米長官が初明言「日本脅かす、いかなる行為にも反対」日米外相会談
米長官が初明言「日本脅かす、いかなる行為にも反対」日米外相会談2013.1.19 10:55 [日米関係] 会談後、岸田外相と共同記者会見するクリントン米国務長官=18日、ワシントンの米国務省(AP) 【ワシントン=佐々木類】岸田文雄外相は18日午後(日本時間19日未明)、ワシントン市内の国務省でクリントン米国務長官と会談した。クリントン長官は沖縄県・尖閣諸島をめぐって、中国が公船や軍用機による領海侵犯など挑発行為を活発化させていることについて、「日本の安全を脅かすいかなる一方的な行為にも反対する」との考えを表明し、岸田外相は米国の姿勢を評価した。 両外相はまた、日米同盟強化に向けた安倍晋三首相とオバマ大統領の首脳会談を、2月17日の週に行うことで合意した。 平和的解決を訴える米政府が尖閣諸島をめぐり、中国の挑発行為に反対の意思を示したのは初めて。米議会も昨年11月末、国防権限法に尖閣防衛を明記しており、政府と議会が一体となって中国を強く牽制(けんせい)した格好だ。 続いて岸田外相が、尖閣諸島について、「日本の固有の領土であり譲歩しないが、挑発もしない。冷静に対応する」と述べ、この問題に関する日本の立場を説明。同時に、中国の軍拡に備えるため、防衛費を増額し、「防衛計画の大綱」を見直す考えを示した。 クリントン長官は、「日本の施政権下にある尖閣諸島が、米国による日本防衛義務を定めた日米安保条約の適用対象である」と重ねて強調。米政府として、中国の挑発行為に反対する姿勢を初めて明確に示した。 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉参加問題で岸田外相は、聖域なき関税撤廃が前提である限り交渉参加は難しいとの日本政府の立場を説明した。 国際結婚の破綻にともなう「子の連れ去り」問題では、クリントン長官が、国家間の不法な子供の連れ去りを防止することを目的としたハーグ条約締結に向け、日本政府が努力していることを評価した。 このほか、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題は、キャンプ・シュワブ(名護市辺野古)沿岸に移設するとした日米合意に基づき努力していくことを確認。日本が次期主力戦闘機として購入を決めながら、開発遅延と価格高騰が問題化しているF35戦闘機の契約のあり方についても議題となったもようだ。 中国「ハワイ領有権も主張できる」 米国務長官、協議の一幕明かす2012.11.30 20:06 【ワシントン=犬塚陽介】クリントン米国務長官は11月29日、ワシントン市内で講演した際の質疑応答で、過去に南シナ海の領有権問題を中国と協議した際、中国側が「ハワイ(の領有権)を主張することもできる」と発言したことを明らかにした。長官は「やってみてください。われわれは仲裁機関で領有権を証明する。これこそあなた方に求める対応だ」と応じたという。 協議の時期や詳細には言及しなかったが、20日の東アジアサミット前後のやりとりの可能性もある。仲裁機関は国際司法裁判所(ICJ)を指すとみられる。 ハワイをめぐっては、太平洋軍のキーティング司令官(当時)が2007年5月に訪中した際、中国海軍幹部からハワイより東を米軍、西を中国海軍が管理しようと持ちかけられたと証言したこともあった。 クリントン長官は、中国と周辺国の領有権問題について、領有権の主張が地域の緊張を招くような事態は「21世紀の世の中では容認できない」と述べ、東南アジア諸国連合(ASEAN)が目指す「行動規範」の策定を改めて支持した。また、領有権問題は「合法な手段」で解決されねばならないと強調した。 さらに、領有権問題は北極や地中海でも起こりかねず、米国は「グローバルパワー」として放置できないと明言。中国が「できる限り広範囲」の領有権を主張する中、法に基づく秩序維持のために「直言していかねばならない」と語った。