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カテゴリ:その他の映画(今世紀)
日本でもずいぶん前から公開されている様なので「いまさら」感が拭えないのですが、今日は
「善き人のためのソナタ」について書きます。 ブログを立ち上げた時から絶対に取り上げたいと思っていた、私達をとても驚かしてくれた 映画だから。 毎度毎度、私の話に出てくるPariscope。 文化情報や映画のプログラムを教えてくれる毎週水曜発行のこの雑誌、値段が40サンチームと 格安なだけあって小さいし、薄いし、カラーページも少ないし、日本の「ぴあ」の様な余分な 特集記事はほとんどありません。 そんなバンカラPariscope、もちろんホチキス綴じです。 なので「何となく」Pariscopeを開こうとすると、ホチキスのとまっている一番真ん中の ページを開いてしまう事が多いです。 もしもそのページで映画やイベントを紹介していたなら、それらは他の催し物よりも人の目に 触れる事が多くて「ラッキー」という事になってしまうのですが、その不公平さを 回避するためでしょうか、Pariscopeのど真ん中の2ページはいつも、映画の評価や ランキングに割かれています。 (写真参照) Pariscopeを買って、その週の映画の予定を組むのを楽しみにしている私は、このページも なんとな~く目で追っています。 そう、なんとな~く。 そんな、このページをぼ~っと眺めているだけの私の目に飛び込んできたのが、 「パリの過去一週間の観客数ランキング」に出ていた「善き人のためのソナタ」です。 Pariscopeの4月25日号では、上映開始後11週目なのにも関わらず、堂々の14位! その他の1~20位の映画は全部まだ、たったの1~4週目なのに!! この映画の舞台は、ベルリンの壁崩壊前の東ドイツ。 シュタージ(国家保安省)の局員ヴィースラー(ウルリッヒ・ミューエ)が、反体制の疑いの ある劇作家(セバスチャン・コッホ)と女優(マルティナ・ゲデック)の住居を 盗聴・監視する様に国から言い渡されます。 監視するはずのヴィースラーだったけれど・・・というのが、映画の大筋です。 私は正直なところ鑑賞中の前半は、この映画にあまり感情移入できないままでした。 どういう訳か「最後はこうなるんだろうなぁ」という固定観念が頭の中にあったからです。 これはとっても後悔していますが、前半部分には調子の良すぎる「映画的」展開も 少々あったので、仕方がないのかもしれません。 でも結局、映画の結末は私の想像とは異なっていたので、ラストに繋がる後半の方では ドキドキしながら観ていました。 私は政治的な意義を持つ映画を観る事があまりないせいか、「共産主義体制下の映画」とか 聞くと「お腹が空いた」とか「寒い」とか「きれいなお洋服が着てみたい」とか、 想像が安易な物質的欠乏の方を真っ先に思い描くフシがあったみたいです。 でもこの映画を見て、もちろん飢餓も大変な事だけど、たとえお腹が満ち足りていても、 自分自身の思想を表現できない苦しみって凄まじいものなんだなぁ・・・とようやく 実感できました。 ちなみに、映画が終わってディノを見ると目が光っていました。 どうやら夫は私よりもずっとずっと感動していたらしい。 結局「善き人のためのソナタ」はじわじわと人気が出てくる作品だった様で、公開後 19週目まで観客動員数20位にランクインしていました。 (くどい様ですが、「1~4週間目」の映画に混じって、です!) もちろん、その過程では「過去1年以内の累計観客数トップ20」の中でのランクも少しずつ 上がり続け、この映画を支持している私達にとっては、毎週Pariscopeのランクを見るのが 楽しかったです。 (ちなみに、今では11位になっています!) 同じドイツでの出来事であるナチス時代の映画が一つのジャンルを形成しているのに対して、 「東ドイツ」をテーマにした作品ってまだそんなに数多く存在していないんですよね。 そういった意味では、じわじわと人気の広まったこの作品は映画史に残るのかも、とか 思っています。 機会があったらぜひ観てみてくださいね。 * ヴィースラー役を快演していたウルリッヒ・ミューエという俳優さんは最近亡くなって しまったそうですね。 (フランスのニュース番組で知りました。) ご冥福をお祈りします。 投票(をクリック)していただけると、嬉しいです。 人気ブログランキングへ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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