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2010年03月02日
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演技構成点が信頼できない、これだけのワケ

カテゴリ:Figure Skating(2009-2010)
 <続き>

高橋選手の演技構成点が高いのは、彼が優れているからだとしても、それを見抜く目のあるはずのジャッジがなぜ、一流のスケーターがこぞって賞賛する小塚選手のスケート技術(カナダのブラウニングもストイコも、小塚選手のスケート技術は世界トップだと褒めまくっている)に異様に低い点を与えるのか理解できない。

あるいは、あれほど深く、激しく、スピードのあるエッジ遣いで、ビビッドな踊りを披露し、観客を魅了できる鈴木選手が何度試合をしても、演技構成点が(他の選手に比べて)低いのかも理解できない。出てきた低い点をみて、「鈴木選手は去年の世界での実績がないから演技構成点が出てこない」と辻褄合わせをする人もいるが、それだったら、高橋選手は? 昨シーズンはケガで実績ゼロ。2季前はワールド4位。3期前のワールド銀メダリスト。フィギュアの世界で3季前の実績がモノを言うというのは、聞いたことがない。

プログラムの良し悪しで点が決まるという人もいる。だが、それだったらウィアー選手はキム選手と似たテイストのプログラムを作ったのに、演技構成点が伸びてこないのはなぜなのか? この2人のショートは「娼」性を前面に出しているという意味で共通しているし、キム選手のフリーは「ヨナ自身(振付のウィルソン)」だというが、ウィアーのフリーの「無性の堕天使」だって、ジョニー自身ではないか? ウィルソンは、キム・ヨナ方式で、ジョニー・ウィアーのプログラムを作ったのだ。よく見れば運動量の少ない躍動感に欠けるプログラムだが、キメのポーズの美しさや、全身を大きく使ったしなやかな動き(あまり速くはないが)など、共通する点が多い。

ウィアー選手は高橋選手のようには踊れないかもしれないが、それを言うなら、キム選手も鈴木選手のように生き生きと跳ねるような踊りができる選手ではない。EXを見たが、滑りのなめらかさとストロークの気持ちのよい伸び、ところどころで入る腕の動きは、一瞬ハッを胸を突かれるような美しさがあるのだが、動的な躍動感に欠けるため、すぐに飽きがきてしまう。滑りは確かにきれいだが、エッジ遣いでもっと見せることのできるハズのフィギュアスケートの表現としては、多少物足りないものがあるのも確かだ。これはチャン選手にも通ずる欠点で、チャン選手の動きも、難しいことをしなやかにやってしまう点は素晴らしいのだが、それがパターン化している。2人とも氷上表現の「繰り返し」および「1つのモーションあるいはポージングの派生パターン」が多いのだ。キム選手を好まない人は、たいてい、「彼女の動きは、いつも同じに見える」という。それはそれで的を射ている。

キム選手・高橋選手の表現力の評価が高く、ウィアー選手・鈴木選手の表現力の評価は低い理由には、まったく一貫性が感じられない。だから、ジャッジが正しく選手の能力を判断しているとは、とても思えないのだ。ただ、小塚選手・鈴木選手・ウィアー選手は強豪国の3番手に「仕分けされている」から演技構成点が出ないと考えれば、妙にスッキリ理解できる。

ジャンプ構成を落としてきれいにまとめる。皆がこの路線で来ると、基礎点が横並びになり、結局はジャッジ団が勝たせたい選手を勝たせるように主観点で恣意的な順位操作がより容易にできるようになる。

トリプルアクセル2つに、トリプルルッツ2つと同レベルのジャンプ構成できて、すべてきれいに着氷しながら、五輪王者になったライザェック選手と6位に沈んだウィアー選手の結果の違いを見れば、それがよくわかるではないか?

五輪では、ジャンプをすべてクリーンに降りられる選手はほとんどいない。ウィアー選手は、ジャンプをほぼすべてクリーンに降りたと言ってもいい。個性にあった魅力的なプログラムも作った。なのにジャッジは、ほぼ同じことをやったライザチェックに五輪王者の座を与え、ウィアーにはメダルを与えなかった。これは列強による「ポーランド分割計画」ならぬ、ISUによる「メダル分配計画」の結果のように見える。北米・ヨーロッパ・日本にメダルは1つずつ。「打倒プルシェンコの一番手」に祀り上げられていたチャンが沈んだ分、ライザチェックはトクをしたかもしれない。あるいは女子にロシェットがいる分、何かしらの力学が働いたのかもしれない。女子のほうは、キム・ヨナ、ロシェット、浅田真央(浅田選手がショートで自爆したら、安藤美姫のフリーのエレメンツの加点や演技構成点を少し上げればいい)。

こうした構図が透けて見えたのは、ウィアー選手が4回転で自爆しなかったせいだ。ショートで同じジャンプをやっても点がのびない場合、選手もコーチも高難度のジャンプで勝負をかけたがる。だが、ガリーナコーチは冷静だった。ウィアー選手は4回転ができないわけではないが、回転不足のまま降りてきてしまいがちだ。タフなほうではないので、大技を入れると後半のジャンプでミスが連鎖することが多い。なので、「五輪ではクリーンなジャンプを降りた選手が勝つ」という従来のセオリーにしたがった。ウィアー選手は見事にそれをやり遂げた。それなのに・・・

