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Mizumizuのライフスタイル・ブログ

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2009.09.01
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カテゴリ:Gourmet (Sweets)
2月、厳冬のパリ。

シャンゼリゼのラデュレで、「異様な色」を見た。それは、黒いマカロン。

ラデュレの店内は暗い。とにかく照明を落とすことが高級だと思ってるヨーロッパの根暗なセンスにかなった、足元も見えないような鬱な店内で、マカロンはスポットライト的な照明を受けて、宝石のように浮きだって見えるように計算されている。

その灯りを全部吸い込んでしまうような、真っ黒な円いお菓子。印象派の画家のパレットを思わせるカラフルな色が多いマカロンの中で、それは、一種禍々しい存在感を放っていた。

なになになに、この黒いマカロン。ゴマ? まさかイカスミじゃないよね。

フランス語で聞いたって、わからないだろうなぁ・・・と思いつつ、一応、

「この黒いのは何?」
と聞いてみたのだ。

「○▲△■」

案の定、何のことやらわからなかった。

買ってみればよかったのだと、後から思うのは簡単。そのときは躊躇して、どんな味か想像もつかないマカロンを選ぶ気になれなかった。

日本に帰ってきてからも、あの黒く円いお菓子の残像が胸の底に沈殿して、シブのように残っていた。銀座のラデュレに行ってみたが、ブラックカラーのマカロンは見当たらない。

何だったんだろう、あのマカロン・・・

それが4月、初夏のある日、思いがけず正体が判明した。

ちょくちょくお邪魔してるパリ在住の方のブログ。そこにヨダレの出そうな写真入りで、ラデュレの黒のマカロンが紹介されていたのだ(こちらの記事)。

真っ黒なマカロン、それはなんと「レグリス(甘草)」だった。

甘草ですか!

甘草には思い出がある。中学校ぐらいのときに読んだジャン・コクトーの小説『恐るべき子供たち』。主人公のポールを破滅へと導く、邪悪な美少年ダルジュロスが好んで口にしていたのが甘草なのだ。

ポールはダルジュロスの投げつけた「白い雪の球」に胸を受けて、日常生活からの離反を余儀なくされる。そして、孤立した自分たちだけの世界に閉じこもった末、ダルジュロスから託された「黒い毒の球」を飲んで死に至る。

主人公を破滅から死へ導く白と黒のイメージの間に入り込んでくるのが、ダルジュロスが甘草をしゃぶるシーンなのだ。

甘草と毒球――この2つに共通する色が黒であり、その禍々しい色を口から体内に取り込むことで、ポールは死と引き換えに、愛するダルジュロスと同化しようとしたようにも読める。

読んでいて不思議だったのは、小説の中では甘草がごくありふれたものとして書かれているにも拘わらず、Mizumizuの周囲には、つまり日本には、甘草を使ったお菓子なんてものがまったくなかったことだ。

わずかに見つけたのは、カンロ飴の原材料表示の中。それも脇役だ。甘味料の1つとして、「甘草」と端っこのほうに書いてある。

コクトーは後年、俳優のジャン・マレーに、

甘草で育てられたダルジュロス
魅力ある詐欺師トマス
ゆっくり進むことを知らなかったこの2人
ぼくはゆっくり滑り込む、君のドアの下
わが最愛の刑罰の執行人たるこのぼくが。

(訳:石沢秀二)

という詩を捧げている。

この詩からも、コクトーにとって、ダルジュロス=甘草だったことがわかる。百合が聖母マリアの、バラがヴィーナスのアトリビュートであるように、コクトーは甘草を、邪悪な美少年の姿を借りた死の天使のアトリビュートとして描いたのだ。

甘草のマカロンを食べ損ねたのが、ますます残念に感じられた。フランスにはよく行くが、あまり意識していないせいか、甘草のお菓子というものは食べたことがない。上で紹介したブログによれば、やはり甘草は、「フランスに限らずヨーロッパでは広くお菓子に使われている」そう。だが、ラデュレの甘草のマカロンは、日本人には不評だとか。

そうか、日本人にウケない味だから、銀座に置いてないんだな。

ところが8月、真夏のある日。

日本橋の三越に行くと、銀座にしかないはずのラデュレの店ができているではないか。しかも、マカロンのショーケースをひょいと覗くと、あの真っ黒な、強烈な存在感を放つマカロンが・・・!

