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読者の皆様へ:
ものすごいアクセスと雪崩のようなメールありがとうございます。 なんと、1日のアクセスが5万6000件にのぼるという、信じられない事態… みなさん、いったいどこからいらっしゃるので?(苦笑) お気楽旅行ネタ、オールドムービーネタで1日7000件ぐらいの拙ブログ(それでも僻地ねたのわりには多いと思うんですが)ですので、はっきり言って異常事態です。 それと、いただくメールのほうは、「フィギュアねたをやめないで」というものが1日数百件。こんなにも拙ブログを愛してくださる読者がいるなど、想像もしていませんでした。望外の幸せです。書いている本人がビックリしています。本当にありがとうございます。 「一緒に日本選手を守ってください」という悲鳴のようなメールも多くありました。皆さん、本当に選手のことを考えていらっしゃるんですね。 競技としてのフィギュアスケートは終わったと思っていますが、選手の演技は素晴らしかったですね。今後とも1ファンとして皆さんと一緒に応援していこうと思います。 選手にはきっとファンの気持ちは伝わっていると思いますよ。支えてあげるためには、それぞれのファンの選手にメールなりお手紙をあげて、演技のよかった点や感動した点を具体的に書いてあげるとよいと思います。何がよかったのか、見てるファンから褒めてもらえれば、選手にはとても励みになります。 採点のことについては、選手に感情をぶつけてはいけません。選手はすべてわかってますから。納得のいかない採点というのはしばしばあり、政治的な思惑に支配されていることも。それでも一流選手というのは、「じゃあ次は認めてもらえる演技をしよう」と頑張るものです。 ただ、メールが多すぎて、読むのさえ大変になっています。大変申し訳ありませんが、しばらくメールを送るのを控えてくださいませませ。 暖かいメールをいただきながら、勝手なことを言って申し訳ありません。ただ、毎日仕事も忙しいですし、ブログというのはあくまで趣味でやるべきことだと自分でセンビキしています。自分の仕事をないがしろにしてまで、のめりこんではいけないというのが信念です。 それと、メールを拝見すると、皆さんお気持ちはだいたい同じなんですね。だからMizumizuにメールを送ろうと思った方は、「あ、もう同じコト書いている人がいるんだな」と思ってくださいませ。 ただ、中にはいろいろな情報を送ってくださる方もいるので、私書箱だけは開けておきます。海外の記事(ドイツ語の記事で、「1つのスポーツがどうやって壊されるか」という現在のフィギュアスケートのありかたを厳しく批判した記事もいただきました。元世界のトップスケーターからの貴重な批判の声です。これはとても面白かったので、また皆さんにご紹介しますね)。 いつも読者の皆様からは貴重な情報をいただいています。雑誌記事や内輪の暴露話まで(苦笑)。引き続きお待ちしております。 さてさて、今回皆さんが一番ショックを受けたのは、「点差」だと思います。一部メディアもキム選手と浅田選手に大差がついたことで「ライバルの背中が遠ざかった」とか、アホなことを書いていますが、点差を見てうろたえるのは、何度も言うように愚の骨頂です。 ちょっと別の見方で考えてみましょう。選手から要望が出されて今年の6月に話し合うことになっている「旧採点システムへの回帰」。 選手側からこの要望が出されたのは大きく分けて3つの理由があると思います。1つは、「結局のところ、フィギュアの点を絶対評価で出すことなど不合理かつ不可能」だったということ。今回の演技・構成点が証明したと思います。 2つ目は、不透明すぎること。3つ目は、現在の方法だと点差が思いがけず大きく出すぎることがあり、たとえば今回のショートのような結果、あるいはキム選手のフリーの点数を知ったら、他の選手には勝つチャンスがまったくなくなってしまうということでしょうね。