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おそらのうえで。

おそらのうえで。

*いつもの*


いつもの電車のいつもの場所。
いつもの君がそこにいる。

*いつもの*

帰宅ラッシュ前の 人もまばらな電車。
いつも決まった席につくと
いつも決まったドアの横に いつもの君が立っている。
乗ってくる駅も
降りる駅も知らなければ
君がどんな人なのか
何をしている人なのか
そんなのわからない。

ただ君はいつもそこで
本を読んでいる。


『すき』


だとか
そんなんじゃない。
ただしぜんと視線が
君を追いかける。

君は私に気づいてない。
私は君に気づいてる。


ってことはきっとあたし

少なくとも君に
興味を持ってはいる。



今日もまた
いつもの時間のいつもの場所。

でもいつもと違う
君との距離。


うたた寝からさめたあたしのほほに
ほのかに残るぬくもり。

「ごめん、君の降りる駅
 過ぎたんだ」

聞こえてきたのは
初めて聞く
君の声。

「あまりにも気持ちよさそうだったから
 起こせなくって・・・」

突然の出来事に
驚くあたしに
君は少し笑って

「ほんと、ごめんね?」

席を立つ。

「俺、ココだから。
 一人で…帰れるよね?」

うなずくだけのあたしに
君は軽く手を振った。

「じゃ。また明日。」

君の姿が遠ざかる。


君の声、初めて聞いた。
君のぬくもち
初めて感じた。
君のにおい、いい香り。


いつもの時間のいつもの電車。
いつもの場所のいつもの君。

でも明日はきっと
いつもと違う
あたしと君。






* ☆ * ☆ * ☆ * ☆ * ☆ * ☆ * ☆ * ☆ * ☆ * ☆ * 

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bbs

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