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-あいすまん- 詩集「ゆいまーるツアー」 (土曜美術社出版販売) 定価 1890円 全国のジュンク堂書店、宮脇書店、紀伊国屋書店、八重洲ブックセンターなど大手書店、各種オンラインショップで販売中! 書評はこちら(琉球新報) ―――沖縄県内の取扱店――― 【ジュンク堂書店那覇店】 【リブロリウボウブックセンター店】 【宮脇書店とまりん本店】 【田園書房宜野湾店】 【郷土書専門店「おきなわ堂」】 詩「川」 同じ肌の色をしている 同じ髪の色をしている 同じ言葉を話す 同じ文字を使う わたしとあなたの間には 川が流れている 太平洋よりも広く マリアナ海溝より深い川 朗読会「Voice-詩の響きを求めて」2012.1.18 出演しました。 詩「座るな」を朗読。 詩の投稿掲示板
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パンやパスタが苦手なので、海外に出ると主食に困りっぱなしのわたしには、ひときわ輝いて見えた。仕事を終えてまだ開いてれば、入ってみよう。 看板には「FUJIYAMA」の文字。 そばに漢字でも表記されているが、よく見ると「富山山」と書いてある。 もしかしたら日本人の料理人が開いたのかとも思っていたが、これはこっちの人だな。日本で修行してきたのかな。 その日は戻りが深夜になり、店は暗くなっていた。次にしよう。 トランクに詰めた冷たい粥は二日前に飲み干していた。温かい米さえあれば、味にもメニューにも贅沢は言わない。 重いガラスの扉を開けると、照度を落とした落ち着いた店内に客はいない。黒髪の女性が奥から出てきた。 日本人かとも思ったが、見るからに日本人な顔をしたわたしに話しかけてこないところから察するに、日本語の話者ではないのだろう。 メニュー表を持ってきてくれた。 おっ、寿司があるじゃないか。 女性は特に返答もせず、メニューを持って奥に戻っていった。女性が料理人だろうか。東洋人ふうなので中国の人かもしれない。 15分ほどして、料理が運ばれてきた。 醤油はどこだろう、出し忘れかな、と見回したが、ソースが既にかけてあった。 醤油、味噌、豆腐。 どれもこちらのスーパーでは見たことがない。久々に味わって生き返るような心地でいたら、背後に視線を感じた。 振り向くと先ほどの女性が奥からこちらを覗き込んでいた。客であるわたしからのご用命があるのかないのか気にかけてくれているのかもしれないが、何となく、なんだか、よく思われていないような感じもした。 おそらく中国の人がやっている店なのだろう。中心街から少し外れた、ホテルのそばのビルの一角で営まれている。こちらではほとんど目にしない和食で勝負する料理人とは。 和食は物珍しさで入ってくる客はいるだろうが、それほどニーズが高いとも思えない。 ニッチなところでの勝負を選んだ料理人なのだろう。日本の料亭で修行、というような王道を歩めたかどうかもわからない。 味の善し悪しなんかてんでわからぬバカ舌のわたしでも、和食に詳しい日本人に見えたかもしれない。 和食評論家が息巻いて「どれ味見してやろう、我いざジャッジせんとす!」とついに乗り込んできたのだ、と。 実際はなんの権威もない一介のぼっち旅行者でも、見ただけではわからないわけだから、店から出ていくまでわたしは店にとって紛れもなく脅威だったわけだ。 もしかしたら極東でも脅威は逆ではないのかもしれない。 どちらにせよ、こちらに一切の敵意がなくても提供者と客といういかんともしがたい力関係にあるなかで、解り合うには歯がゆい構図があったのでありました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024/04/17 04:07:38 PM
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