高千穂大学の渋谷教授が主催する源氏物語の講読会なのですが、毎週木曜日(しかも祝日を除く)に開催されるため、行きたいと思っても仕事を持っている身ではなかなか行けませんでした。しかし、この9・10月なら何回かは行けそうなメドがたったので、行ってみたものです。
行ってみると、やはり、ご婦人方が多いですね。すでに子育てを終えたか一段落しているような世代から私の母よりは少し若いくらいの世代のご婦人方でしょうか。男の方は、先生と私の他には、既に現役を退かれていると思われる年配の方が一人いらっしゃっただけでした。
開催場所は我が家よりも両親の家のほうが近いので、昨夜は両親の家に泊まったのですが、母に源氏物語の講義を聴きに行くといったら、母が私の高校時代の参考書を出してくれました。母も近所の源氏物語の講座に登録して時々聞きに行くのだそうですが、その関係で見つけたもののようです。若紫の一節だけ多数の書き込みがあり、期末テストか何かで勉強したようですが、もう、完璧に忘れていました。今回は、そのとき以来、数十年ぶりに古典の講義を聴いたことになります(大学は理工系に進んだので古典はありませんでした)。しかし、高校の頃の講義を思い出すと、退屈な講義だったように思うのですが、今日の渋谷教授の講義は、退屈しないようにいろいろな話題を織り交ぜたり脱線しながら話をしてくれたので面白かったです。その分、購読のペースは落ちるのですが、学校の講義のようにノルマがあるわけではないので、それも良いのではないでしょうか。この会は昭和55年から続いているそうですが、それだけ長く続いた理由の1つは、この辺にあるのかもしれませんね。
今日、購読したところは、第47帖 総角の第4章第3段でした。匂宮が薫の手引きで夜更けにお忍びで宇治を訪れる場面です。宇治10帖も、ちょうどこのあたりから込み入ってきて面白くなってくるところなので、初参加のタイミングとしては意外に良いタイミングだったかもしれません。
実はこの初参加記念に、第47帖 総角について以下のことをしてみました。
・与謝野晶子訳も本文と対照して読めるようにする。
・本文中で使用される「宮」「君」などの呼称が具体的に誰を指すのかを調べる。
どちらも、第5帖若紫や第4条夕顔までで止まっていましたが、むらさきの会での購読中に何か役立つかもしれないと思って、特別にやってみたものです。これらはまだアップしていませんが、数日中にはアップするつもりです。
しかし、いざ行ってみると、準備していたことは何も言い出せずじまいでした。
いや、先生は、私のサイトを紹介してくれたり、先生のインターネットに対する見方などを披露してくれたりして私を持ち上げてくださったのですが、そこで私に振られたとたん、私の方は頭が真っ白になって、何も言えなくなってしまったのです。しかも2度も。情けない限りでした。
この購読で使っているテキストは、室町時代の写本を原形のまま写真複製した影印本なのですが、私はくずし字がいまだに読めないので、もっぱら、再編集版の該当箇所を印刷したものを持ち込み、それを読んでいました。
この会では、参考資料として、渋谷教授がインターネットに公開している「源氏物語の世界」のオリジナル版のテキストを縦書きに変換したものを使っていました。
古典の世界はやはり縦書きなのですね。インターネットに横書きで公開しているのは、インターネットエクスプローラがいまだに縦書きをサポートしてくれないからなのでしょう。そういえばykhnmyさん(
楽天ぱんだpandaパンダさんのもうひとつのペンネーム)のサイト「
私説・源氏語り」では、苦労して縦書きに変換したものも公開されています。私には横書きの方が読みやすいので、私説・源氏語りは横書きのページで読ませていただきました。しかし、もし縦書きのビジネス文書なぞというものを見たら私は相当な違和感を覚えるでしょうが、おそらくそれと同じくらい、古典をやる人にとって横書きは違和感を覚えるのでしょうね。
そう思うと私の悪い癖で、つい、再編集版で縦書きをサポートする方法に思いを馳せていました。その間は先生の講義も上の空で聞いていなかったような・・・(すみません)
でも、どうやればできるかというイメージはまとまりました。HTML形式やHTMLヘルプ形式の再編集版ではIEが縦書きをサポートしてくれないので実現困難ですが、CSV形式なら2つのアプローチがありそうです。
