ALWAYS 三丁目の夕日
やさしさと不器用さに泣けました
第816回 1月25日
日本アカデミー賞優秀賞全部門受賞の「ALWAYS 三丁目の夕日」を年末に観てきました。友人とふたりで観た久々の映画でした。
とにかく、人のやさしさと不器用さに泣けました。
昭和33年の東京を舞台に、敗戦後13年たった日本の生活を見事に再現したこの映画は山崎貴監督の手によって、西岸良平さん原作マンガ「三丁目の夕日」のよい雰囲気をきちんと守って、独特のオリジナル映画に完成されました。
星野六子が集団就職で青森から東京にやって来たところから物語は始まります。「鈴木オート」という会社名から大きな自動車会社と思っていたら、個人の自動車修理販売だったことで、がっかりした六子。負けず嫌いで短気な鈴木オートの社長さん。その社長さんを支え、子どもに躾を忘れない、六子にも家族同様愛情で接する奥さんのトモエさん。
鈴木オートの向かいの駄菓子屋の若店主、「文学」こと茶川竜之介は少年雑誌に冒険小説を連載し芥川賞を目指す。一杯飲み屋「やまふじ」の若いおかみヒロミに頼まれて孤児吉行淳之介を預かることになる。文学の冒険小説のファンだった淳之介は次第に文学を好きになる。本当の親以上に信頼関係が生まれてくる文学と淳之介。その文学のやさしさに惹かれていくヒロミ。彼女は貧しさゆえに親の借金のかたとしてストリップの踊り子をしていた。
ふたつの「家族」を中心に、近所の医者「悪魔」こと宅間先生やタバコ屋のばあちゃんなどが絡む三丁目は、電気冷蔵庫やテレビなどの三種の神器が家庭に普及しつつある時代を背景に、懐かしい町並みと家族や近所同士の心の交流までも再現してくれました。
みんな生き方も考え方も不器用です。だけど一人ひとりがやさしい人たちなのです。お金持ちには程遠い三丁目の人たちが力道山のプロレス中継に沸き、クリスマスというまだ馴染みのない行事に感動するのです。親の顔を知らない淳之介の親を探しに出掛ける鈴木オートの息子一平。そこには生きている人間の喜怒哀楽が描かれていました。
涙が勝手に流れてきました。特に結婚を約束した文学とヒロミでした。婚約指輪が買えない文学は空ケースだけクリスマスプレゼントをします。ヒロミはそれに感動して指を差し出して、架空の指輪を文学に求めます。そしてヒロミはまたもや親の借金のかたに踊り子になっていくのです。劇場の屋上で夕日に向かって手を伸ばし、指を見つけるヒロミの純真な姿には涙が止まりませんでした。
人のやさしさと不器用さに泣けました。
もし、気持ちが乾いてきたら、こころが淋しかったら、この映画を観ることをお勧めします。
2006年1月29日記
ALWAYS 三丁目の夕日
http://www.always3.jp/