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カテゴリ:Travel(タイ)
古都チェンマイには廃寺も多いと聞いた。中でも心惹かれたのが、こちらのサイトで紹介されていた「ワット・ジェットリン(チェット・リン)」。
「仏像が現存している数少ない廃寺のひとつで、現代の名刹ワットチェディ・ルアンからも200~300メートル」とある。 こちらの写真で見ると、やっと雨をしのぐ程度の質素な木組みのお堂に安置された仏像は、ところどころ色がはげているものの、なんともゆかしい風情がある。すんなりと長い指も優美。 (上記のサイトから拝借した写真) そこで、ワット・チェディ・ルアンからワット・プラ・シンで行く途中で、貸切ソンテウに寄ってもらった。 ところが…! 着いたところは金ピカの仏像を納めた新しい、普通の寺院で、写真で見たイメージとはまったく違っていた。 写真で見た古い仏像の影もない。 おかしいな~。 ネットの情報を読み間違えたのかと思い、その日はそのまま去り、ホテルに帰ってネットで情報を確認する。 場所は間違っていない。だが、よくよく読むと、「2005年1月現在、写真のように、残されていた仏像を本尊にしたヴィハーン(注:お堂のこと)の建設が進められているほか、その左奥には新しい金ピカの仏像が置かれた別のヴィハーンがすでにできあがっている。僧侶も常駐しており、廃寺ではなく生きた寺院としての活動が始まっているようだ」とあり、どうやら廃寺だったものが修復され、新しい寺院としてよみがえったよう。 だが、「古い仏像とチェディは残っているし、新しく建てられたヴィハーンもタイ様式はもちろん、典型的なタイヤイ様式とも異なるユニークなスタイルをしており、場所的にも行きやすいので、訪れる価値は今でもあると思う」とある。 2005年の話なので、情報が古いといえば古いが、この書き方だと古い仏像はまだ境内のどこかにあるかもしれない。なので、日を改めて再度行ってみることにした。 チェディ・ホテルを出てソンテウを拾おうとしたら、ホテルの横で客待ちしていたトゥクトゥクのドライバーが大きな声で呼びかけてきた。 トゥクトゥクはソンテウより高いので無視して、さっそく通りかかったソンテウを止める。 慣れない場所なら地図を見せることもあるのだが、もう一度行った場所なので、連れ合いが運転手に口頭で行き先を告げた。旧市街だし、当然、「2人で40バーツよね?」と確認して、すぐに後ろに行って乗り込もうとすると、 「ノー、ノー!」 人のよさそうなやや年の運転手、なぜかびっくりしたような顔で、 「80バーツ」 と吹っかけるではないか! はあぁぁ? 80バーツだとぉ? 人良さそうな顔しちゃって、40バーツも吹っかけ(←日本円に換算すれば120円)るわけ? なんつー、ごーつくなオヤジだ。 頭に来て、 「40バーツ」 と怒鳴ると、 「60バーツ」 に下げてきた。 「ノー! 40バーツ」 譲りませんよ、みんな40バーツで行くところでしょ。 しかし、運転手、困ったような顔で、 「50バーツ」 と、まるで苦渋の決断をしているかのよう。 も~、頭に来た! 乗らないという意思表示をして、クルマの進行方向とは逆に歩き出すMizumizu+Mizumizu連れ合い。 運転手は、「50バーツ」とまた叫んだが、もはやクルマから遠ざかったワタシラを見て諦めたのか、ようやくエンジンをスタートさせた。 なんなんだ?? ソンテウの運転手も多少吹っかけることはあるが、せいぜい10バーツだ。それもこちらが粘れば、だいたいすぐ下げてくれる。あの頑なな態度は何なんだ、わからん。 そこへ、さっき声をかけてきたトゥクトゥクがさっそうと(?)やってきた。 「どこへ行くの?」 ソンテウとの交渉が不成立に終わったのを見て、チャンスだと思ったのだろう。 