まだまだ続くし～付点の足音～

句と首　～その2～

　　




　句と首　　～その2～





　　　　　*2007年 8月*


8月1日
梅雨明けには　やはり雷でしょう。

存分の 　　　雷も過ぎ 　　　八朔日

8月4日
例年より早く出回るサンマです。
思い込みはもうそのままで･･･。

初物を 　　　鰯と言い切り 　　 　　　義父　生きる

8月7日
広大な市有地の草刈がはじまりました。
炎天下のもと果てしない作業です。

灼熱の 　　　草刈鎌に 　　　影もなし

8月13日
知人の合唱団の演奏会を聴きにいきました。
非日常の世界にしばし　いろんな事を忘れていました。

響きあい 　　　溶け合う音の 　　　眩しけれ 　　　オルガンの前で 　　　結晶となる

8月21日
グラウンドでの熱戦が続いています。
知り合いがいる学校となると応援もヒートアップします。

負けて　なお 　　　　男子等をのこらの汗 　　　　甲子園

8月25日
甲子園が終わると世界陸上です。
その気になって夢までみました。

マラソンを 　　　肉離れ　にて 　　　棄権する 　　　夢　さめやれば 　　　世陸　はじまる

8月26日
夜になると少しだけ秋の気配も。
新月も間近のようです。

鳴きそむる 　　　 　　　声　聞こゆるか 　　　縦長の月

　*2007年 9月*



9月16日
あれこれ続いて忙しい月でした。

けいらうも 　　　中くらいかな 　 　　 　　　お馥おふく芋

*2007年 10月*


10月2日
夏の間　美しい花を咲かせていた蓮池も風景が変わってきました。

たまさかに 　　　大きく飛ぶは 　　　鯉かフナ 　　　一度でよいから 　　　飛んでみよ　亀

10月7日
多摩クラフトフェアへ行きました。
私にとって初のオフ会。

秋晴れの 　　　引き寄せの術 　　　邂逅であい　あり

10月8日
故郷の秋の大祭が始まりました。
だんだんに遠くなる故郷です。

ふるさとの 　　　祭日　おもひ 　　 　　　咳　ふたつ

10月20日
ふつふつと沸いてくるような不安が消えるかと鍋を磨きました。
切れそうな蛍光灯が時々ふっと暗くなります。

瞬きの 　　　蛍光灯　下 　　　なべ　磨く

10月23日
夏の間　沢山咲いてくれた夕顔。
思い出したように花をつけ秋風にゆらり。

名残り花も 　　　小ぶりに咲いて 　　　　　十三夜

10月29日
そろそろ冬支度の頃です。
最後の蕾も室内だったら咲くかもしれません。

みなそろい 　　　同じ向き見て 　　　蔓を巻く 　　　儚く強き 　　　夕顔の花

*2007年 11月*


11月6日
冷たい雨の朝でした。

ひいらぎの 　　　芳香　しずめる 　　　朝の雨

11月14日
義父の傾眠傾向。
これは何かの始まりの暗示なのか。

夕暮れに 　 　　　響く　くさめに 　　　安堵も　し

11月28日
母の叔父を見舞いました。
数十年ぶりの再会でした。

飄々と 　 　　　皆を和ます 　　　 　　　大叔父おじの手は　 　　　病にあっても 　　　ふふと　柔らか

　　　　　　*2007年 12月*


12月17日
最後に払った枝に残った葉はいつまでも落ちませんでした。
今年はとうとうイルミネーションもなしです。

言い訳の　百十紅も 　　　葉をおとし 　　　明日のことなど 　　　考えてみる

12月21日
ドイツを旅行中です。。。
クリスマスマーケットの絵葉書が届きました。

あたたかき 　　　ともしびの葉書 　　　ドイツより 　　　友の想いは 　　　ひゅうと空飛ぶ

12月29日
あれもこれもと山積みのままの年の暮。
呆然と立ち尽くすのは私だけ。。。。

誰れ作る 　　　 　　　この〆切りの 　　　あればこそ 　　　走る人あり 　　　たたずむ　吾あり

　　
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