(アプローチ1)WordのVBAで全文検索機能を書き、結果をWordの差込印刷機能を使って、縦書きのWord文書を生成する。
(アプローチ2)全文検索プログラムでXML形式のWord文書を直接生成し、自動的にWordを起動して表示させる。
アプローチ2の方が処理は高速になりますが、プログラムは大きくなり、しかもWord 2002以降が前提になります。操作性もアプローチ2の方がよさそうに見えますが、アプローチ1でも似たような操作性にすることはできます。WSH(Windows Scripting Host)でWordがサポートされているので、WSHで全文検索し、Wordを起動して結果を差込印刷するのです。
どちらも、全文検索プログラム上では、「検索結果をWordで縦書き表示する」というチェックボックスをチェックするだけで実行できるようになります。
しかし、どちらにしても、趣味でやっている現状だと、そこまでの時間を避けそうも無いですね。結局、新しい今後の課題が1つ増えただけかもしれません。
今後の課題というと他にも思うことがありました。
今日の予定範囲だった第47帖 総角の第4章第3段を先生に朗読していただけたのですが、そこで初めて「
御」の読み方が分かりました。渋谷教授はローマ字版で「ohom-」と表現していらっしゃいますし、ykhnmyさんも私説・源氏語りの最初の方で「いづれの御時にか、おほんとき、オーントキ、と強めて読む」と言ってらしたのでなんとなく分かったつもりでいたのですが、実際に聞いてみると、「オーン」のところを少しトーンをあげてややゆっくり目に読んでおり、ああそうなのか、そう読むのかと、ようやく分かりました。
ただ、今、この日記を書きながら、ふと疑問に思ったのですが、「
御文(4.3.1行)」や「
御ありさま(4.3.4行)」「
御宿世(4.3.4行)」は「オーン」と読むのに、「
御心(4.3.5行)」は「み」と読むのはなぜでしょう。御文は匂宮からの文だからいいとしても、他は大君のありさまや宿世や心です。老女房にとって主人の大君には敬語で話す必要があったから「オーン」となったけど、この物語の語り部(紫式部)には主従関係は無いので、そう読むのだろうかと勝手に想像していますが、本当のところはなぜなのでしょうか。
ところで、私のような初心者には、一度、このような朗読を聞いてみたほうが良いようです。そういえば、ykhnmyさんも私説・源氏語りの最初の方で「聞きながら場面を想像する、よんでもらう音読」が良いと言っています。対象は私のような初心者ではなくて、古典の朗読を聞くだけで情景を思い浮かべることのできる、もう少し上級の人たちですね。
それに渋谷教授も今日の講義の中で、源氏物語は女房が中宮彰子に読んで聞かせることを想定して書いているから、耳で聞いただけでも理解しやすいように書かれていると言ってらしたように思います。
このように、本文の朗読が初心者だけでなく上級者にも役立つというのであれば、再編集版に朗読を持ち込んだらどうだろうという思いが出てきます。
実はこの思いはずいぶん前からあって、ローマ字版があるなら、これを音声合成ソフトに入力して朗読させたらどうだろうと思ったのが最初です。Windows XPにはTTS 3000という音声合成ソフトがおまけでついているので、あれが使えるかもしれないと思ったのです。でも、そんなことをしても、本当に役立つのだろうかという思いの方が大きく、結局、何もせずじまいでした。今回の「御」の読み方にしたって、先生に朗読していただけたから分かったのであって、TTS 3000に朗読させたって分かりっこありませんから。
しかし、人間が朗読するとなると、全54帖すべて揃えるのは、かなり大きな作業量になり、趣味でできるような代物ではなくなってしまいます。もっとも、どこか1帖だけくらいなら何とかなるかもしれないので、一応、これも、新しい今後の課題に挙げておくことにします。
他にも、感じたことがいくつかあったのですが、それらは、またの機会に書きます。
次回は、9月30日だそうです。たぶん、次回も行くでしょう。
2004/9/22 恥ずかしい誤記があったので、修正しました。