一瞬で、ブラックホールに吸い寄せられる星と化すMizumizu。

ショーケースのガラスにはりつき、しげしげ…

どう見ても、真っ黒。ショコラの茶色とは一線を画す、まごうことなき黒。

「お客様?」

店員にうながされて、いきなり黒のマカロンのことを聞くのも少しはばかられる気がして、

「えっと、ローズとぉ・・・」

もっとも好きなマカロンをとりあえず指定した。

「あ、ローズは今売切れてしまって・・・」
「え、そうなんですか」

単純にガッカリするMizumizu。

「じゃあ・・・ セドラと、フルール・オランジェと、ヴァニーユと・・・」

セドラとは地中海沿岸でとれる巨大なレモンの一種。日本のラデュレでは「シトロン」(文字通り普通のレモン)と区別するために、「柑橘系の一種」とだけ説明することも多い。フルール・オランジェはオレンジの花のフレーバー。ヴァニーユは甘さの際立つバニラ風味。このあたりはMizumizuの定番(改めて見ると、わりと偏っている)。

「・・・で、この黒いのは何ですか?」
「レグリスです。日本語では、甘い草と書いて甘草と申しまして・・・」

おお、やっぱり! ついに日本に上陸したか。

「あ~、レグリスですかぁ。日本人にはあまり受けないって聞いたけど・・・」

聞いたけど、販売することにしたとはエライ! という意味で言ったつもりなのだが、どう考えたって、いきなり失礼なことを言い放ってるMizumizu。

でも、そこはさすが1つ230円もするお菓子を売る高級店の店員。

「ええ、かなりクセがあります。向こうでは子供のころからよく食べてるんですが、日本ではあまり馴染みがないので・・・ ただハマる方はハマるんですよ。お客様は、ローズがお好きということですので、たぶん大丈夫じゃないかと」

と、完璧な受け答え。甘草についての知識も、そう言えと訓練されているのか、個人的に知っているのか不明だが、ちゃんとしてる。バラのフレーバーのお菓子も、考えてみればあまり日本人好みではないかもしれない。それが好きだと言ってる客なら、たぶん甘草も気に入るんじゃないか・・・

「ちなみに、私は・・・かなり、ハマってます」

最後は笑顔で商品の宣伝。どうやら彼女も、「ふつう日本人があまり好まないフレーバー」がイケる口らしい。

丁寧で礼儀正しく、商品に対する愛着が感じられる態度は、非の打ち所がない。外国人が日本に来て、「店の売り子」の態度を褒め称える気持ちもよくわかる。こういう日本人の一般労働者の能力の高さは、確かに世界でも群を抜いている。

レグリス(甘草)のマカロンは8月から販売開始になったという。同じく新しく入ったというココナッツのマカロンも入れてもらい、ついでにピスタチオやらシトロンやら、好みのフレーバーをどんどん追加するMizumizu。

ネットでは、「ショコラが好き」「キャラメルが好き」という意見も多いが、ラデュレのマカロンのフレーバーに関しては、本当に好き好きだなぁと思う。

Mizumizuは、ラデュレのショコラは単に甘すぎるとしか思えないし(フランスのチョコレートは基本的に大好きなのだが)、キャラメルもねっとりした甘さがしつこすぎる。

さて、では、レグリス(甘草)のマカロンは・・・?

これが、めちゃウマでした!

これはまさに嗜好にピッタリ。確かにクセがある。そしてかなり強烈に甘い。甘いは甘いが、タダの甘さではない――このただならぬ甘さ、大好きだ。

マカロン
写真の一番左から、レグリス(甘草)、オランジェ、ピスタチオ、ココナッツ、シトロン、ヴァニーユ

本当にそんなに日本人の皆さんはお嫌いなので?

個人的にはローズに次ぐマスト・アイテムとなることは必至。また週末に買いに行こうっと♪

早くしないと、「不評」でなくなっちゃうかも。

ちなみに、ココナッツもシャキシャキした隠れた歯ごたえと独特の風味がいい。ココナッツはもともと好きなので、これは予想通りの味といえばそう。とはいえ、次回からココナッツも入れてもらうことは間違いない。

銀座のラデュレがあまりに当たりすぎたためか、日本橋の三越にはご丁寧に3階と地下1階の2箇所にラデュレのマカロン売り場がある。

3階で買って地下1階に下りてきて、ラデュレのそばを通りかかったら・・・

「これは?」
「甘い草と書いて、甘草・・・」

というやり取りが聞こえてきた。「甘い草と書いて」というのは、ラデュレ日本が店として、そう説明するように徹底しているというわけだ。カンゾウといきなり言われて、甘草だとわかる日本人は小数派だろう。肝臓、つまりレバーだと思いかねない。

ダルジュロスのアトリビュート「甘草」のマカロン、この強烈な黒が気になる人は、一度お試しあれ。

ちなみにラデュレは、羽田空港にも出店したらしい。南ウィングの2階というから、JALの出発ロビーかな。

ちょっと前まで銀座の三越でしか買えないというのが、ステータスだったラデュレのマカロン。羽田の東京土産になったら、東京ばな奈と変わらないじゃん。



恐るべき子供たち


【古本】萩尾望都作品集(第2期) 7 恐るべき子どもたち/萩尾望都







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最終更新日  2009.09.02 16:00:51



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