だが、それだからこそ、コーエンやストイコが声をあげてくれたのだ。チャンにまで抜かれるという低い点に本人が誰より不本意だったと思うが、ウィアー選手は微笑みながら、ファンに落ち着くよう仕草で語りかけた。だいたいこうなることを予想していたのだと思う。それでも不満そうな顔をしないところが、立派ではないか。

逆のことをやって、問題の所在をわかりにくくしているのが小塚選手だ。4回転を降りたのは快挙だ。だが、点は? 小塚選手の転倒はトリプルアクセル1回。チャン選手は2回(4回転はなし)。なのに、10点も差をつけられた。ありえないと思うのだが? ジャンプで転倒すると、印象が悪くなり演技構成点も下がるという人もいる。だが本当のことろ何が問題なのか、小塚選手が毎回毎回ジャンプで律儀に自爆する限り見えてこない。

プルシェンコのコーチ・ミーシンは、五輪前に「歴代の五輪王者は天上にいる。今のジャッジは地の底に悪魔とともにいる」という意味の発言をした。実に素晴らしい詩人ではないか。アイロニーに富んだこの表現は、日本女子にとっても当てはまる言葉だ。それを誰も言わないだけで。

「プルシェンコには金メダルをやらないぞ」工作も実に露骨だったと思う。

Mizumizuはかねがね、この操作感アリアリになっていく採点の裏にあるのは、「ジャッジの研修会」だと思っていた。今のルールは明らかに、ある特定のトップ選手がもっている強さを過大に評価し、その弱さを過小に評価するようにできている。キム選手が研修会で「お手本」として使われたと、韓国紙が自慢したことがあったが、現役の選手の演技をお手本としてジャッジの研修会に使うなど不適切だと思う。過去の優れた選手の演技をお手本にすべきだろう。

今回の男子の試合後に出た記事。

 

http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2010/02/20/19.html

今大会では開幕前から「休んでいた選手がいきなり優勝していいのか」というムードが漂い「演技点を出し過ぎた悪い例」という審判の研修用DVDには当初、トリノ五輪でのプルシェンコの映像が入っていた。ロシア側の抗議で最終的には削除されたが、この日の演技点は82・80点。ライサチェクと同じで日本の高橋(84・50点)を下回っている数字に、ロシア側は違和感を抱いた。

 

「演技点を出しすぎた例」がトリノのプルシェンコとは笑わせる。それを言うなら、ロスのキム選手の演技構成点だろう。今季の「わけわからない高得点」の原点は、あの試合なのだから。しかも、文句を言われるとすぐ引っ込める。なんとポリシーなきジャッジ研修であることか。

 

プルシェンコとライザチェックの演技構成点に差をつけられなかったのは、事前の「プルシェンコは演技構成点で落とすぞ」計画が、ロシア側からのクレームで阻まれたせいだろう。こういうことをしておいて、プルシェンコの演技構成点を低くしたら、ロシアはこのDVDを根拠にまちがいなく噛み付いてくる。

プルシェンコの演技はジャンプ中心なので、「つなぎ」がよくない。それに対するカナダ側からのバッシングは感情的で、目を覆いたくなるような酷さだった。現役選手や元選手が、この偉大なスケーターをあからさまに誹謗する。

プルシェンコの評判を、できるかぎり事前に落とそうというわけだ。すると不思議なことに、プルシェンコ全盛期には聞かれもしなかった悪評を、一般人まで口にし始めた。今回負けたことでさらに悪口はひどくなった。以前Mizumizuが、「ヤグディンのスケートのほうが、プルシェンコよりはるかに優れている」などと言っても、誰も耳をかさないほど、プルシェンコ信仰はゆるぎないものだったのに。

 

これはちょうど、浅田選手が成績を出せないと、急にファンや関係者が浅田選手をけなし始めるのと同じ現象だ。

Mizumizuブログを過去から読んでいる方なら、実はMizumizuがヤグディン贔屓(もちろん本田選手も)で、プルシェンコのスケートが必ずしも好きでなかったことをご存知だと思う。

あの伸びない、エッジも浅い、直線的なスケーティングや強引な動きなど、今でもプルシェンコは、スケーターとしては必ずしも好きなタイプではない。だが、オリンピックに向けてあれだけウエイトを落とし、実際には練習では転倒もしているというジャンプを決して人前で失敗しない。レベル認定の要件がこれだけ変わったにもかかわらず、スピンやステップのレベルをピシッと揃えてくる。「1日8時間から9時間練習した」と言っていたが、すでにありあまる栄光を手にして、復帰する個人的な理由はほとんどないにもかかわらず(ヘタをしたら全盛期と比べて嘲笑されるだけの結果になる危険性だってある)、あえて復帰をして、しかも強さを見せ付けた。

 

プルシェンコが復帰してきた第一戦、解説の佐野さんは、「だいぶルールが変わりましたから・・・」と言っていた。ステップやスピンのレベルを取れるのか、ということだと思う。だが、元王者は、そこにも死角を見せなかったのだ。日本のエース、高橋選手がステップでレベルを落としたり、スピンでレベルが取れないうえにGOE減点されたりしているときに、だ。

 

すると、不思議なことに、年が明けてからあれほどレベル4が出にくかったステップにレベル4が出始める。だかこの傾向はまだ顕在化しておらず、ヨーロッパ選手権でのステップのレベル認定は、むしろ厳しかったのだ。これまで「3」を取っていた選手が「2」しか取れない。レベル認定も、厳しかったりゆるかったり、本当にわからない。

<続く>






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最終更新日  2010年03月02日 10時55分56秒




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