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山崎元の経済・マネーここに注目

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2008.12.16
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カテゴリ:カテゴリ未分類
証券業界では、証券会社の事をセルサイド、運用会社のことをバイサイドと呼ぶ。セルサイド、バイサイドは共にマーケットと関わる仕事だが、かなり雰囲気が違う。

まず、過ごす時間のテンポがちがう。バイサイドでは、それぞれの運用会社独自のペースで仕事をすればいいし、投資哲学として長期投資を標榜する会社が多いこともあり、時間がゆったり流れる。運用報酬がほぼ運用資産の残高に比例して継続的に発生することが大きい。他方、セルサイドでは、基本的に毎日何かをして稼がなければ手数料が入らない。関心の異なる様々な顧客に働きかけなければならないから、主に経済についてだが、毎日の変化に対して反応しなければならず、仕事のテンポがせわしい。

また、セルサイドは情報を多くの顧客に届けて注目されなければならないから、エコノミストやアナリストの対外情報発信が「派手」だが、バイサイドでは分析した情報は自社の運用にのみ活かして優位を築くことが建前だから、「地味」になりがちだ。

一方、雇用の安定性も含めて、収入については、セルサイドの方が上下・変動が大きく、バイサイドは比較的安定している。外資系の会社でも、世間に顔が売れて、高額の収入を得ることがあるのは傾向としてセルサイドであって、バイサイドは、ヘッジファンドのような毎年の収入の変動が大きな仕事以外では、割合安定していることが多い。

セルサイドとバイサイドでは、後者が前者にとって「お客様」であることもあって、バイサイドがセルサイドに対して威張った気持ちを持っていて、セルサイドをいくらか軽蔑するような雰囲気がある場合もある。運用成績にとって手数料は確実なマイナス要素なので、セルサイドは自分達から手数料をせしめて行く警戒すべき連中だ、というような見方がバイサイドどうしの会話で交わされることが多い。両方をやってみて、後から考えると、顧客に対しては「どっちもどっち」だと思えるのだが、筆者も、バイサイドの会社にいるときは、正直に言うと、気分的にセルサイドを低く見るような思いはあった。たとえば、セルサイドの接待を頻繁に受ける同僚を軽蔑するというような感覚だ。

現在、日本のバイサイド業界は、主に投資信託の拡大によって、人手不足気味で人材の中途採用に積極的だ。たとえば、ゆうちょ銀行を含む銀行などの投信販売窓口に対応する担当者の数が足りないらしい。

ある外資系の投信会社で人材の採用窓口をやっている友人に最近の状況を聞くと、「3カ月くらい前から急に、応募してくる人材の質が上がった」と言う。なぜかと理由を考えると、どうやら、中途採用市場のビッグプレーヤーである外資系証券会社がサブプライム問題のダメージで軒並み人材の採用凍結(業界では「ヘッドカウント・フリーズ」と呼ぶ)が打ち出されていて、セルサイドに転職できない人材がバイサイドに回ってきたからであるらしい。確かにセルサイドとバイサイドではテンポがちがうのだな、と感じた話だった。

このメルマガの読者は99%以上バイサイドだろう。個人投資家もセルサイドから見るとバイサイドだ。「マイペースで仕事(投資)ができる」という点がバイサイドの一番幸せな点なので、是非、この点を大切にして貰いたい。

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楽天証券経済研究所
客員研究員 山崎元
(楽天マネーニュース[株・投資]第17号 2007年12月28日発行より)
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最終更新日  2009.03.09 11:17:15



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