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カテゴリ:Travel(タイ)
旧市街にあまたある寺(ワット)の中でも、もっとも見ごたえのある寺院、それがワット・チェン・マン。チェンマイで最も長い歴史をもち、13世紀の終わりにランナー・タイ王国を興したメンラーイ王(マンラーイ王という表記もあり)が、チェンマイに都を定めた際に建立された。
ランナーのランとは「百万」、ナーとは「稲田」の意味。古事記に記された日本の呼称「豊葦原の瑞穂の国」とほとんど同じイメージなのがおもしろい。 麺来王、いやメンラーイ王と祖をするランナー王朝は、20世紀にタイ王国に併合されるまで続いたが、現実には、メンラーイ王が没したのちはアユタヤ王朝の支配を受け、16世紀半ばにはビルマ王朝の勢力下に入り、18世紀には南方シャムのチャクリー王朝の朝貢国になっている。 つまり完全な独立国だった時代は案外短く、属国だった時代のほうが長い。それでも今でも、王朝の子孫は健在だとか。 さて、そのランナー・タイ王国の隆盛期に建てられたワット・チェン・マンは、緑に囲まれた敷地の中に、本堂、仏塔(パゴダ)、貴重な仏像をおさめた御堂、経蔵、それに講堂がある。 こちらから拝借した航空写真で見るとわかりやすい。 本堂は、華やかで堂々とした中にも気品がある佇まい。想像よりも小さかった。 中は、朱に塗られた木材の交差が目を惹く、せいせいと天井の高い空間。 チェンマイで最も荘厳で感動的な寺院空間だった。 屹立する太い柱はチーク材だとか。 しかし、ここまできれいに塗装されては、古さがワカラン。 チェンマイの人にとっては――タイは全般的にそうなのだが――古い寺院や仏像を、全部新しく建て直したり、きれいに塗りなおしたりすることが信仰の篤さを示すことになるらしい。 日本の「古刹」からは、ずいぶんかけ離れたイメージの「チェンマイ最古の寺」だった。古びた仏像にありがたさを感じる日本人の感性ともずいぶん違う。 チェンマイ本堂の仏像。造形的に惹かれる部分があまりない。「タイのいい仏像は、全部バンコクに持っていった」とも聞くが、そうなのかも。 最近、日本の地方の寺におかれた古い仏像が盗まれ、海外で売りさばかれているという話をテレビで見たが、さもありなん。日本の仏像というのは、日本人が考えている以上に、美術品として、「いいもの」なのだ。 こちらは15頭の象が支える「仏塔」。英語ではPagoda、タイ語ではチェディ(ただし、「チェディ」はスリランカから伝わったベル形の仏塔を指す。クメール様式の仏塔はタイ語で「プラーン」、ラオス風の仏塔は「タート」とそれぞれ呼び名が違う) 別のアングルから。 本堂の横にあるお御堂には、水晶の仏像と大理石(後述するように、大理石というのはどうやら誤りのようなのだが)の仏像という珍しい仏像があると聞いたのだが… どこにあるのやら、わから~ん。 どうも、仏像の後ろのガラスケースの奥に納められていたようなのだが、 見えな~い! なんとか見て、きれいな写真に納めてる方のブログがこちらにあるので、どうぞ。 <注:この2つの仏像、日本語の資料だと水晶の仏像=プラ・セタンガマニ、大理石の仏像=プラ・スィラー(カオ)と書いてあるのが多い。上のブログの方もそうだし、「地球の歩き方」もそうなのだが、どうも情報が不正確らしい。タイで出版されたThe Famous Temples in Thailandという資料によると、水晶の仏像=Phra Kaew Kao、純金の台座にホワイトストーンの仏像=Phra Sethang Maneeとある。こちらのサイトも同様の説明> さて、本堂内部は赤と金の美しい壁画で彩られているのだが… これまた新しすぎる。「地球の歩き方」によれば、10年ほど前に描かれたものだとか… もともとあった古い壁画はどうなったんだろう? 仏像鋳造の図とおぼしき場面に出てくるワンちゃん。 ワリと凶暴そうなのだが… 寺の境内にいるワンちゃんときたら、コレ。 そこ、道の真ん中なんだけど。まあ、こっち(通行人)がどくからいいけどね。 「大理石の床は、冷たくて気持ちいいよ~」 「だね~」 もしもし、クルマの下のお犬様? 顔の下の面妖な水溜りは、もしやアナタ様のヨダレ? ワンちゃんも、夕方涼しくなってから活動するのだろうか? しかし、昼間っから、そんなに寝てばっかりって、動物としてど~なのよ? チェンマイでは、寺ではこういう犬を保護してるらしく、犬のために寄付を募る「お賽銭箱」もあった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009.08.14 15:48:24
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