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Mizumizuのライフスタイル・ブログ

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2007.08.15
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カテゴリ:Movie
渋谷のQ-AXシネマへ斎藤工(さいとう・たくみ)主演の「いつかの君へ」を観にいく。
1日に1回のレイトショー形式。21:20から。時間が遅いので、安心して(?)仕事をだらだら片付けていてふと気がつくと、すでに20:30を回っていた。

明日からは忙しくなるので、夜出られないかもしれない。慌てて車に乗って家を出たのが、20:45過ぎ。普段なら間に合わないところだが、お盆でわりと都内がすいていて、なんとか21:20分に劇場に滑り込んだ。

映画はよかった。堀江慶(監督)の世界は、明るくて暗く、シリアスでコミカルだ。深刻な問題を扱っていても絶望はなく、といってごまかされた気分にもならない。双子の兄弟のノボルとリュウが初めて会話する場面は、「サイコ」の息子と母の会話をすぐに連想させる古典的な手法で、「もしや…」と思わせる。そうした精神の闇の部分は、結局最後まで完全に解決されることはないのだが、どこか楽観的な気持ちで劇場を後にすることができるのは、共演の河合龍之介の嫌味のない明るいキャラクターによる部分も多い。

青春の負の部分を表現するのは斎藤工の役割だが、その中でももっとも印象的で卓越したシーンは、ドイツ留学を奨められたノボル(斎藤)が、「(ドイツにいけば)ひとりになれる?」と自問自答して、鏡に映る自分を横目で見やる場面だ。このカットはノボルの肩越しに撮られ、観客はその後ろ姿と鏡の中のノボルの顔を同時に見ることから、あたかもその場に2人の人間がいるような錯覚にとらわれる。緻密に計算されたこの視覚的な効果とあいまって、ノボルに問いかける声がノボル自身のものなのか、リュウのものなのか、一瞬混乱してわからなくなる。ここはこの映画でもっとも暗く、もっとも美しく、幻想的で暗示的な場面だ。

そうした精神の陰の部分を鋭く表現してみせる斎藤工は20代半ば。テレビドラマにもCMにも出ているし、映画も舞台もやっている。ただ、まだ日本人なら「誰でも知ってる俳優」というほどではない。だが、いずれはそうなるだろうと思う。

役者に対しては、よくみな「華がある」「華がない」という言い方をする。ただ見た目がいいとか、せりふまわしがうまいとか、そういったものを超えたその人独特の雰囲気だ。みなが感じる「華」とは何だろうと考えてみるが、実際のところよくわからない。人によってその「華」は違うかもしれない。ある人にとっては最高に華のある役者でも、ある人にとっては、何度見ても印象に残らない役者かもしれない。

だから、華がある、ないは多分に個人的な嗜好で、ときには思い込みにすぎないかもしれない。それでも「華のある俳優」というものが存在することは確かだ。誰もがよく知っている俳優というのは、いいかえれば、「非常に多くの人が華があると認めている存在」に他ならない。

俳優・斎藤工のもっている華とは、不思議な陰りであり、それとは相反するようでありながら確かに共存している透明感だ。同世代の俳優の中でも、そうした個性的な雰囲気では群を抜いている。それに演技もいい。「いつかの君へ」では河合龍之介と演技力を競いあっていた(河合龍之介も素晴しかった。軽快で器用で明るい演技は、斎藤工とは対照的な、別の可能性を見せてくれた)。
いつかの君へ
左が斎藤工、右が河合龍之介。たとえば10年後に、この2人はどんな役者になっているだろう? 本当に楽しみだ。どちらも才能があり、役者という仕事に対する若者らしい野心があり、演技に取り組む姿勢も素晴しい。どんな役が回ってくるかという運もあるだろう。

2人のブログも読んでみた。これも対照的で面白い。ストレートにその生活ぶりがわかるのは河合龍之介のブログだが、斎藤工は常に表現者たる自分のフィルターを通して、自分の見た風景を切り取るように心がけているようだ。老人たちが将棋を楽しんでいる写真につけられたコメントには驚かされる。こうした視点を20代にしてすでにもっているというのは、いろいろなものを見て、常に感性を磨こうと努力している証拠だ。東京の繁華街の交差点の一瞬を写した写真も面白い。

斎藤工は今は青春モノで、ちょっと大人っぽい陰のある役どころを魅力的に演じている。20代の半ばという年齢を考えると、こうした役を演じるにはかなりギリギリかもしれない。DVD版BOYS LOVEでは高校生役の斎藤工のほうが、社会人役の小谷嘉一よりはるかに精神的に成熟してみえた。実際の2人の年齢を考えればそれほど不思議ではないのだが、この現実とは逆の設定が、作品を不思議なファンタジーに仕上げるのに一役買っていたと思う。



10月からNHKで藤沢周平の「風の果て」が始まる。斎藤工が演じるのは、後に異例の出世をとげる主人公・隼太が若き日に仰ぎ見ていた道場仲間、鹿之助(斎藤工から仲村トオルにバトンタッチするらしい)だ。家柄もなく、したがって先々の希望はせいぜいよい婿入り先を探すぐらいしかなかった隼太と違い、鹿之助は名門の跡取りであり、生まれながらに隼太とは別世界に住んでいた。そうした「ほかとは違う」ものを背負った鹿之助をどう演じていくのか。斎藤工のもつ透明感と陰りというアンビバレントな個性が、後の2人の運命(隼太はやがて利権をテコに権力を得、鹿之助の政敵となり、鹿之助を葬り去ることになる)を思うときにどう輝くか、注目したい。斎藤工自身にとってもこのドラマは大きなチャンスだろう。

斎藤工の名前がもっと大きくなったとき、渋谷の小劇場で観た今夜の佳作を懐かしく思い出す日がくるだろうか。是非ともそうなってほしい。





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最終更新日  2007.09.02 15:52:20



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