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2004年07月21日
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カテゴリ:カテゴリ未分類
掲示板で、くれどさんから、Linuxのビジネス的なメリットは何ですかという質問をいただきました。
しかし、私は、考え込んでしまいました。「ビジネス的な」という点が問題だったのです。
私が、今、Linuxに感じているメリットは、多分に趣味的だからです。

Linuxのメリットは、やはり、オープンソースのOSという点でしょうか。
オープンソースなので無償で手に入れることができますが、そこには、自己責任の原則と、ソース公開の原則がついて回ります。
原則としてサポートはありません。メーリングリストなどで実質的なサポートを受けられることもありますが、あくまで、参加者の善意によるもので、的確なサポートが受けられる保障はどこにもありません。

このようなLinuxでビジネスを展開しようとすると、以下のようになるでしょうか。

(1)サポートを有償で提供する。

無償で配布するが、サポートは有償という場合と、サポートつきのLinuxとして、有償で販売する場合とがあるようです。
Red Hatなどのディストリビュータが追求しているメリットはこれです。


(2)Linuxを使用したソリューションを有償で提供する。

ディストリビュータでない人が追求すべきメリットはこれです。
この場合、Linuxを使うことが、他のOS(特にWindows)を使う場合より、価格以外の面ではっきりしたメリットがないと成功しません。
しかし、LinuxがWindowsより勝っているところは何でしょう。


この点について私が感じているメリットが趣味的なのです。それは、以下のような点です。

(a)ファイルシステムの構造が統一的に整理されていてプログラム的に扱いやすい。

具体的には、ファイルもデバイスもが、単なるバイトの並びとして整理され、それらをディレクトリにマウントすれば、単一のディレクトリツリーで統一的に扱えることを指しているのですが、これがどんなメリットを生むのでしょう。考えようによっては、メリットより、デメリットの方が多いかもしれません。

Windowsの世界では、USB HDDなどが出てくるまで、マウント・アンマウントという操作とは無縁でした。フロッピーディスクの様なものでさえ、挿入すればすぐに使用でき、アクセスランプが消えたら、いつでも取り外しができました。デバイスの操作方法は、各デバイスの特性に応じて適切な操作方法が決められていました。ですから、そのデバイスの種類(内蔵HDD、増設SCSI HDD、USB HDD、CDROM、フロッピーディスク、・・・)に応じて、操作方法が少しずつ違います。でも、それが自然な違いだったので、混乱はありませんでした。Windows 3.1の頃には、アクセスランプが消えてすぐに取り出すとフロッピーを壊すことがたまにあり、これが明確なアンマウント操作が無いことと引き換えに生じるデメリットだとも思っていましたが、Windows 95以降、その現象は減っています。最近はフロッピーの使用頻度が減っていることとあいまって、経験したことがありません。

Linux(というよりUNIX)の世界では、この操作が統一されています。こういうとメリットのようにも聞こえますが、デバイスの種類とは無関係に、常に、USB HDDと同様なマウント・アンマウントの操作が要求されるのです。これは、Windowsの操作に慣れていると、煩雑に感じます。それでも、誤操作が生じないように保護されていればまだ良いのですが、フロッピーではメカ的にいつでも取り出せるようになっていて、もし、マウントしたまま、アンマウントを忘れて取り出してしまうと、フロッピーを壊してしまいます。最近は、マウント操作の煩雑さを少しでも軽減するためにオートマウントが使えるようにもなってきましたが、その名のとおり、マウントを自動で行ってくれるだけで、アンマウントは自動ではありません。アクセスランプが消えたからといって、フロッピーを取り出すと、壊してしまいます。これははっきりいってデメリットです。なぜメリットになるのでしょう。

この点にメリットを感じられるのは、システムのバックアップ・リストアを行いたいときなどの、ごく限られた状況だと思います。Linuxではデバイスやパーティションもマウントしなければ、ファイルと同じ、ただのバイトの並びとして扱えるというメリットがあるのですが、これを活用できる状況は、おのずとバックアップ・リストアなどに限られてくるからです。Windowsの世界では、このようなことはできないので、Windowsをいったん終了させ、リブート処理のかなり早い段階で実行したり、それでもだめな場合は、MSDOSでリブートして実行したりします。しかし、Linuxの世界では、最初はルートファイルシステム以外は、どのデバイスやパーティションもマウントされていない状態です。KNOPPIXのような、CDブートLinuxでは、ルートファイルシステムでさえ、RAMディスクになっているため、事実上、すべてのデバイスがマウントされていないのと同じです。なので、KDEなどの普段使っている環境のまま、自然に、このような操作ができます。

しかし、この点にビジネス的なメリットを見出すのは、状況が特殊なだけに、難しいかもしれませんね。
1つだけ事例があります。ある顧客から20GBのHDDを丸ごとコピーするなどの機能を持ったツールの開発を受注したことがありました。IDEのセカンダリマスタにコピー元HDD、セカンダリスレーブにコピー先HDDをつないでおいてコピーするのです。
Windowsの世界では、Drive Imageという有償のMSDOSアプリを使ってコピーすると確か50分程度(約400MB/分)かかったと思います。それが、linuxだと、わずか20分程度で終わってしまったのです。実に1GB/分のコピー速度。使ったのは、ddというLinuxの標準コマンドです。デメリットは、GUIでないことと、Drive Imageだと、プログレスバーでコピーの進行状況を判りやすく表示してくれますが、ddだと、進行状況はまったく報告してくれないことです。そこで、ddコマンドのソースをダウンロードしてきて、1%コピーするごとに進行状況メッセージを表示するような修正を入れ、これをラップするGUIツールを別途作ることで対処しました。
単に量産のためにHDDをコピーするだけなら、別にもっと良いツールがあるようですが、そうではない、チョッと特殊な用途だったために、既存のツールが無く、そんなツール開発の要求が出てきたのでした。顧客も、最初はDrive Image並か、それに少し劣る程度の性能が出てくれればと思っていたようですが、予想外の高性能にびっくりしたようで、大好評でした。


