109405 ランダム
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おそらのうえで。

おそらのうえで。

*ホントはね*


 きっと君は

     私のこと

  嫌いなんだね。

 
 *ホントはね*


 「教科書貸してくんない?」


 休み時間。

 隣のクラスからきた君はそう言って

 私に向かって

 にっこり笑う。


 びっくりして

 声も出なかったんだ。


 だってね

 君は私のこと

 今まで散々避けてきたじゃん。



 去年まで同じクラスで

 委員も一緒で

 日直も一緒で

 掃除当番まで一緒でさ。

 何かと君と同じ時間を

 過ごしてたはずだった私。


 でも君は

 私の目を見て話すことなくて

 笑いかけてくれることも

 これっぽっちもなくて

 私の問い掛けにも

 君はそっぽむいちゃってさ。


 他の女のコといる時は

 楽しそうに笑うくせに

 私にはそんな笑顔

 全然見せてくれなくて。


 だから思ったんだ。

 君は私のこと嫌いなんだって。

 

 「教科書、貸してくんないの?」


 驚きと考え込みすぎのあまり

 君への対応が遅れてた私に

 改めて問い返してくる君。


 別に君が私を嫌いでも

 私は君のこと

 嫌いじゃないんだもん。


 「何かの罰ゲーム?」


 ちょっとそっけない態度で

 君に問い返して

 教科書を差し出した。


 「あ、バレた?」


 バレたもなにも

 そうでもないと君が

 私のこと避け続けた君が

 こうやってクラスが変わってまで

 教科書借りにくることないじゃんね。


 どうせ

 嫌いな奴から借りてこいとか

 そういうのでしょ?

 そうでもないと

 君が私のとこにくるなんて

 考えられないもん。


 「バレちゃったなら言っとこう」


 君はひょこっと

 私の前にしゃがみこんで

 照れ臭そうに笑ったんだ。


 「“スキなコから
    かりてこい”だってさ」



 ・・・ちょっと待って。

 それは・・・

 つまり・・・


 「話すだけでも緊張すんのに
  何言ってんだろう、俺」


 去年

 私が話しかけるといつも

 そっぽむいてたように

 今、君は私の目の前で

 耳を真っ赤にして

 そっぽむいちゃった。


 「そういうことだからさ
   コレ返しにくる時までに
  考えといてよね、返事」


 初めてみた

 私に向けられた君の笑顔。

 初めて見た真っ赤になった君。

 初めて聞いた君のホンネ。

 初めて知った君のキモチ。


 ずっとずっと思ってた。

 君は私のこと嫌いなんだって。


 でもね

 それでも私

 頑張って君に声かけてたじゃん。


 君の笑顔が見たいから

 まっすぐ私を見てほしいから

 君に声

 かけつづけたんだ。


 ねぇ

 早く返しにきてよね、

 その教科書。


 早く言わせてよね。


 私のキモチ。






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bbs

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