109389 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

おそらのうえで。

おそらのうえで。

*はつこい*


 ボクにはね

 スキな人がいるんだ。

 ずっと前から

 追い続けてる人が。


 *はつこい*


 「私、あなたがスキです」


 駅のホーム。

 キミはボクの

 制服の裾を掴んでそう言った。


 「毎日、見てました」


 いきなりのことで

 目をまん丸にするボクに

 キミはにっこり微笑んだ。

 
 ショートカットの似合う
 
 隣の高校の制服のキミ。


 「ごめん」


 でもボクは


 「スキな人、いるから」


 片想いだけど

 ずっとずっと片想いだけど

 追いかけてる人がいるんだ。



 ボクの言葉に

 キミは少し

 悲しそうに微笑んで

 つかんだ制服の裾を手放した。


 「そうなんですか・・・」


 少しかわいそうに見えたけど

 そのままにしておくしか

 ボクには出来なくて

 
 「じゃ・・・」


 キミに背を向けて

 歩きだす。


 「友達っっ」


 そんなボクの制服の裾を

 キミはまた勢いよくつかんで

 言ったんだ。


 「友達になってもらっちゃダメですか?」



 それから

 ボクとキミは友達になった。


 
 「片想いなんだ」


 ボクのスキな人について

 キミは

 《私には聞く権利がありますよね》

 って問い詰めた。

 だから

 キミの勢いに負けて

 『彼女』についてキミに話した。


 彼女は

 ボクの2つ上の幼馴染。

 幼い頃からずっと一緒で

 いつしかボクは彼女に

 恋心を抱いてた。

 ボクの初恋の人。

 今はもう大学生で

 地元を離れてる。

 たまにメールはくるけど

 彼女はボクのキモチを知らないし

 ボクには彼女に

 キモチを伝えるだけの勇気もない。



 「いいじゃないですか」


 ボクの話を聞いて


 「初恋って大切ですよね」


 キミはいつものように
 
 微笑んだ。
 
 
 「それでも私、負けませんよ」


 いつだって強気なキミの手は

 
 「私にとっての初恋は
   あなたですから。」


 いつだってかすかに


 「お互いのキモチを知り合ってる時点で
  私の方が一歩リードですね」


 震えてる。
 

 
 そんなキミが

 ほんの少し

 愛おしく思う。



 ボクには

 スキな人がいる。

 手の届かない

 スキな人がいる。

 ずっと追いかけてるんだ。


 ボクのココロに

 彼女以外は

 うつらなかった。

 けど
 
 そんなボクを

 スキになってくれた

 キミがいる。

 強気な言葉とは裏腹に

 いつだって緊張して

 ボクの隣で

 かすかに震える手で

 そっとボクに触れる

 キミがいる。

 一つ年下なキミなのに

 ボクよりもずっと

 オトナに見える。
 
 
 はじめてボクのココロに

 彼女以外の人が

 うつったんだ。




 ねぇキミは

 こんなボクでいいの?


 








* ☆ * ☆ * ☆ * ☆ * ☆ * ☆ * ☆ * ☆ * ☆ * ☆ * 

感想やメッセージ残してもらえると嬉しいな(^^)
bbs

読んで下さってありがとうございました☆
良ければ他の作品もどうぞ☆
Top

  


© Rakuten Group, Inc.