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カテゴリ:書評
木本正次(きもと・しょうじ)「黒部の太陽」(信濃毎日新聞社、1997.4)を友だちに借りて読んだ。読んだ本は文庫本であるが、既に第17刷(2008.3)で、非常に長く読み継がれたものでありことが分かる。この本は、日本でもっとも有名な発電所となった関西電力の黒部川第四発電所(クロヨン)の建設ノンフィクションであり、最近でも「大町トンネル破砕帯突破50周年」で、フジテレビ系列で同名のTV番組が放映されたこともあり、読んだものである。 香取慎吾主演のTV番組も面白かったが、この原作本も大変楽しめた。あらすじは、既に知ってはいたものの、人物模様が繊細でとても面白かった。50年も前の当時の最先端土木技術と、現代の最新のトンネルボーリング技術は大いに違ってはいるだろうが、その現場で働く人の熱意やそれをサポートする人たちの一途な気持ちは変わらないはずである。その意味で、困難なことをやり遂げようとする人間の力は、現代に通じるものがある。いやむしろ、今では少なくなった、「社会のために」「日本の発展のために」など高い俯瞰した観点から仕事をこなそうとする現れには、不覚にも感動すら覚え、熱い気持ちに高ぶる所さえあった。 個人中心で、自分さえよければそれでよしとする風潮の現代に生きる我々にとって、こういった真剣で真面目で地道で愚直な生き方は、えてして「時代おくれ」と言われそうだが、本当はすごく・すごく大事なことであるように思える。 名作です。非常にお薦めです。(評価:星四つ ★★★★☆) <残念ながら検索で見つかりませんでした> お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.04.25 18:05:26
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