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おそらのうえで。

おそらのうえで。

*ばれんたいんでー*

空は真っ暗。

君を待ち続けて2時間。


私が学校出る時

君はまだ教室にいた。


君はこの改札を通らないと

帰れないはず。


今日はバレンタインデー。

まだ一度も

君にあってない。




*ばれんたいんでー*





「先輩、受け取ってください」


朝の廊下。

顔を真っ赤にした女のコが

君を呼びとめてた。


あのチョコを

君が受け取ったかは知らない。


みたくなかったから

気が付いたら顔を背けて

私の足は逃げてた。



高校の入学式。

初めて君を見て

恋をした。

偶然にも隣の席で

仲良くなれた君と私。



『気の合う友達』

君は私の事

そういう風にしかみてくれてない。

それ以上の関係には

見てもらえないって言い聞かせてた。


でもね

そんなんだったら

いつか君の隣に

私の知らない女のコが

居場所をつくっちゃう。


君は私じゃない誰かに

私の知らない笑顔を

向けるかもしれない。


そう思ったら

自然と足が本屋さんに向かってて

気が付けば

君へのチョコ、つくってた。



「ばっかみたい・・・」



でも気が付けば放課後。

君のところへ行けないまま

時間だけが過ぎてった。



「・・・大丈夫。いつも通り。
 いつも通りすればいいんだって」


目を閉じて

胸に手を当てて

自分にゆっくり言い聞かせる。


一歩一歩

君の教室に足を運んで

教室の前で

大きく深呼吸。


でもね

君の姿が見えた瞬間

怖くなって

逃げ出した。



出来ない。

渡せない。

いつも通りなんて無理。



もしも受け取ってもらえなかったら?

もしも

気持ちを伝えて

断られたら

もう今までみたいには

接してくれなくなる?


いろんなことが頭を駆け巡って

駅のホームで

何本も電車を見送った。


渡せなかったチョコを眺めて

君のことを考える。


一目惚れだった。

友達になれたことが嬉しくて

一緒にいればいるほど

君のことを好きになる。

君が誰かのモノになるなんて

考えただけでイヤになる。


「待つ・・・か」


ココにきて

まだ君を見ていない。


電車通学の君は

ココにこなきゃ帰れない。



改札口前のベンチ。

今まで何組のカップルを

見送ったんだろう。



君に会ったら

まず何て声をかけよか

ちゃんと笑えるか

いろんなことを考える。



「あ~悪ぃ。今、駅ついたんだ。
  あと30分くらいで帰るわ」



聞き覚えのある声が

後ろの方から聞こえてくる。



反射的に振り向くと

電話を切る君の姿。



「うそっっ・・」


改札は2つ。

まさか君が

反対側なんて予想外。


遮断機が降りる音。

君が乗る電車が近付く。


のろまな自分の足が

寒さの所為で一段と遅い。


待って

いかないで。

待ってたの。

受け取って?

待って

まってよ・・


「まってっっっ」


もう見えない君の背中に

叫んでみたけど

私が階段を上りきる前に

電車のドアが閉まる。


「・・・ばっかみたい」


その場にしゃがみ込んで

大きく溜め息。



ほんと

ばっかみたい。

なにやってんだか、私。

渡せる機会なんか

今日いっぱいあったのに

逃げてばっかだった私が悪い。



階段を昇りきって

一通りあたりを見渡す。



「・・・うそ」


私の目にうつったのは

ベンチに座って

目を閉じてる君だった。



夢・・・じゃない。

自分のほっぺをつねって

痛いことを確かめる。



真っ白なキレイな君の顔。

長いまつげ。

整った鼻筋。



思わず君の頬に手をのばす。


「・・・っっ」


まんまるに開いた

君の目をみて


「おっす」


私の口から出たのは

可愛げのない言葉。


「・・・夢?」


君を見つけた時の私と

同じこと考えてる君に

なんだか笑えた。


「コレ、痛いでしょ?」


そっとふれた頬を

軽くつねる。


沈黙に耐えられなくて


「電車・・・乗らなかったんだ」


君を見てられなくて

顔を反らす。


君からの返事はない。


「私、叫んだ甲斐、あったね」


少し驚いたように

君は私を見上げた。


逃げ出したい気持ちを押さえて

握り締めてた

右手のチョコを差し出した。


「ごめんね、コレ。
  どうしても渡したくて」

君の言葉を

待つ余裕もなくて

「ほんとはね、
 学校で渡すつもりだったんだけど
 なんか・・・ね
 他のコが渡してるの見てると
 どうも・・・渡せなくて・・・。
 改札で待ってたら
 反対側の改札から君が来るんだもん」

いつもより

おしゃべりになる私。


照れ臭くて

嬉しくて

自分の顔が熱くなるのがわかる。


「私のなんかいらないかもしれないけど
 ・・・もらってくれない?」


君が受け取ってくれたことが嬉しくて

でももうすぐ

君に振られるかもしれない

不安が押し寄せてきて

自然と涙が溢れる。




「すっげぇ嬉しい」


でも君の言葉は


「ありがと」


私の予想とは裏腹で

君は私を

ぎゅっとつよく抱き締めて


「バレンタインデーのチョコなんて
 君のじゃないと意味ないから」


君の言葉は

私のココロをぎゅっと掴む。


伝わってくる鼓動は

いつもより早くて


「ありがと」


耳元で聞こえてくる声は

少し震えてた。



『好き』

勢いで書いたカードを見て

君は笑った。


「形はとにかく、おいしい」

そういって

チョコを口にした君が

かわいくて愛おしい。


「俺も好き」

君の気持ちに

涙が溢れた。


そんな私の手を

君はぎゅっと握り締める。


こたえるように

私もぎゅっと君の手を握る。


君がすき。

なによりも誰よりも

君がすき。

そんな私の気持ちも

チョコと一緒に

受け取ってくれませんか?



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bbs

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