ホテルの横で客待ちしているトゥクトゥクはわりといるのだが、客はみんなソンテウのが安いということを知っているので、トゥクトゥクには乗ってくれないのだ。 「ワット・ジェットヨー」 再び行き先を告げる連れ合い。すると、 「え?」 とトゥクトゥクのおじさんも、変な顔をした。 ごそごそ地図を取り出して広げるて見せると、おじさん、 「ワット・ジェットヨーは、ここだよ」 と、とんでもない場所を指差した。 旧市街の外、郊外環状線のスーパーハイウェイに沿った場所で、国立博物館のそば。ホテルのある場所からだと、ちょうど旧市街の反対側のはるか向こうになる。 それでようやく行き先を間違えて言っていたことに気づいた。 「ワット・ジェットリン」 と慌てて言い直す。ついでに、ソンテウの相場である「40バーツ」でいいか、と聞くと、うんうんと愛想よく頷くトゥクトゥクおじさん。 こうでなくっちゃね。 トゥクトゥクはあちこちで暇そうに客待ちしているが、それは観光客からの信頼がないからだ。20バーツ多めに吹っかけて拒否され、客に敬遠されるくらいなら、それほど不便な場所でない近場だったら、40バーツで乗ってもらったほうがよっぽどいいと思うのだ。 それと、ソンテウはトゥクトゥクと違ってあくまで「乗り合いタクシー」なので、走り回るエリア、つまりはテリトリーが決まっている。それと進む方向も。だから距離が近くても方角が逆だと乗車拒否されることがあるし、あまり遠くへは、基本的に行かない。ただ、そうは言っても、チェンマイのソンテウは気軽に貸切に応じてくれるので、遠くても上乗せした料金を払えばすぐに往復のチャーター便になってくれる。 そっか、ワット・ジェットヨーなんて、そんな明らかにテリトリーの外のトンデモな場所まで、「40バーツ」で行かせようとするなんて、ずいぶんゴーツクな客に遭っちゃったんだ、あのソンテウのおじいさん。 2人で40バーツで交渉成立した旧市街のワット・ジェットリンへ、 トゥクトゥクで向かう。 トゥクトゥクとソンテウと、どっちが乗り心地がいいかと言うと… 実はどっちもどっち。ソンテウのほうが自分の排気を客の乗る荷台(笑)に引き込んでしまうような構造になっている分、空気が悪い。トゥクトゥクのほうが開放部が大きいので、その分、空気はソンテウよりはいい。 トゥクトゥクから見た、走行中のソンテウ。車体の色は赤と黄色があるが、黄色いソンテウは、「完全な路線バス」。赤いソンテウは「乗り合いタクシー」。チェンマイの旧市街近辺ならどこでも走っていて、貸切も可。 ソンテウの空気は、ホントに悪い。ハンカチで口をふさいでる乗客も見た。 さて、再び訪れた元・廃寺のワット・ジェットリン。 古い仏頭を見つけた。 しかし、ネットの写真で見た古い仏像のものとは違うよう。 境内をくまなく歩くが、やはりピカピカの新しいお堂しかない。 古い木の橋があった。ここから向こうは寺の外のよう。 向こう側には何もなさそうだしなぁ… ちょっと橋をわたってみて振り返ると、 古いチェディ(仏塔)とその向こうにピカピカのお堂。やっぱりここがワット・ジェットリンに間違いない。 歩いていると、質素な木組みの中にいる少年僧(?)を発見。 しかし、ピカピカの新築本堂には… ピカピカの仏様。 これしかなかった。 この風情を求めて行ったのに(しかも2度も)。 ひとさまの信仰に関わることを、美術品鑑賞者の立場であれこれ言うのは、筋違いというものだろう。だが、なんでも新築のお堂と金ピカに塗りなおした仏像がいいというワケじゃないと思うんだが・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009.08.18 17:55:56
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