(b)コマンド体系がよく練れていて便利に使える。

これってメリット?と思う人も多いでしょうね。
現在、WindowsはGUI全盛。すでにGUIでできないことは何も無いのでは?と思える状況です。コマンドは玄人向けで普通に使う分には必要ありません。
しかし、Linuxでは、まだGUIでできることは限られています。かなり多くなってきましたが、まだ、コマンド実行とテキスト編集を併用しないとできないことはたくさんあります。Windowsに慣れた、Linux初心者の目から見ると、はっきりいって、これはデメリットに見えるでしょうね。
ところが、Linuxに慣れている人の多くは、このような状況に疑問や問題は感じていないと思います。
Linuxでは、多くの場合、GUIで提供されるよりも多くの機能がコマンドでも提供されます。そして、コマンドの方が、Linuxの豊富なコマンドセットとあいまって、便利に使えることが多いのです。GUIはあっても初心者向けで、慣れてきたらコマンドを使ってね、というのが大方のLinuxユーザの思いではないでしょうか。
Linuxのコマンドを使うには、ある程度のノウハウの習得が必要になりますが、ある程度使えるようになってくると、その奥の深さから、手放せなくなってきます。そうなってきて、ようやく、これがメリットだと感じられるようになると思います。

しかし、仮に、これがメリットだと感じられるようになったとして、そこにビジネス的なメリットを見出せる人はどのくらい居るでしょうか。
このメリットは、要するに、コマンドを組み合わせて新しいコマンドを作ろうとするときに便利に使えるツールがたくさんそろっていますよ、だから、簡単に作れますよといっているわけです。でも、それならWindowsにもあります。Visual BASIC、HTMLアプリケーション、Windows Scripting Host、・・・。コマンドの代わりにCOMコンポーネントを使うことが多いので、少々煩雑になりますが、できることはもっと強力かもしれません。
現在、大方の顧客はWindowsを使っています。まだ、LinuxなどのUNIX系OSを使っている人は一握りに人たちだけです。この一握りに人たちを相手にするならともかく、結局は、大方のWindowsユーザを相手にすることの方が多いはず。今、ある顧客(Windowsユーザ)の要求を満たすソリューションがWindowsでもLinuxでも提供できるとした場合、Linuxによるソリューションを提案して勝ち目があるでしょうか。
私は、いずれLinuxがWindowsを超える日が来ると信じていますが、その日はまだ当分先のように思います。LinuxとWindowsが競合してLinuxに勝ち目が出てくるのは、LinuxがWindowsに追い越した後ではないでしょうか。それまでの間、このようなメリットは、Linuxを愛する変わり者の趣味的なメリットであり続けそうに思います。


(c)X-Window、KDE、その他各種Window Managerなども、役割がよく整理され、柔軟性に富んだ構造になっている。

だからか、いろんなウィンドウマネージャが出回っていますよね。私が使ったことのあるウィンドウマネージャ(WM)だけでも、fvwm(Live Linux)、fvwm2(Live Linux2)、GNOME(Red Hat 7.3、Miracle Linux 1.1、2.0、2.1)、KDE(Red Hat 7.3、8.0、KNOPPIX 3.1~3.4)、ice-wm(KNOPPIX-RW)があります。
WMが変わると、操作性がガラリと変わるので、まるで、違ったOSを使っているかのような錯覚を受けます。どのOSも大抵、2つ以上のWMをサポートしていますが、私は、そのOSの一番推奨するWMを使うことにしています。ただ、Red Hatだけは、GNOMEとKDEを両方ともインストールしてログイン時に切り替えて使えるようになっていたので、そのようにしました。このとき、GNOMEとKDEを比較評価し、私にはKDEの方が良く感じられたので、以来、私はKDE派です。

ところで、この複数のWMを切り替えて使えるというのは、果たしてメリットなのでしょうか。
これまでのWMの進化の歴史を振り返ってみると、このWMを切り替えて使える柔軟性が果たした役割は大きかったと思います。後発のGNOMEが他のWMを制して人気を博したのも、さらに後発のKDEがGNOMEに追いつき、追い越して現在の地位を得たのも、この柔軟性があったために実現したことでした。

しかし、ユーザの立場から考えてみると、いろんなWMを切り替えて試してみたいと思うのはマニアックなユーザだけで、大方のユーザにとっては、一番操作性の良いWMがひとつあれば足ります。複数のWMを比較評価して自分にあったWMを探そうなんて興味が無いので面倒に感じるだけというのが普通でしょう。柔軟性があったからWM間の自由競争が促進され、結果としてKDEのような優秀なWMが輩出してきたというのは、間接的なメリットでしかありません。
したがって、このメリットも、ビジネス的なメリットにはなりにくい状況です。


このように、今のLinuxの状況では、そこにビジネス的なメリットを見出しにくい状況だと思います。

以下、2004/7/22の日記につづく。


過去のKNOPPIX関連日記一覧はこちら

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最終更新日  2004年07月22日 19時03分38秒
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