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「アウェイ・フロム・ハー 君を想う」【AWAY FROM HER】2006年・カナダ 監督・脚本:サラ・ポーリー 原作:アリス・マンロー 短編集「イラクサ」より「クマが山を越えてきた」 製作総指揮:アトム・エゴヤン 俳優:ジュリー・クリスティ・・・フィオーナ ゴードン・ピンセント・・・フィオーナの夫、グラント マイケル・マーフィ・・・オーブリー オリンピア・デュカキス・・・オーブリーの妻、マリアン クリステン・トムソン・・・看護婦、クリスティ ウェンディ・クルーソン・・・老人ホーム主任、モンペリエ 。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。 グラントとフィオーナは結婚して44年。子供はいないが仲睦まじく、老いても 夫婦の営みもある。 グラントは大学教授時代、教え子に手をつけまくり妻に心労をかけたが 20年前、過去と決別し、静かな場所で愛妻と人生の黄昏を見つめる日々。 だが、まだ老婆ではないフィオーナにアルツハイマーの症状が・・・。 真冬の夜、徘徊するにいたって、フィオーナは老人ホームに入居する決意を固める。 夫グラントはどうしても気が進まなかったが、フィオーナの決意は固かった。 ホームの規則で一ヶ月の間、面会も電話も許されなかった間に フィオーナの記憶からグラントは消え去っていた・・・。 そして彼女の心を占めていたのは、無口な車いすの老人オーブリー。 フィオーナはオーブリーに恋していた。 甲斐甲斐しく世話をやき、傍目から夫婦としか見えないほど・・・。 苦悩するグラントは、ある考えを胸に、オーブリーの妻、マリアンの自宅を訪ねるのだった・・・。 お前の亭主が妻を奪ったと抗議されるものと警戒していたマリアンだが グラントは意外な言葉を口にする・・・。 。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。 ハリウッド嫌いと公言する気鋭の女優サラ・ポーリーの初監督作品。 まだ二十代半ばで、すごいと思う反面、二十代だからこそ、撮れたのかも、とも思う。 アルツハイマーの妻を献身的に介護する夫の物語では、ない。 そういった種類の映画はたくさんあるが・・・。 これは確かに「夫婦愛」の物語であるが 切り口が違う。 愛していたら、どうするか。 一緒にいる。相手の幸福を願って去る、形はそれぞれ。 愛し合う夫婦の数だけ、違う選択があるはずだ。 そして、相手によかれと思ってとった行動が必ずしも相手を幸福にはしない。 だが、それを「間違った愛」などと誰かいえようか。 男女の、いいえ連れ添った夫婦の愛というのは、恋人のそれとは違う。 そして、女の愛と、男の愛は、かくも違うのだ。 待つ愛、棄てない愛、取り戻す愛、許す愛、諦める愛、尽くす愛、受け入れる愛、罰する愛、奪う愛、すがる愛、埋める愛 そのどれもが、愛だ。 だが、それを心から認められるのは、長年生きてきた人間でないときっと無理かもしれない。 老人介護の看護婦が言う。 「亡くなるとき、いい人生だったというのは大抵ご主人のほう。 奥さまは違います。」 老人ホームで、女性のほうが男性を追い回し夢中になりベッドにもぐりこむケースが多い、という話に、女として納得がゆく。 男は女に疲れて老いてゆくのかもしれない。 女は男に惚れて若返る。 人は、忘れられることを悲しむいきもの。 忘れてゆくのは不安だが 忘れてしまうことの無垢な幸福・・・。 だが、忘れるほうも忘れられるほうも、心臓が鼓動するかぎり 生きてゆかねばならない。 忘れられたほうの夫と妻は、伏して泣くのではなく、手をとりあって新しい跡を 雪につけようとする。 過去、ではなく、今と未来のために。 生きてゆくということ。 食べる、暮らす、生理的欲求や人間らしい悦びを満たす。 自分にも、愛する相手にも、それを贈ろうとする。 雪原にくっきりとついたクロスカントリーのわだち。 永遠に平行に仲良くならび、交わらない。 なぜか。 交差したら、あとは離れてゆくだけではないか。。。。 その轍に、深く愛し合う夫婦のありようを見た気がした。 ラストはどんでん返しではない。 アルツハイマーの進行を示すものだ。 なんと惨酷な。 私も身内をアルツハイマーで亡くした。 亡くなる前、戻るのだ。記憶が。だが長くは続かない。そして、去ってゆく・・・。 おそらく、ラストシーンは雪の轍が交差した瞬間だろう。 深く魂が重なった瞬間は、とどめおけない。 滑ってゆく・・・。 切ない美しく、気高く強い魂の物語であった。 │<< 前へ │次へ >> │一覧 │コメントを書く │ 一番上に戻る │ |
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