今回フリーでは、コストナー選手やレピスト選手は、もはや全然ヤル気なかったですもんね。 これが旧採点方式だと、相対評価、つまり順位点ですから、ショートの順位が3位(場合によっては4位)ぐらいまでなら、フリーの結果次第では1位になるチャンスもあります。 まじめな方は、「もうあの点数を見て泣いています」とおっしゃっていますが、一方で、プロトコルをよく見てるオールドファンの方は、「あまりにミエミエで、しかもやりすぎで、爆笑しました」という意見も。 そうなんですね。今回の採点、演技・構成点が「カラスの勝手でしょ」ならぬ「その試合のジャッジの勝手でしょ」になってしまったという点では、絶望的な悲劇です。 これについてはビアンケッティさんも懸念していましたね。明確な基準がないうえに、匿名。ということは、5点つけようが9点つけようが、ジャッジの判断なわけです。どうにでもつけられる。 それを今まで防いできたのはジャッジの良識だったと思います。「慣例」としてだいたいの基準があり、それを絶対評価として前の試合と比較したり、同じ試合のライバルの評価と比較したりして、今後の課題を決めていく。 一方で、今回なんで急にここまで爆アゲしたのか、直前の4大陸の結果から推測すると、意図がミエミエなんですね。 4大陸のフリーを思い出してください。キム選手はショートでぶっちぎって、絶好調。ついに「3ループに挑戦する」と宣言。韓国紙も事前に「3ループ跳ぶ、キム・ヨナ。練習ではほぼ成功しているようで自信があると話す」と盛り上げました。 一方の浅田選手は、絶不調。トリプルアクセルは1度しか決まらず、1つはシングルアクセルにすっぽ抜け、後半の3Tも2Tに。ただ、ダウングレードを避けるために後半の3F+3Loを3F+2Loに変更して、3Loを単独にして決めました。 キム選手は、非常に身体のキレもよく、3ループでは回転不足で転倒しましたが、これまで2度入れて1つ失敗するのはお約束だった3Lzも2つ入りました。 ところがなんとなんと、出てきた点は絶不調の浅田選手のほうが上! ショートで点差が出すぎたせいか、いつもはなぜか認定されるキム選手の回転の足りない3ルッツがダウングレード。最後につけた2Loまでダウングレード。3つも派手にダウングレードされたため、 浅田選手 技術点58.58+演技・構成点60.08=118.66 キム選手 技術点56.95+演技・構成点60.88=116.83 で浅田選手が勝っちゃった。浅田選手も苦笑いですよね。 ね? 演技・構成点はあまり変わらないでしょう? 体調も思わしくなく、ジャンプ構成が落ちてしまった浅田選手なのに、キム選手が1つ回転不足で転倒し、ダウングレードをマトモに(というか厳しくというか?)取られると、技術点は浅田選手のほうが上になってしまう! で、今回の意味不明の点差がついた世界選手権 浅田選手 技術点60.15+演技・構成点62.88=122.03 キム選手 技術点63.19+演技・構成点68.4=131.59 ね? 技術点では、やっぱりそんなに差がつかない。キム選手は「次元の違うスケーター(韓国紙)」なのに。 前回、演技・構成点を拮抗させたら、あらあら、浅田選手が勝っちゃったので、今回クレージーな爆アゲに出たら、みんなの目が点になる差になっちゃったってことで辻褄が合いませんか? 「爆笑した」って方は、たぶん同じように考えていると思います。 演技・構成点(5コンポーネンツ)のうち、キム選手に対するSS(スケートの技術)のジャッジの点のつけかたを2つの試合でくらべてみると、 4大陸 SS 7.75、7.25、7.75、7.5、7.25、7.75、7.75、7.5、7.5 結果7.65 ジャッジ間のバラツキ、たったの0.5点 世界選手権 SS 8.5、8.5、8.75、8.5、8.5、8.75、8.25、8.5、8.5 結果8.5 ジャッジ間のバラツキ、たったの0.5点 ま~。