の決算数値を再び訂正したと発表した。企業の買収目的のために設立した特別目的会社(SPC)をすべて連結するなど会計処理を厳格化した影響で、前期決算の連結経常利益は従来発表より191億円減少し、1497億円になった。
日興は同日、桑島正治社長をトップとする旧経営陣の責任追及委員会を設置した。記者会見した桑島社長は度重なる訂正について「失われた信頼回復のために、過去との決別を最優先して判断した」と語った。
日興では昨年末、投資子会社、日興プリンシパル・インベストメンツ(NPI)がベルシステム24を買収する際に傘下のSPCを使って不正会計を行っていたことが発覚。過去二期の決算をいったん下方修正した。
同社はその後も監査法人と協議を重ね、他の投資案件を調査。先月末には特別調査委員会が不正会計が組織的に行われ、疑わしい取引がほかにもあったとの報告書をまとめた。
こうした調査を踏まえ、過去の会計処理を再度見直した結果、06年3月期にNPIがSPC経由でベルに自社の株式を高値で買い取らせ、連結利益を押し上げた行為については、NPIがベルを実質的に支配していることを利用した不適切な会計処理だったと判断。売却益167億円を取り消した。
また、NPIが事業を本格化させた05年3月期の期初にさかのぼって、国内外にあるSPCをすべて連結化。SPCを使って不適切に利益を取り込んだ事例についてはすべてさかのぼって利益を取り消した。
NIKKEI NETより
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日興コーディアルの粉飾事件はとても迷走しています。
僕が違和感があるのは、粉飾を修正してもかなりの利益を計上しているのに、なぜ粉飾に至ったのかという点です。
歴史的に粉飾決算事件は多数ありましたが、その共通要素として「誘引が強く働いた」という点が挙げられると思いますが、今回の日興の件は、動機が今ひとつよくわかりません。
何はともあれ資本市場の番人自らが犯した事件ですから、5億の課徴金だけでは済まされないと推測しています。
仮に上場廃止だとか業務停止処分になってしまった場合、日興が主幹事で進めている株式公開の予備軍の企業の実務にどのような影響があるのか、個人的には非常に気になっています。