|
|
|
|
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
おばあさんのくれたお人形寒い冬のある日、おでこに傷テープを貼った、アランという女の子が買い物の帰りお母さんと2人で手を繋いで歩いていました。 町の誘惑はアランの顔をキョロキョロさせました。 アランは繋いでいた手をふと離し、ショーウィンドーの所で立ち止まりました。 「アラン、このお人形さん欲しい。」 お母さんは取れかかっているアランのマフラーを付け直しました。 「昨日、誕生日におばあちゃんから頂いたばかりでしょ。」 アランはききません。 「だって、あのお人形さん手と足の長さがバラバラだしフリフリのお洋服着てないんですもの。」 お母さんはアランの毛糸の帽子を目の所まで深くかぶせました。 「せっかくアランの為に作って下さったのにそんなこと言うもんじゃありませんよ。」 「だってだってー…」 アランは帽子を目の上まで両手で戻しました。 言うことを聞かないアランの手をついに引っ張ってお母さんは帰りました。 帰ってもアランのダダは止まりません。 夕食の時、お父さんはお母さんに尋ねました。 「アランはなぜ怒っているんだい?」 「町で見た人形を欲しがってきかないのよ。」 お父さんはアランの方を見ました。 「アラン、昨日おばあちゃんからもらったばかりじゃないか。」 アランはフォークを置きました。 「だって、可愛くないんだもの。」 アランは席を立ちました。 「昨日頂いたプレゼント、自分の部屋に持って行きなさいよ。」 お母さんの声にアランは返事もせず、かごの中にプレゼントを入れました。 6歳になったばかりのアランにとって、そのかごを持つのは大変でした。 階段を上る途中、踊り場で人形を一体落としてしまいました。 そんな事に気づくはずもなく、アランは階段を上ってすぐ左の自分の部屋に入って行きました。 アランはもらったプレゼントを片付けるとベッドの隣にある大きな鏡の前に背を向けて座りました。 「おばあちゃんに可愛い人形って言ったのに。」 アランはつぶやくと鏡にもたれました。 すると、アランの背中は鏡をゆっくり通り抜けてしまいました。 びっくりしたアランは飛び起きると、辺りを見渡しました。 すると、椅子に腰をかけ、背をまあるくして、眼鏡をかけ、何かをしているおばあさんを見つけました。 「おばあちゃん?」 アランはおばあさんの所へ走って行き、隣の椅子に腰掛けました。 「ねぇ、おばあちゃんたらー。」 アランは声をかけましたがおばあさんは反応しません。 向うには自分が出てきた鏡がおばあさんを映しています。 「アランが映ってない!」 アランは自分の体を見ました。体は見えるものの、透けて椅子や床も見えました。 「アラン、透明人間になったのかなー。でも何でおばあちゃん家なんだろー?」 アランが思っていると 「ばあさん、あんま無理すんじゃねえよ。昨日まで寝こんどったんじゃから。12時過ぎたぞぃ。」 おばあさんの手が止まり、アランは声が聞こえたので前を見るとそこには、おじいさんがホットミルクを持って立っていました。 「明日のアランの誕生日に間に合わせないといけないからねぇ。」 と言って微笑むとまた手を動かし始めました。 おじいさんは手に持っていたカップを前のテーブルの上に置くと、暖炉の火を調節し、部屋の奥へ消えていきました。 窓の外は雪が吹雪いていました。おばあさんの眼鏡からは細くなった目が見えます。 アランは椅子から降りると暖炉の側で温まっていましたがしばらくして静かになったのでおばあさんの方を見ると手が止まりウトウトしています。 そこには手足の長さがバラバラの人形がありました。 「おばあちゃん眠たかったんだ。」 アランは思いました。 奥から物音がしておじいさんが部屋に入ってきました。 「やれやれ、やっぱり限界だったか。よっぽど孫が可愛いんじゃろう。おやおや、この人形ばあさんの幼い頃にそっくりじゃ。」 そう言って笑うと持って来た毛布をおばあさんにかけ、電球を消し、向かいの椅子で眠り始めました。 アランは、おばあさんとおじいさんにキスをすると、鏡の方へ歩きました。 鏡に手を伸ばすとまた鏡の中へ入って行きました。 そして出た所は暗く淡い光が右から当たっている所でした。 淡い6つの火が消えたかと思うと電気がパッと点きました。 「お誕生日おめでとう!」 みんなの声が聞こえます。 その真ん中にいるのはアランだったのでアランはビックリ。 「あ!アランがいるー。昨日の誕生パーティーだ。」 アランはみんなに近づきました。 お母さんがケーキを切っている間に、昨日のアランはプレゼントをもらい始めました。 おじいさんからは木製の馬の乗り物でした。 昨日のアランは大はしゃぎです。 「ありがとう。おじいちゃん。」 昨日のアランはおじいさんに飛びつきました。 そして、おばあさんからはあの人形がプレゼントされました。 「お誕生日おめでとう、アラン。6歳になったね。アラン、お人形さん好きでしょ?」 おばあさんの言葉を聞くか聞かないうちに箱を開け中の人形を取り出しました。 「えー、このお人形さん靴はいてないし、白のフリフリ着てないよー。」 昨日のアランの言葉にみんな驚きました。 「そんなことないわよ。このままで、十分可愛いわよ。」 お母さんの言葉も耳に入りません。 「おばあちゃん、そこまで気がつかなかったよ。ごめんね。」 おばあさんは困りました。 アランは昨日のアランに近づき頭を後ろから叩きました。すると昨日のアランはテーブルでおでこを打ってしまいました。 昨日のアランは痛みと欲しくない人形をもらい、大泣きです。 お母さんは慌てて救急箱と氷を持ってきて昨日のアランのおでこに傷テープを貼り、氷で冷やしました。 「わがままを言うからですよ。」 お母さんの言葉を背にアランは走って鏡の中へと駆け込みました。 そして自分の部屋へ出てきました。 階段を上って来る音が聞こえてきます。 その音は途中で途切れたかと思うと、また近づいてきました。 そしてコンコンとドアをノックする音が聞こえ、お母さんが入ってきました。 「何回も呼んだのよ。返事してくれないと心配するじゃない。」 そう言うとお母さんはアランに近づきました。 「あら?泣いているの?」 アランの頬には涙がつたっていました。 「そんなにあのお人形さんが欲しいの?」 お母さんがアランを抱き上げました。アランは 「ううん。」 と首を横に振りました。 「そう。お風呂に入りなさいね。」 アランはお母さんの服で涙を拭くと部屋を見渡しました。 しかし、おばあさんからもらった人形が見つかりません。 お母さんはアランを抱いたまま階段を下り始めました。 そして踊り場まで来た時、台の上にある花瓶の隣にある人形を見つけました。 お母さんが座らせてくれていたのです。 アランはお風呂から急いで出ると人形をもって自分の部屋に入りました。 町の明かりが弱まった頃お母さんはアランの部屋を覗くと廊下の光が射し込みアランとおばあさんからもらった人形に当たりました。 そこへお父さんが階段を上ってきてアランの部屋をお母さんの隣から覗きました。 「アラン、母さんがくれた人形、大事にしているじゃないか。」 2人は嬉しそうに人形と寝ているアランの部屋のドアを静かに閉めました。 |