夏目再会

Aug 25, 2007

(2)

テーマ：猫の里親を求めています。(2625)

カテゴリ：にゃごにゃご

我輩も猫である。名前はまだない。

ふと気が付いて見ると我輩一人であった。
たくさんおった一族が一人も見えぬ。
肝心の母親さえ姿を隠してしまった。

はてな何でも容子がおかしいと、のそのそ這い出して
塀の下に坐ってどうしたらよかろうと考えて見た。
別にこれという分別も出ない。

しばらくして泣いたら母親が迎に来てくれるかと考え付いた。
ニャー、ニャーと試みにやって見たが誰も来ない。

そのうち池の上をさらさらと風が渡って日が暮れかかる。
腹が非常に減って来た。ニャーと泣くしかなかったのである。

すると、塀の上から見たこともない生き物が覗いた。
それがニャーと云うのでニャーと返す。
何でもよいから食物のある所まであるこうと決心をして
そろりそろりと塀を左りに廻り始めた。

どうも非常に苦しい。それもそのはず我輩はあろうことか
虫取り網なる人間の粗野な子供が使う玩具に掬われたのである。

その上今までの所とは違って無暗に明るい。
眼を明いていられぬくらいだ。非常に痛い。
吾輩は茂みの中から急に人間の家の中へ連れ込まれたのである。

縁は不思議なもので、もし虫取り網に近寄らなかったなら
吾輩はついに路傍に餓死したかも知れんのである。

しかも連れ込まれた邸の中には別れたはずの姉妹がおり
さらに我輩の従弟と従妹もいて大いにたまげた。

母親がどこへ行ったか分からないが、人間の邸は快適であった。
時々人間が我輩を抓み上げては膝に乗せたり撫でたり
腹立たしいことも多々あれど、ここには飯も水も苦労がない。

そんなわけで、犬好き一家は2人が4人になり
我輩ら4人の里親を探すことになったのである。
どうか、どうかよろしく頼むと、会う人毎に繰り返すばかりである。

因みに、虫取り網でサバトラを捕獲したのは
何を隠そう、このわたくしでございます。
猫語で話しかけ誘き寄せ、ものの5分でゲット。
わたくしの猫語はネイティヴという噂(^^)v

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