なんとなんと、バラツキがきれいに0.5点以内におさまっている! これを見て、事前の打ち合わせ以外に説明がつきますか? もし、本当に「各ジャッジの勝手でしょ」でつけたら、こんなことにはならないはず。9点に爆アゲする人もいるでしょうし、6点ぐらいの人もいるかもしれない。5.5点だっていいんです。 つまり、トランポリンみたいに試合ごとに上下する5コンポーネンツですが、各コンポーネンツは、試合の前に話し合ってある程度決めているとしか思えないんですね。そのときに出てきた点が、「その試合のジャッジの勝手でしょ点」になるわけです。 じゃ、なんでまたこんな爆アゲしちゃったのか。 結局、フリーの技術点でキム選手が圧倒的な点差をどうしてもつけられないからでしょうね。4大陸では演技・構成点をキム、浅田で拮抗させましたが、そうすると、ジャンプの出来によっては、いかに不調とはいえ浅田選手が勝っちゃうこともある。 キム選手は「次元の違うスケーター(韓国紙)」ですからねぇ。今回、ショート&フリーともキム選手を勝たせるためには、3サルコウで失敗しようが、スピンがダブってキックアウトされようが、このくらいは出す。 ところが思った以上に浅田選手が悪かったので、ファンが呆気に取られる点差になっちゃった、とこう考えると、あまりに辻褄が合いませんか? ジャッジも忙しいので、他の選手(浅田選手が最大のライバルではありますが)の実際の点を見て、器用に調整はできなかったんでしょう。合掌(チーン)。 まさに茶番です。 こうやって一度、パンドラの箱が開くと、あとはもうどうなるか、想像できますよね? 前の試合で「スケートの技術」で何点出ようが、次の試合では関係なし。「絶対評価」のはずが、派手に上がったり下がったり。「各ジャッジの判断」ですから各試合のジャッジによって、同じ選手に対する「絶対評価」が派手に違っても、別に不正じゃないわけです。そのくせ、なぜか同じ試合の1つのコンポーネンツのジャッジ間のバラツキは2点もない。 つまり、フィギュアの演技・構成点を「絶対評価」でつけるということは不可能なんですね。ビアンケッティさんの主張が証明された採点です。 オリンピックで何が起こりうるか想像してみましょう。メダルをあげたい選手、ロシェット、キム、チャンにはできるだけ演技・構成点を出す。 もちろん、あまりに調子が悪いとダメでしょうけど、試合の出来は公式練習見てればだいたい予想がつくもんなんです。 明確な基準のない、各試合ごとのジャッジの主観による絶対評価ですから、誰も文句言えません。 今回の世界選手権は、爆アゲの最初だったせいか、あまりに稚拙でしたが、次はもっとうまくやるでしょう。 今回世界選手権なのに、グランプリ・ファイナルよりはるかに視聴率が悪かったとか。 ISUも金づるの日本のファンに離れられたら困りますからね。ヨーロッパでの人気はすでにもう「息も絶え絶え」状態。アメリカもかつてほど強い選手がいないので、人気は衰えてます。あとは日本と韓国から、絞れるだけ絞らないと。 1つには、オーサーの殿堂入りに合わせて、絶対にキム選手を世界女王&世界記録樹立にもっていきたかったんでしょうね。 そもそも何で今オーサーが殿堂入りするのか? 優れた選手あるいは優れたコーチが殿堂入りするのですが、オーサーは選手としては、世界選手権優勝1度、オリンピック2度銀。選手としての実績は殿堂入りにはいまひとつ。優れたコーチとして、だとするとモロゾフのが実績上でしょう。世界チャンピオンって育てたことありましたっけ? でも今回キム選手を世界チャンピオンにしたので、選手時代の実績と合わせ技なら、殿堂入りも(あとからですが)、納得ですよね。 いやいや、たいした政治力です。 <続く> お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009.04.01 02:23:45
[Figure Skating(2008-2009)] カテゴリの最新記事
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